【米国市況】S&P500が最高値更新、AI期待強まる-国債は続落
24日の米国株市場では、S&P500種株価指数が小幅ながら4日続伸。終値ベースでの最高値を更新した。グーグルの親会社アルファベットの決算で人工知能(AI)関連製品への旺盛な需要が示され、これまで強気相場を支えてきたAIに対する信頼感が一段と高まった。
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株式 終値 前営業日比 変化率 S&P500種株価指数 6363.35 4.44 0.07% ダウ工業株30種平均 44693.91 -316.38 -0.70% ナスダック総合指数 21057.96 37.94 0.18%S&P500種はここ19営業日で10回目の最高値更新。AIに対する楽観が強まり、エヌビディアは上場来高値を更新した。一方でテスラは8.2%安。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は23日の決算説明会で、電気自動車(EV)の優遇措置の終了により今後四半期は「厳しい」局面になる可能性を示した。
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S&P500種が最高値を更新し続ける中、上昇が行き過ぎているとの懸念が生じる可能性もある。だがJPモルガン・チェースのトレーディングデスクはそうした懸念は抱いていない。
グローバル・マーケット・インテリジェンス責任者のアンドルー・タイラー氏は、通常取引開始前に記したリポートで「強気姿勢がコンセンサスになっているという状況にはまだないが、顧客との会話からは、これまで弱気に傾いていた投資家でさえ降参し始めていることが分かる」と指摘した。
先週の米新規失業保険申請件数は6週連続で減少し、4月中旬以来の低水準となった。雇用市場の底堅さが示された。
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モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏は「労働市場に大きなひび割れが生じている兆候は依然ほとんど見られない」と指摘。「その状況が今後も続けば、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに動く理由は一つ減ることになる」と述べた。
eToro(イートロ)のブレット・ケンウェル氏は、労働市場は絶好調というわけではないが、深刻な悪化の兆候も見られないと指摘。来週発表される雇用統計で再び労働市場の健全性が示されれば、投資家にはさらなる安心材料となる可能性があると述べた。
ゴールドマン・サックス・グループやシタデル・セキュリティーズなどのトレーディング部門は、米国株が史上最高値を更新する一方で数々のリスクが迫る中、安価なヘッジの購入を勧めている。
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ニューヨーク証券取引所(NYSE)で株式を購入するための借入金であるマージンデット(証拠金債務)が過熱気味だと、ドイツ銀行のクレジットストラテジストは指摘した。信用市場にとって気掛かりな兆候となる可能性があるという。
予想外の関税引き下げが実施された場合や、FRBが市場の予想以上にハト派的なスタンスに傾斜した場合、市場の熱狂はさらに続く可能性もあると、ストラテジストらは予想した。
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国債
米国債相場は続落(利回りは上昇)。新規失業保険申請件数は6週連続で減少し、労働市場が底堅さを見せる中でFRBが難しい対応を迫られることが示唆された。
国債 直近値 前営業日比(bp) 変化率 米30年債利回り 4.94% 0.3 0.06% 米10年債利回り 4.40% 1.8 0.41% 米2年債利回り 3.92% 3.8 0.99% 米東部時間 16時52分ニューヨーク時間午後の早い段階では、大半の年限で利回りが2-4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇。10年債利回りは4.4%付近で推移した。金利スワップ市場では米利下げ観測がやや後退。年内に42ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の引き下げが織り込まれている。最初の利下げは10月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合との予想だ。
DWSアメリカズの債券責任者ジョージ・カトランボーン氏は「結論を言えば、失業率が4.1%の状態でFRBが利下げを行うのは説得力に欠けるということだ」と指摘。「FRBが動けない状況にある以上、利回りが現在のレンジを上抜けるのには限界がある」と述べた。
為替
外国為替市場ではユーロが対ドルでほぼ変わらず。一時の下げを埋める展開となった。欧州中央銀行(ECB)はこの日政策金利を据え置き、短期金融市場では追加利下げ観測が後退した。
為替 直近値 前営業日比 変化率 ブルームバーグ・ドル指数 1195.20 2.11 0.18% ドル/円 ¥147.00 ¥0.49 0.33% ユーロ/ドル $1.1747 -$0.0024 -0.20% 米東部時間 16時52分ラガルド総裁は政策判断発表後の記者会見で、「ECBは様子見に入ったと言えるかもしれない」と語った。
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マニュライフ・インベストメント・マネジメントのシニア・グローバル・マクロアナリスト、エリカ・カミレリ氏は「ECBのハト派姿勢はピークを過ぎた」と分析。「追加利下げの判断は、インフレよりもむしろ成長(そして貿易合意)がどう進展するかに左右されるだろう」と述べた。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.1%上昇。円は対ドルで下落し、1ドル=147円付近。日米貿易合意の市場への影響が意識されている。
原油
ニューヨーク原油先物は5営業日ぶりに反発。米国と欧州連合(EU)の関税交渉進展への期待に加え、テクニカル要因も相場の追い風となった。
トランプ政権がベネズエラでのシェブロンの石油生産再開を認めたと伝わり、過剰供給への懸念から売りが優勢になる場面もあった。
米国とベネズエラは最近、ベネズエラが拘束していた米国人10人を解放する一方、エルサルバドルで収監されていたベネズエラ人250人を本国に帰還させる取引を行っていた。
だが、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が終盤にかけて50日移動平均線を突破したことで、テクニカル要因の買いが集まり、相場を押し上げた。
バークレイズのアナリスト、アマルプリート・シン氏は「原油価格は最近、狭いレンジでの値動きが続いている。ボラティリティー指標を見る限り、市場参加者は原油市場の見通しについてますます楽観的な姿勢を強めているようだ」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物9月限は前日比78セント(1.2%)高の1バレル=66.03ドル。ロンドンICEの北海ブレント9月限は約1%上げて69.18ドルで引けた。
金
金相場は続落。米新規失業保険申請データが労働市場の力強さを示す内容となったことで、米政策金利が当面据え置かれるとの見方が強まった。
TDセキュリティーズのアナリスト、ダニエル・ガリ氏によると、金連動の上場投資信託(ETF)から中国の資金が流出していることも相場の重しとなった。資金流出は、上海市場における金のプレミアムが最近低下している動きと一致する。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時41分現在、前日比14.17ドル安の1オンス=3373.12ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は24.00ドル(0.7%)下げて3431.10ドルで引けた。
原題:Stocks Close at Record as Alphabet Fuels AI Hopes: Markets Wrap(抜粋)
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