Windows 10から11にしたくない皆さんへ。話題になった不具合はほとんど解決済みです

 2025年10月14日をもって、Windows 10のサポートが終了した。「Windows 10 バージョン22H2」のサポートは打ち切られており、最後の更新プログラムは「KB5066791」となる。以降、セキュリティパッチは提供されなくなるため、サイバー攻撃の被害に遭うリスクが高くなる。後継のWindows 11への移行をできるだけ早く済ませたほうがいいだろう。 【画像】Windows 11への乗り換えのための公式情報も充実している。安心してアップデートできる  という話はご存じだと思うが、現時点でWindows 11への乗り換えを気にされているということは、まだWindows 10を使い続けているはず。「拡張セキュリティ更新プログラム」(Extended Security Update: ESU)を適用して、あと1年は様子見という状況なのかもしれない。  Windows 11のリリースは2021年、将来の“乗り換え”を見越して、当時の最新スペックのWindows 10 PCを購入された人も多いだろう。しかし、なかなか乗り換えに踏み切れない人もいる。これまでに「PC互換性チェックアプリ」を使って、Windows 11の要件を満たすことは確認済みでもだ。実は当初、筆者も躊躇しており、実際に乗り換えたのは今年に入ってからだ。  2014年のリリースから11年も使い続けて、Windows 10に慣れている、バックアップが面倒、サポート終了まで時間があるなどと、言い訳して先延ばしにしていたのだが、実際のところは、Windows 11の既知の問題が気になっていたからだ。特にシステム障害や互換性に関する問題は大きな不安要素だった。  しかし、安心してほしい。現在では、Windows 11でユーザーやシステム管理者の間で話題となっていた問題は解決または軽減されている。実際にWindows 11に乗り換えて半年以上経つが、実務での問題はまったく感じない。今回は、現在公開されているWindows 11の主な問題と対策についてまとめて紹介したい。 ■ システムを停止させた主な互換性問題  現在ではシステム全体に影響を及ぼす重大な互換性問題は、ほぼ解決されている。主にデバイスのドライバが原因。最新のドライバ、もしくは最新バージョンの「25H2」に更新することで解決できる。 □Intel SST(Smart Sound Technology)ドライバとの互換性問題  Intel第11世代Coreプロセッサを搭載したデバイスにおいて、特定のバージョンのIntel SSTドライバ(IntcAudioBus.sysのバージョン10.29.0.5152または10.30.0.5152)との互換性問題により、ブルースクリーンエラーが発生する可能性があった。  この問題は、Intel SSTドライバを新しいバージョン(10.30.00.5714以降、または10.29.00.5714以降)に更新することで解決する。 □Dirac Audio搭載デバイスでのオーディオ出力喪失  「24H2」のインストール後に、内蔵スピーカーやBluetoothデバイスが機能しなくなる現象で、特定のメーカーのデバイスで、オーディオ処理ソフトの一部である「cridspapo.dll」を含むDirac Audioとの互換性問題が確認されていた。  問題のある環境で自動更新を一時的に停止する「互換性ホールド」が適用されていたが、2025年9月11日に解除され、Windows Update経由で提供される新しいドライバにより問題は解決された。 ■ セキュリティ更新プログラムによる問題  セキュリティの向上を目的とした更新が、予期せぬ動作を引き起こしていたが、2025年9月までの更新プログラムを適用することで解決する。 □管理者以外のユーザーによるMSI修復操作時の予期せぬUACプロンプト  標準ユーザーがMSI(Microsoft Installer)修復コマンドを実行する際や、特定のアプリ(Autodesk AutoCADやOffice Professional Plus 2010など)を起動またはインストールする際、更新プログラム(KB5063875など)に含まれたセキュリティ強化の結果、本来表示されるべきではない管理者資格情報のUACプロンプトが表示されるようになった。その結果、MSIを使用するアプリが、エラー1730などで失敗する事態が発生していた。  この問題は、更新プログラム(KB5065431やKB5065426など)により解決されている。 □NDIストリーミングパフォーマンスの問題  更新プログラム(KB5063878など)のインストール後に発生した。OBS(Open Broadcast Software)や、NDI(Network Device Interface)Toolsなどのストリーミングアプリで、深刻な途切れやラグ、オーディオやビデオの乱れが発生することが報告されていた。  こちらは最新の更新プログラム(KB5065426など)をインストールすることで解決できる。 ■ 現在対応中の問題  重大な問題はほとんど解決済みだが、24H2において、ごく一部対応中の問題が残されている。影響を受けるデバイスには更新が行なわれないように互換性ホールドが適用されているため、更新の候補に「24H2」が出現しない場合は、手動での更新は控えたい。「23H2」は2025年11月11日までサポートされる。 □sprotect.sysドライバを使用するアプリによるデバイスの応答停止  特殊なセキュリティソフトなどで使用される暗号化保護ドライバの「sprotect.sys」を使用するアプリとの互換性問題によってデバイスが応答しなくなり、ブルースクリーン、またはブラックスクリーンエラーが表示される可能性があった。対象のデバイスには「24H2」が適用されないように互換性ホールドが適用されている。 □Blu-ray/DVD/デジタルTVアプリでの保護コンテンツ再生問題  更新プログラム(KB5064081以降)のインストール後、HDCPやDRMを使用する一部のデジタルTVやBlu-ray/DVDアプリケーションで、著作権保護エラーや再生の中断、フリーズ、ブラックスクリーンが発生する可能性がある。なお、この問題はストリーミングサービスには影響しない。対象のデバイスには「24H2」が適用されないように互換性ホールドが適用されている。 ■ 10月登場の最新バージョン「25H2」  現在、主なシステム障害や互換性に関する問題の多くは、ほぼ解決している。後は安心してWindows 11に乗り換えるだけだ。時間のあるときに済ませてしまおう。なお、10月より「25H2」の提供が開始され、Microsoftは常に最新バージョンのWindows 11に更新することを推奨しているが、「24H2」のサポート期限は2026年10月13日だ。  セキュリティ関連の更新プログラムは都度提供されるので、急いで「25H2」に更新しなくても問題はない。安定性を求めるなら「24H2」に留めておくのも賢い選択だ。主要な不具合はすでに解消され、Windows 11は十分に成熟している。迷う時間を次の一歩に変えていきたい。

PC Watch,今井 孝

PC Watch
*******
****************************************************************************
*******
****************************************************************************

関連記事: