「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”(TechTargetジャパン)

 過去30年以上、筆者は「ネットワークの帯域幅を増やせば問題は解決する」という安易な考えは間違いだと常に主張してきた。しかし、IT業界ではいまだにこの誤解が根強く残っているようだ。特にテレワークを導入している企業では、Web会議が不安定になったり、アプリケーションへのアクセスが遅くなったりすると、ネットワークの帯域幅が不足していると判断することがある。  実際にはネットワークの問題は単に帯域幅を増強すれば解決されるほど単純ではない。特に、テレワークで起きるネットワークの問題は複雑だ。どのような問題がネットワークで起きているのか。

 筆者は、帯域幅が広くてもパケットロス(損失)や遅延、ジッタ(データ伝送時間のばらつき)といった障害によって、ネットワークの通信速度や安定性が著しく低下すると長年にわたって指摘してきた。  リモートアクセスツールのZTNA(Zero Trust Network Access)を提供するベンダーCloudbrinkはテレワークとオフィスワークを組み合わせる「ハイブリッドワーク」に関する調査レポート「The Facts Behind Balancing Security and Performance」を2025年1月に発表した。同レポートによれば、82.5%のITおよびセキュリティの専門家がパケットロスの重要性を理解していない。実際には、パケットロスはテレワークを導入した企業の生産性を低下させる主な要因だ。  企業がテレワーカーに抱く懸念には誤解が含まれている。テレワークの場合、オフィスで働くよりも従業員の実質労働時間が短いと企業は思いがちだが、このレポートによると、むしろテレワーカーの方が長時間働く傾向にある。  30年以上にわたってオフィスはたまに行くだけで、在宅勤務がメインの筆者も、この調査結果に心から同意する。業種を問わず、タスクがあるなら完遂するまで働くのが当然だ。オフィスと違い、テレワークなら他の人に妨げられたり中断させられたりすることも少ない。できるだけ迅速かつ効率的にタスクを完了しようと努力するのが当たり前だ。  セキュリティツールによって、ネットワークの転送速度とユーザーエクスペリエンス(UX)は低下する。Cloudbrinkのレポートは、テレワーカーが仕事に使うアプリケーションの処理速度は、パケットロスによって影響を受けていると指摘している。これが、セキュリティツールによって起きるネットワークの遅延と組み合わさった場合、テレワーカーの生産性を低下させる。  こうした現象は筆者も実際にテストして目の当たりにしてきた。IT部門はこの問題を解決しようとして高価なツールやサービスを導入することがあるが、問題を解決するどころか、結果としてネットワークの速度がさらに低下し、運用も複雑になってしまう恐れがある。まさに無知が招いた結果だ。

TechTargetジャパン
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