【未成線の謎】なぜ京葉線東京駅ホームだけ、離れた地下深く? 幻の成田新幹線がかきたてる「想像」と未完のロマン
成田新幹線が実現していれば、東京―成田空港は30分で結ばれていたはずだった。「幻」の新幹線構想は、夢の国への“架け橋”と関係があるとの声もある。
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AERA 2025年12月1日号より。
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なぜホームまで、こんなに遠いのか──。
JR東京駅で京葉線に乗り換えたことがある人なら、誰もが感じる疑問だろう。東京駅の中心部から動く歩道を乗り継いでも約10分。京葉線のホームは、東京駅と有楽町駅のほぼ中間、鍛冶橋通りの地下深くにある。
東京都心から東京ディズニーリゾートの最寄り駅・JR舞浜駅を経由し、千葉の湾岸エリアを結ぶ京葉線。開通したのは1990年だが、東京駅のホームがあまりに不便な場所にあることは開通時から鉄道ファンの間で話題となり、こうささやかれてきた。
「成田新幹線の東京駅になるはずだった」
成田新幹線は、上越新幹線と同じ71年1月、整備新幹線の一つとして基本計画が決定。東京と成田空港を、約30分で結ぶ構想だった。
72年3月29日の朝日新聞夕刊はルートについて、「国鉄の計画だと、荒川を越えて江東区にはいる成田新幹線は、(中略)鍛冶橋下の地下ターミナルに着くことになっている」などと報じ、73年6月12日には衆議院運輸委員会で内田隆滋・国鉄常務理事が「計画によりますと、東京駅のいわゆる鍛冶橋を出てそれから(略)」と述べている。
この「鍛冶橋」の地下こそ、東京駅の京葉線ホームがある場所だ。JR東日本に尋ねると、「国鉄時代のことは答える立場にありません」(広報部)と回答。国交省の担当者も、「成田新幹線は整備計画も決定しましたが、ルートは決まらないまま中止となったので、わかりません」。