で、EvernoteとNotionはどっちがいいの?
Lifehacker 2025年4月10日掲載の記事より転載
私は先日、EvernoteとNotionの比較テストを、数日かけて実施しました。
どちらのアプリも、アイデアのメモやスケジュールの管理、タスクの整理に役立ちます。私自身のテストのほかに、これらのアプリを長く使っているほかのユーザーたちにも意見をヒアリングしました。
絶対的な存在と目されているのはEvernote。ですが、バグだらけのアップデートや料金の値上げにうんざりしているユーザーもいて、Notionへの乗り換え組も出てきています。
こうした意見はあくまで参考程度にとどめたうえでテストを実施したところ、当然、両アプリには便利な機能がたくさん存在しました。
結論から言うと、私個人はNotionのほうが好きです。ですが、人によっては、Evernoteのほうが向いていると思われるユースケースもあります(ちなみに今回の比較テストでは、チームワークでの使い方に関する比較を実施していません)。
EvernoteとNotionでできること
基本的には、どちらのアプリも、「何かをメモする場所」をユーザーに提供することを念頭に設計されています。
いわゆる「信頼できる唯一の情報源(SSOT)」と考えてよいでしょう。
SSOTとは、リソースやドキュメント、さらにはタスクやToDoリストまで、日常生活を管理するために使われるあらゆる実用的なツールのことです。
どちらのアプリでも利用できるのがメモ帳。アイデアやタスク、感想をさっと書き留めるなどを行ったあとで、改めてまとめる作業ができます。
こうしたサブタスクやこまごましたことを、Evernoteの場合は「ノートブック」、Notionの場合は「ページ」にまとめるわけですが、どちらも基本的には似たような機能です。
また、どちらのアプリでも、古いメモやコンテンツを探したり、ほかのユーザーとコラボしたり、モバイルアプリまたはデスクトップブラウザからアカウントに簡単にアクセスができます。
さらに、スマホのホーム画面からメモやコンテンツに簡単にアクセスできるウィジェットも用意されているのがうれしい点(2つ以上のデバイスで同時にログインする場合、Notionなら無料ですが、Evernoteの場合は有料ユーザーのみ)。
最後に、EvernoteとNotionの両方とも、iPhoneとAndroidで利用できます。
両者の主な違い
Evernoteがメモを主軸としているのに対して、Notionは、どちらかというと何でも屋さんです。
Evernoteの中心にあるのは、さっとメモして、それをあとでノートブックにまとめる作業。一方、Notionには、学校の成績やプロジェクト管理、さらには献立のためのテンプレートなどが詰め込まれています。
検索機能に関しては、Evernoteが、わずかながらNotionにまさっています。タグとキーワードを、ノートとノートブックに簡単に追加できるからです。Notionの検索機能も悪くはないのですが、その方法はメモやToDoリストのテキストをただ探すだけ。
NotionのAIチャットボットも、正直微妙だと感じました。なぜなら、4日分のToDoリストを作成したあと、テストとして、翌日やるべきことをチャットボットに尋ねてみたのですが、「翌日のやるべきことに関するデータは何も見つかりません」とひたすら繰り返すだけだったためです。
しかたがないので、AIに新しいToDoリストの作成を頼み、翌日のリストにすでに手動で入力したのと同じタスクを伝えてから、もう一度尋ねてみました。それでも結果は同じで、何も見つけてくれませんでした。
Image: Lindsey EllefsonEvernoteにも、問題がないわけではありません。バグ関連のけっこう大きな問題に遭遇しましたし、使用中にラグも発生しました。
たとえば、ボタンを押しても機能しないことが何度かありました。アプリ内で録音しようとしたとき、ホーム画面で「音声」を何度もタップしたのですが、うんともすんとも言いません。
結局、Evernoteを強制終了して、再起動する羽目に。それで復旧はしたのですが、いま起きていることをリアルタイムで録音しようとしているときに、これでは困ります。
「スキャン」機能で、目の前にあるテキストの画像を取り込もうとしたときも、うまくいきませんでした。画像を編集可能なテキストに変換できる「文字起こし」ボタンも、何度タップしても機能しない結果に。
それぞれに向いているのはどんな人?
