「強くなった」永瀬拓矢九段 藤井聡太名人と交わした盤上の会話

名人戦七番勝負への意気込みを語る永瀬拓矢九段=東京都渋谷区で2025年3月19日、小林努撮影

 7冠を持つ藤井聡太名人(22)に永瀬拓矢九段(32)が挑戦する第83期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)が9日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で開幕する。

 1~3月に指されたALSOK杯第74期王将戦では1勝4敗で敗れ、雪辱を期す永瀬九段は「王将戦を戦っていて強くなっている実感がある」と語り、名人戦で更なる熱戦を繰り広げることを予感させた。

【丸山進、新土居仁昌】

 藤井聡太名人へのインタビューは7日正午に公開します 「まだ伸びしろある」 藤井聡太名人が目指す棋力アップと3連覇

2日制の経験差「すさまじい損」

 ――王将戦を振り返って。

 永瀬九段 第1局は先手番になれば相掛かりでと思っていました。準備がうまくいってリードを奪う形になり、チャンスはあったかと思いますが、最後は藤井名人の力が出ました。

 第2局の横歩取りは、自分の中では未解決の将棋だったので指してみようということと、藤井名人も予想していないというところで採用しましたが、通用せず残念でした。途中までは難しいと思っていましたが、藤井名人は横歩取りの対応力が高い感じがしたので、それを経験できたのは収穫でした。対策がうまいのは知っていましたが、2日制ではよりきつかったです。

 第3局は角換わりでしたが、対策の行き届いていない将棋になってしまいました。2日目は瞬間的にはかなりよくなり、(AIが推奨した)6二銀不成という手はそこまで理解のできない手ではなく、指せない手ではなかったと感じています。

 第4局は2日制に慣れてきているタイミングで内容もよく、腰を落として考えられたのがよく、1勝を返せました。

 第5局は、2手目3四歩に対して準備不足でした。(名人戦A級)順位戦で過密スケジュールになっていて順位戦の頭になっていました。過密日程の時に弱いので、今後の課題だと思います。

 全体としては、藤井名人が一人で2日制の経験値を重ねていて、すさまじい損だなと思いました。藤井名人は自分のルールにのっとってや…

関連記事: