新型『日産キックス』で挑む大激戦コンパクトSUV市場 ライバルはホンダ・ヴェゼルとトヨタ・カローラクロス 「本当に欲しいSUV」とは?
日産自動車(以下日産)は6月17日、新型『キックス』の発表会を六本木ヒルズで開催した。
ここでは発表会で登壇したCPS(チーフ・プロダクト・スペシャリスト)の田中聡氏、プログラムデザインダイレクターの楠鉄平氏、CVE(チーフ・ビークル・エンジニア)の山本哲也氏によるプレゼンテーションや開発者へのインタビューから、リリースなどでは紹介されていない話を深掘りしてみたい。
日産は6月17日、新型『キックス』の発表会を六本木ヒルズで開催。 平井大介世界的なブームが続くSUVだが、特に日本では2025年に約52万台のコンパクトSUVが販売され、SUV市場の半数以上を占めるセグメントに成長した。そんなコンパクトSUV市場に投入される新型キックスだが、ターゲットカスタマー(ペルソナ)は40代後半の既婚男性で、17歳の子どもと3人家族を想定している。
そんなユーザーに向けて、大人の遊び心を刺激する、あらゆるシーンで活躍するロバスト(堅牢)&バーサタイル(多用途)SUVというのが、新型キックスのコンセプトだ。セリングポイントはこちらの3つとなる。
1:力強くダイナミック、俊敏で軽快なデザイン 2:進化した第3世代e-POWERなどの先進技術
3:快適性や利便性を向上させたユーティリティ
見た目も違う、乗ってみるとさらに違う
まずデザインは『本当に欲しいSUVとは何か?』と、コンパクトSUVらしい親しみやすさ以外は、ゼロから考えられた。目指したのは、SUVっぽいものとオシャレっぽいものを融合させ『見た目も違う、乗ってみるとさらに違う』もの。
エクステリアでは、アメリカンフットボールのヘルメットから着想を得たフロントマスクをはじめ、リアまわりの口の字型の黒いグラフィックや車幅いっぱいに配されたテールランプなど、SUVらしい存在感を強調した。
リアは口の字型の黒いグラフィックや車幅いっぱいに配されたテールランプなど、SUVらしい存在感を強調。 平井大介インテリアでは、守られている安心感と心地良い開放感を目指し、乗る人みんなが気持ち良く感じられる空間としている。上級グレードの『G』と『X+』では合皮やプレミアムファブリックで力強さと洗練された質感を、エントリーグレードの『X』では織物やトリコットでスポーティで都会的な雰囲気を生み出している。
追浜工場で生産される最後のニューモデル
パワートレーンには、1.4Lの発電特化型エンジンと5-in-1(モーター、発電機、インバーター、減速機、増速機という5つの主要構成部品を一体化)電動ユニットを組み合わせた第3世代のe-POWERを採用。エンジンで発電した電気でモーターを駆動する、いわゆるシリーズハイブリッドだ。
なお、日産のグローバルモデルであるキックスは既に2024年からメキシコとブラジルで生産されているが、こちらは2Lエンジンを搭載。e-POWER搭載車は、日本仕様が初となる。また、従来型キックスの日本仕様はタイ製だったが、新型キックスは日本の追浜工場で生産される最後のニューモデルとなる。
新型キックスは、追浜工場で生産される最後のニューモデルとなる。 平井大介第3世代のe-POWERでは、アクセルを踏んだなりに加速し、戻したなりに減速するリニア感を高めた。従来型より加速は素早く滑らかで、減速はワンペダル感覚で行える。
ただし完全停止はせず、特にエコモードでの減速をより使いやすくしているという。
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さらにシステムの小型、軽量化や効率アップなどにより、従来型よりモード燃費は11%、高速燃費は10%向上。パワートレインの振動を減らし、キャビンへの遮音を高めたことで、発電時の騒音は4.5dB改善されて静粛性も向上した。
4WDモデルでは、電動駆動4輪制御技術『e-4ORCE』を採用。モーターのトルクはフロントで約10%以上、リアは約40%アップして、コーナリングのトレース性能を高めている。雪道や悪路での走破性だけではない、普段乗りでも気持ち良く走れる電動4WDの素晴らしさを、このe-4ORCEでは味わえるという。
パワートレインの振動を減らしキャビンへの遮音を高めたことで、静粛性も向上した。では2WD(FF)では走りが物足りないかといえばそうではなく、100kg以上も車両重量が軽いから加速に優れ、軽快な走りを楽しめるそうだ。
新型は全長75mm、全幅40mmサイズアップ
従来型キックスでは『後席は大人には狭い』、『荷室が狭い』といった不満が上げられた。そこで新型は全長で75mm、全幅で40mmサイズアップしているが、そのほとんどは後席と荷室のスペース拡大に充てられた。
1800mmという全幅はコンパクトSUVとしてはギリギリなサイズと考え、ライバルとなるホンダ・ヴェゼルとトヨタ・カローラクロスの中間的なポピュラーなサイズとしてパッケージも決めていった。そのため、ヘッド&ニールームや後席室内幅は、クラストップレベルの広さとなった。
全長は75mm、全幅は40mmアップし、そのほとんどは後席と荷室のスペース拡大に充てられた。 平井大介ラゲッジルーム容量や開口部の数値は公表されていないが、従来型より拡大されてゴルフバッグは平置きできるようになった。GとX+にはパワーバックドアも標準装備され、Gには荷室に1500WのAC電源も備わるなど、アウトドアなどでの使い勝手も高めている。
300万円を切る戦略的な価格のグレードを設定
安全&快適装備においても、コクピットはクラス初のモノリスタイプ12.3インチメーターを採用し、GとX+では12.3インチのセンターディスプレイも備えた統合型インターフェースディスプレイとするなど、視認性や操作性を高めている。
全方位運転支援システムは360度セーフティアシストのもと、プロパイロットを全車標準装備。コストの問題もありプロパイロット2.0ではないが、カメラは2.0のものと同じ、画角は2倍、解像度は6倍以上となり、精度が向上している。
注目度を高めるため、300万円を切る戦略的な価格のグレードを設定した。 平井大介そして今回、300万円を切る戦略的な価格のグレードを設定したのは、このところ現行型キックスの注目度が下がっていることから、ブランドを盛り上げるためにも、まずは販売店に来てもらうことを目指したからという。
なお、海外仕様の2Lエンジン車はe-POWER車に比べて性能的に劣るため、廉価モデルとしても日本仕様として導入することは現段階では考えられていないようだ。
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全長×全幅×全高:4365×1800×1615mm ホイールベース:2655mm 車両重量:1480kg エンジン:直列3気筒DOHC+モーター 総排気量:1433cc 最高出力:72kW(98ps)/6000rpm 最大トルク:115Nm(11.7kg-m)/6000rpm モーター最高出力:105kW(143ps)/4600-10700rpm モーター最大トルク:315Nm(32.0kg-m)/0-2700rpm 駆動方式:横置きFF 燃料/タンク容量:レギュラー/45L WLTCモード燃費:23.4km/L タイヤサイズ:225/45R19
価格:389万8400円
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執筆
篠原政明
Masaaki Shinohara
- 1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
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撮影 / 編集
平井大介
Daisuke Hirai
- 1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
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