ウクライナが占領地への攻撃強化、ロシアの燃料危機は悪化
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ウクライナはこのところ、ロシア国内の石油精製所への長距離攻撃に加え、ロシアの占領下にある地域に対するドローン攻撃を続けている。この影響で、ロシアからの物資供給が混乱し、占領地域では燃料危機が悪化している。
ロシアが占領するウクライナ領の中でもとりわけ、ロシアが2014年に不法に併合したクリミア半島では、物流の問題が深刻化し、物不足が起きている。
ウクライナは特に、ロシア南部ロストフとクリミア半島を結ぶルートを集中的に攻撃している。このルートには主要高速道路と橋が含まれ、ロシア占領下の港湾都市マリウポリを経由する。
フランス拠点のシンクタンク「アトゥム・ムンディ」のアナリスト、クレマン・モラン氏はBBCに対し、この道路は「基本的に、ロシアがウクライナ南部を占領し続けるための根幹となるものだ」と話した。
モラン氏によると、ウクライナは5月の初めからタンクローリー30台を含むトラックに対し、ドローン攻撃を300回行っている。この攻勢は今月に入り、さらに激化しているという。
この作戦は、目に見える形でクリミア半島に影響を与えている。この半島はモスクワにとって戦略的に重要な場所だ。というのも、ロシア軍はここを拠点に、ウクライナの他の地域へドローンやミサイルを発射してきたからだ。
また、クリミア半島は地中海性気候の海外線が長く続き、そのビーチはロシア人にとって人気の夏休みスポットでもある。
燃料不足に不満を抱く観光客や地元の人々は、燃料供給の混乱に対する不満をソーシャルメディアに次々と投稿している。
地域全域のガソリンスタンドに長蛇の列ができている様子も、投稿されている。住民らは動画で口々に、燃料を求めて最大10時間も行列しなくてはならないのだと話している。
「今は歩いて通勤している。もちろん車の運転に比べると不便だけれども、大した問題ではない」と、シンフェロポリ市の住人は独立系サイト「ベレグ」に話した。「あとはもう、馬を買うだけだ!」。
クリミアの大半のガソリンスタンドでは、たとえ在庫があったとしても、地元住民がプリペイド式のバウチャーを使って購入できる燃料は最大20リットルまでになっている。
燃料危機が始まる前にやってきたロシア人観光客は、今では、クリミアを出るための燃料を探すのに苦労している。この問題があまりに深刻なため、ロシアが設置した現地当局は、ロシア人観光客のための特別ホットラインを開設せざるを得なくなった。
燃料不足が原因で、ガソリンやディーゼルの価格が急騰したという報告もある。
ロシア政府が地域責任者に任命したセルゲイ・アクショノフ氏は今月5日、「残念ながら、現時点では燃料の需要を完全に満たすことはできないようだ」と認めた。燃料不足のため、バス数百台が停車場から出発できないのだという。
しかし、物資が半島に届く最後の手段は依然として、地上の道路だ。クリミア半島を航行する多くのフェリーがウクライナの攻撃で航行不能となっており、海路は危険すぎるという。
また、ウクライナによるこれまでの攻撃(または攻撃の脅威)が原因で、クリミアとロシア本土を結ぶケルチ橋の交通は制限されている。
ロシア石油産業の専門家で米ハーヴァード大学デイヴィスセンターの研究員でもあるクレイグ・ケネディ氏は、「私だったら、今はディーゼル満載のトラックをケルチ橋に乗せたくない。面倒に自分から飛び込んでいくようなものだ」とBBCに話した。
「なので、石油はマリウポリ経由の陸路で半島へ運ぶ必要がある。そのルートでは終始、いつ攻撃されるかわからない状態だ」
ロシア関係者の間には、ウクライナによる物流ルートへの攻撃が、すでにロシア軍の戦闘能力に影響を与えていると言う人もいる。
「民間人のガソリンスタンドを空にする攻撃は、南部にいる部隊への物資供給にも影響を及ぼしている」。親クレムリン(ロシア大統領府)系のロシア軍事分析アカウント「Rybary」はこう書いている。
「物流危機は、軍事的ニーズと民間ニーズを区別しない。すべてを一気にたたいている」
今月7日には、ウクライナ軍の攻撃でクリミア北部チョーナーにある主要な橋が被害を受けた。この橋はクリミアとウクライナの他の地域をつなぐもので、高速道路R-280を走るロシア軍と民間車両がどちらも使っていた。橋の通行は現在、一時的に停止されている。
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ウクライナはもう数カ月にわたり、ロシアの石油精製所と石油貯蔵所を攻撃し続けている。この影響で、燃料供給の問題はいっそう悪化している。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、一連の攻撃によって、ロシアの「一次石油精製能力」の40%近くが5月に利用不能になったと話した。
前出のケネディ氏によると、ロシアの供給網へのウクライナの攻勢は拡大を続け、標的は今や大規模な製油所から、各地の小規模な流通ネットワークへと移行しつつある。
「このため、クリミアなど特定地域の住民や部隊に対して、影響が集中している」
ドローン攻撃は、ルハンシクやヘルソンなど、他の占領下のウクライナ地域にも影響を及ぼしている。
一部の攻撃は、ウクライナ無人システム軍の第413襲撃連隊によるものだ。同隊のエフヘン・カラス指揮官は、ウクライナ国内の非公開の場所で、BBCの取材に応じた。
カラス氏によると、最近の任務ではロシアの防空部隊はウクライナのドローン攻撃に、あまり精力的に対抗してこなかったという。
「どこでも好きなように飛べるのは、素晴らしい気分だった」と、カラス指揮官は話した。
カラス氏が率いる部隊にとって最優先事項は、ロシアの軍事物流を混乱させることだという。
「メインディッシュはロシアの貯蔵庫、石油・燃料タンク、建物、さらにはロシア人将校のいる小さなバンカーだ」
ロシアはこのところ、ウクライナによる占領地域への攻撃で民間人が殺害されたと主張している。ヘルソンでのバス攻撃や、クリミア半島での通勤電車への攻撃も報告されている。
ロシアが任命したクリミアの行政トップ、アクショノフ氏は8日、ウクライナのドローンが再びクリミアで旅客列車を直撃したため、運転助手が死亡し、運転手が負傷したと発表した。
カラス氏は個別の事案には具体的にコメントしていないが、「ここは非常に混雑した地域だ。大型トラックや大型輸送車両はロシア人が使っているため、どれも攻撃される危険があるのは明らかだ」と述べた。
「間違いは起こり得るが、これは民間車両を意図的に標的にしたものではない」とも、アクショノフ氏は話した。
しかし、リスクはあまりにも大きい。相次ぐ攻撃の影響で、ウクライナの占領地域とロシアを結ぶ2つの主要道路でも、民間人の移動が制限されるようになった。
ロシアが占領下のルハンスク州に設置した現地当局は、マリウポリとクリミアへ続く2本の高速道路で、バスとバスの運行を禁止した。地元住民には「安全上の理由から」これらの道路を利用しないよう呼びかけている。
ウクライナによる中距離攻撃と長距離攻撃の複合的な影響は、ロシアの戦闘能力に影響するだけではない。「戦争をロシアに持ち込む」とゼレンスキー大統領が宣言した目的の実現にも、それは役立っている。