「神経難病」の治療やリハビリ、サポートについて専門家に聞く…病院別の治療実績も紹介(読売新聞オンライン)
「神経難病」について、治療やリハビリに加え、患者と家族へのサポートなど院内だけでなく地域との連携を進める国立病院機構「大阪刀根山医療センター」(大阪府豊中市)の望月秀樹院長(神経内科)に話を聞いた。(冨山優介) 【一覧】大阪府内の病院別の治療実績
神経難病で患者数が最も多い「パーキンソン病」は体の震えなどの症状があり、転倒して骨折することも多い。骨折を専門的に診る整形外科医と神経内科医が連携して対応できるようにしている。
また、筋力が衰える遺伝性の難病「筋ジストロフィー」では遺伝子治療薬を使った治験も実施している。
台所や浴槽、段差のある和室を再現した専用の施設を使い、日常生活を送れるよう、作業療法士らがサポートしながら進める。理学療法士による、パーキンソン病や類似の病気に特化した運動療法プログラムも取り入れている。
また、病棟には卓球台があり、患者たちが楽しそうに汗を流している。チームを結成する患者もいて、何よりの「心の励み」となっているようだ。
退院調整を担当する専門の看護師を配置しており、医療ソーシャルワーカーらも交え、退院後に通う病院をどうするか、自宅でできるリハビリはどんなものがあるか、どんな在宅医療が受けられるかなどを患者や家族に説明し、話し合った上でより良い選択をしてもらう。
患者の状態に応じて退院から半年後や1年後というように経過もみるようにしている。
患者本人ももちろんだが、親ら家族を支えることも大切だ。医師による遺伝性疾患の遺伝相談もしている。公的な助成の対象となる病気が多く、就学支援も含めて紹介している。
神経難病に対しては息の長い取り組みが欠かせない。我々は「患者の人生全体を診る」という気持ちで取り組んでいる。
難病とは、原因不明で治療法が確立しておらず、患者数が少なく、長期の療養が必要な病気のことをいう。神経難病は、脳や脊髄に存在する神経細胞に異常が起きたり、減少したりすることで、認知機能や運動機能が低下する病気の総称だ。
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一覧表ではパーキンソン病、重症筋無力症、多発性硬化症、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の五つの主な神経難病の年間患者数や、筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症など小児(18歳以下)の神経難病の年間患者数を示した。
このほか、経験豊富な専門医が認定される日本神経学会の神経内科専門医や、日本小児神経学会専門医の常勤医数も掲載した。近年は原因の特定や発症の仕組みについての研究が進み、根治につながる新薬も登場している。専門医による正確で速やかな診断の重要性が増している。