真の「配当貴族」を探せ 総合力首位はアイティフォー
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「金の卵」を産む実力企業は──。日経ヴェリタスが独自の基準で配当株の総合力を測ったところ、高配当株ファンドの組み入れ銘柄などとは異なる意外な企業が浮かんできた。配当利回りが同程度でも、配当の源泉となる利益の成長力や、経営陣の株主還元に対する姿勢次第で中長期のパフォーマンスは大きく変わってくる。成長力や財務の健全性を備え、真の「配当貴族」となり得る30社を選んだ。
「投資開始から2〜3年ほどで資産が膨らみ始めた。配当がさらに配当を生み、自己資金ベースでみた利回りが高まった」
こう話すのは東京都内に住むショウさん @Shouyumehaitou(ハンドルネーム)。税引き後で年間300万円ほどの配当収入を得ており、2024年末にFIRE(経済的自立と早期退職)を決めた。投資戦略の基本は、配当を減らさず維持または増額する「累進配当」の方針を公表している企業への集中投資だ。
配当を狙った投資における最大のリスクは減配だ。東京電力ホールディングス(9501)や日産自動車(7201)の転落は学ぶべき教訓といえる。米国では数十年にわたって増配を続ける「配当貴族」という異名を持つ企業群が有名だが、身の丈に合わない大盤振る舞いを続けて「没落貴族」となっては元も子もない。
積極還元、安定財務、業績成長――。これらを兼ね備えた真の優良配当銘柄は何か。日経ヴェリタスは日経NEEDSのデータを使い、5つの指標を使って「シン・配当貴族」を選定した。
まず一般的な高配当株ファンドの組み入れ方針と同様に「予想配当利回り」と、純利益に占める株主還元の割合を示す配当と自社株買いを合わせた「総還元性向」を調べた。その上で、配当の安定性を示す指標として、過去どのくらいにわたって減配していないかを示す「累進配当年数」と、財務の健全性を示す「純資産に対する純有利子負債の比率」を加味。さらに配当の原資となる利益の伸びを示す「純利益成長率」を加えた。
総合ランキング首位は独立系ソフト開発のアイティフォー(4743)。5つの指標がすべて「A評価」となった。金融機関向けの債権管理システムに強みがあり、同社が開発する与信審査・延滞債権管理システムは全国の地銀のうち約75%で導入されている。債権の督促を電話で行う「オートコールシステム」を日本で初めて開発した企業でもある。
前期(2024年3月期)の連結純利益は7期連続で過去最高を更新した。金融業界の厳しいセキュリティー要件などを満たしたパッケージは引き合いが強いほか、「金利上昇で銀行の収益が改善し、システム投資を増やす流れが当社の追い風だ」(中山かつお取締役執行役員管理本部長)。
19日終値(1435円)で計算した予想配当利回り(年間配当ベース)は3.48%。株主還元は「1株当たり配当額を維持しつつ、『配当性向50%』『総還元性向70%以上』を継続する」(佐藤恒徳社長)ことを掲げる。還元強化のため2年連続で自社株買いも実施。22年度まで4割を下回っていた総還元性向は、今期は8割を超える見通しだ。
無借金経営を続けるなかで、手元資金から有利子負債を引いたネットキャッシュは「27年3月期末までに80〜90億円」との目標も掲げ、安定した財務基盤の構築にも気を配っている。
(小池颯、安田亜紀代、安田龍也が担当した。グラフィックスは田口寿一)
[デジタル版・日経ヴェリタス2025年3月22日号トップストーリーを一部要約]
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