どちらのアプリにも、主なユースケースは3つあります。
「プライベート」「学校」「仕事」の個人的な整理です。特に学生さんには、どちらもおすすめ。どちらのアプリでも、書き取り機能で録音して、それを文字起こしできるので、講義の記録にはうってつけです。
PDFやウェブページをアップロードして保存できるなど、Evernoteは機能の宝庫。
一方のNotionも、チームの共同ワークスペースとしてシームレスに機能してくれます(今回の比較では、チームワークでの使い方を検証しませんでしたが)。
Image: Lindsey Ellefsonプライベートのいろいろなことを整理してまとめるうえで、どちらか1つを使うのであれば、私ならNotionを選びます。
なぜなら、Notionにはテンプレートやアイデアの強力なライブラリが入っているから。反対に、主な目的が純粋に「メモを取ること」なら、Evernoteがその力を発揮してくれるはずです。
それぞれの料金は?
話が面白くなるのはここから。
どちらのアプリにも、優れた機能が搭載されており、解決すべき問題もあります。ですが、両者の決定的な違いは、その料金です。まずはEvernoteから見ていきましょう。
Evernote:無料と有料プランでなにが違う?
Evernoteの無料プランで利用できるのはこちらです。
- 作成できるノートは50個まで
- 作成できるノートブックは1個まで
- 接続できるデバイスは1台まで
- 毎月250MBまでアップロード可能
- ノートサイズの上限は200MB
- Tasksやカレンダー、Webクリッパー(ウェブサイトのスクリーンショットをノートブックにロードする機能)などの利用
- 画像や文書検索、オフラインモード、PDF注釈などの高度なツールの利用
年額9300円のPersonalプランなら、無料プランの各種上限が一気に引き上げられます。
- 最大15万個のノートが作成可能
- 最大2000個のノートブックが作成可能
- 接続できるデバイスの数は無制限
- 毎月10GBまでアップロード可能
さらに、年額1万2400円のProfessionalプランなら、以下のサービスも利用できます。
- Adobe Acrobat Standardが1カ月間無料(その後も20%オフ)
- 毎月20GBまでアップロード可能
- AI編集とAIによる検索機能
となると、当然気になるのはNotionの料金でしょう。
ところがなんと、チームではなく個人で使うだけなら、料金は払わなくていいのです。
上のレビューで私が触れた機能は、すべて無料。しかも、アップグレードをしつこくせがんでくることもありません。
個人ユーザーが利用できる包括的な無料プランでは、ほかのNotionユーザーと、共同作業できるワークスペースも利用できます。SlackやGitHubなどのアプリとの連携も可能。
たとえば仕事などで、チームでNotionを利用する場合、1人当たり月額1650〜2500円の有料プランにアップグレードすれば、カスタムオートメーションやPDFの一括エクスポート、ダッシュボードなどの機能が利用できます。
先ほども述べましたが、私は今回のテストで、Notionをチーム作業には試していません。なので今回のテストは、あくまで個人的な評価ですが、Notionの評価はかなり高いです(しかも無料)。
そして勝者は…
Image: ライフハッカー・ジャパンNotionです。
最終的に、私がおすすめするのはEvernoteではなくNotion。あらゆる機能を無料で利用できる有利さを除いたとても、です。
- ToDoリストを作成する。
- 締め切りがある仕事のリマインダーを設定する。
- ショッピングリストをつくる。
- スケジュールを管理する。
これらはどれも、スマホに最初から入っているさまざまな機能を使えば、そもそもタダでできること。
なので、EvernoteやNotionのようなアプリは、グレイビーソース(おいしい肉を引き立てるソース)にすぎません。とはいえ、全部を1つの場所にまとめておける有能なグレイビーソースです。しかも、どのデバイスからでも利用できるのです。
カレンダーなどのツールと同期すれば、生活のいろいろな面が楽になります。それでも、グレイビーソースには変わりありません。
導入と維持のハードルがいちばん少ない方法は、料金を払わず、利用メリットを最大化することです。
著者:Lindsey Ellefson - Lifehacker US翻訳:ガリレオ Image: Lindsey Ellefson Source: Reddit(1, 2), Evernote, Notion