トヨタは新型「RAV4」でガソリン車廃止-米最販車、関税が逆風に
- EV失速でもHV需要は急拡大、全方位戦略のトヨタに追い風も
- 新型でも加と日本から輸入継続方針、価格は関税で左右と北米COO
トヨタ自動車は、同社では米国で最も売れている車種であるスポーツ用多目的車(SUV)「RAV4」のガソリン車モデルを廃止し、ハイブリッド専用モデルとする。先行きが不透明なトランプ政権による関税政策の影響も受ける見通しだ。
トヨタによると、今年中に発売するRAV4の新型は、ハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車を用意し、現行モデルの大半を占めていたガソリン車は廃止される。
トヨタは長年にわたり、電気自動車(EV)への急激な転換には慎重な姿勢を取っており、HVやガソリン車、燃料電池車を含めて全方位戦略を採用してきた。この戦略に対してはEV展開の遅れとして批判もあったが、近年のEV需要の減速を乗り切る一助となっている。
一方、HVの需要は急増しており、トヨタは米国市場におけるHV販売で首位を維持。トヨタとレクサスを合わせた米国販売台数のうち、今年1-3月には半数以上が電動モデルとなり、前年同期の37%から大きく伸びた。トヨタは、今年中に全車種に電動モデルを設定する方針だ。
トヨタ北米事業のマーク・テンプリン最高執行責任者(COO)は、「これまでHVの販売で得た成功体験が、RAV4でも通用すると確信を持たせてくれた」と語った。
ただ、ピックアップトラックを除けば米国で最も売れている乗用車であるRAV4には米国政府による25%の関税が大きな懸念材料となる可能性がある。
テンプリン氏は、新型に切り替わってもカナダと日本の工場から米国への輸入を継続する方針を示し、「3拠点全てが必要不可欠であり、1カ所だけでは生産が追いつかない」と説明。関税については何らかの形では残ると想定しているとしながら、「25%にはならないだろう」との見通しを示した。
米国で昨年販売されたRAV4のうち6割以上が輸入車で、その約半数がカナダ、2割弱が日本で製造されたものだ。
ホンダの「CR-V」や日産自動車「ローグ(日本名エクストレイル)、韓国現代自動車の「トゥーソン」などRAV4の競合車種も一部は海外生産に依存している。
新型RAV4の価格は未発表で、トヨタは通商政策の行方を見極めている段階だ。テンプリン氏は、エントリーレベルとして手頃な価格を維持したいとしつつ、「関税次第で左右される部分も大きい」と影響が出るとの見方を示した。