ビットコイン、7万ドルへの下落に市場備える-米大統領選直後の水準
- トランプ氏の2期目スタート以降、最高値から20%程度下落
- 高インフレへの懸念や交換業者のハッキング被害が重しに
トランプ米政権への期待感による資産価格などの上昇、いわゆる「トランプバンプ」が多くの市場で剝がれつつある中で、暗号資産(仮想通貨)ビットコインのオプション市場では、投資家やトレーダーが昨年の米大統領選直後の水準までの下落に備えている。
最大の暗号資産オプション取引所デリビットのデータによると、権利行使価格7万ドルのプットオプションの建玉は、28日に満期を迎える建玉の中で2番目に多い。同日には総額49億ドル(7290億円)の建玉が満期を迎える。ビットコインの7万ドルは、米大統領選直後に見られたレベルだ。
トランプ氏の2期目が1月にスタートして以降、ビットコインは最高値から20%程度下落している。同盟国か地政学上の敵対国かを問わず同氏が攻撃的な姿勢を示したことで投資家の信頼感が揺らいでいるほか、高インフレへの懸念も根強い。また暗号通貨市場では、交換業者バイビット(Bybit)が先週大規模なハッキング被害に見舞われた。
カンバーランド・ラブスのリサーチディレクター、クリス・ニューハウス氏は、「関税政策が見通しを一段と悪くしている上、短期のインフレ期待が依然強いことで全体的な警戒感が強まっている」と指摘。「バイビットへのハッキングは、価格への下落圧力を強めセンチメントに悪影響を及ぼした」と説明した。
コイングラスのデータによると、26日にはロング、ショート双方の暗号資産のポジション縮小が加速。ニューヨーク時間午後3時半ごろの時点では、わずか4時間で約4億2500万ドル相当のポジションが解消された。過去3日間で20億ドル余りの強気ポジションが閉じられた。
Traders yanked $1 billion from the cohort as coin's price declines
Source: Bloomberg
原題:Bitcoin’s Slide Has Traders Hedging Against a Drop to $70,000(抜粋)