高校野球:甲子園の「異様な雰囲気」を打ち破った浦和実のエース石戸颯汰、ピンチでも「平常心でいった」 : 読売新聞

 第97回選抜高校野球大会は26日、準々決勝4試合が行われ、4強が決まった。投打がかみ合った健大高崎(群馬)が花巻東(岩手)を破り、優勝した前回大会に続いて準決勝に進出した。横浜(神奈川)は西日本短大付(福岡)に逆転勝ち。智弁和歌山(和歌山)は広島商(広島)を圧倒し、春の甲子園で通算30勝を達成した。浦和実(埼玉)は聖光学院(福島)との延長戦を制し、春夏通じて初出場でベスト4入りを果たした。準決勝は28日に行われる。

浦和実12―4聖光学院

 浦和実はタイブレイク方式の延長十回、7安打を集中させて8点を挙げた。聖光学院は六回に追いついたが、七回から救援の石戸を攻略できなかった。

変則フォームは中学1年から試行錯誤

 六回に3点リードを追いつかれ、浦和実・辻川監督は「球場が異様な雰囲気だった」と振り返った。試合の流れを引き戻したのは、今大会で無失点が続くエース石戸だった。

7回から登板し、無失点に抑えた浦和実の石戸(26日)=若杉和希撮影

 七回から救援。八回に安打と四球で二死一、二塁のピンチを背負っても「平常心でいった」。120キロ台の内角直球で次打者を左飛に打ち取った。

 右足を顔の高さまで上げる変則フォームで打者のタイミングを外すのが持ち味だが、打ち取れる理由はほかにもある。自身の頭の後ろから左腕を出す意識で、球の出どころを見えづらくしている。八回に対戦した相手打者は「タイミングは合っていたが、(球に)角度があった」と脱帽した。

 中学1年から試行錯誤してきた投球フォームで、今大会はこれで18イニング無失点。努力家のエースは「うれしい気持ちでいっぱい」と笑った。(大舘司)

聖光学院・細谷、弱さを克服した3ラン

6回2死1、2塁、同点3ランを打ち、塁を回る細谷丈選手

 聖光学院の細谷が六回、試合を振り出しに戻す3ランを放った。二死一、二塁、攻めあぐねていた相手先発の甘い変化球に反応し、左翼ポール際へ運んだ。昨秋以降、好機での弱さを克服するため、様々な状況を想定した打撃練習に取り組んだ成果が結実した。延長戦に持ち込んだ末に敗れ、「相手の方が勝負強かった。チーム力を鍛えていく」と、さらなる成長を誓った。

  浦和実・辻川監督 「(継投の判断が遅れた)私の采配ミスを消してくれた。負けたら、ゴメンと言おうと思っていた。すごいことをやってくれた」

  聖光学院・斎藤監督 「相手のポジショニングが見事で、いい当たりでも外野を抜かせてくれなかった」

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