期待するのは簡単だが…筒香嘉智と山川穂高、2本の劇的弾の裏に垣間見えた「プロの矜持」【日本シリーズ第2戦】

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ともに終盤、起死回生の一発を放った筒香(左)と山川(右)。写真:産経新聞社、鈴木颯太朗

 ホームランを打ったからといって、それまでの打席がすべて間違っていたことになるわけではない。逆に、凡退したからといって、その打席が何の意味もなかったことになるわけではないのも、また事実である。  10月25日の日本シリーズ第2戦。DeNAの筒香嘉智とソフトバンクの山川穂高が、それぞれホームランを放った。  筒香は8回に逆転3ラン。山川は9回に同点ソロ。試合の流れを大きく動かした2本だった。日本シリーズという大舞台で繰り出されたプロフェッショナル、2人のプレーや言葉には、プロの仕事とは何かを考えさせられたものだった。  2点を追う8回、筒香に打席が回ってきた。チャンスで迎えた打席。それまでチャンスと言っていいチャンスがなかっただけに、主砲として期待されるのは、もちろん一発である。 「ホームランが出ればもちろんベストですけど、まずは1点というところで、強い打球というのを意識して打ちました」  筒香のやけに核心をついた言葉だった。まず1点。そういってはいるものの、多少のホームランの意識が垣間見える。  というのも、第1戦に2安打を放った筒香の打撃にはどこか「軽打」の意識が感じられていたのだ。自身の打ちたい欲を消しながら、状況に応じたバッティングをしていく。彼ほどの実績と経験がある選手の献身的な姿勢はおそらくチームに大きな影響を与えているだろう。  ところが、この打席は明らかに違った。「これまでは軽打よりのバッティングでしたよね」と水を向けると、返ってきたのが先ほどの言葉だったのだ。  起死回生の逆転3ラン。求められる最高の結果を出す。外のストレートを狙って打ったかのように見えたが「僕はあまりコースを狙ったりはしないのですが、いけると思って振りに行った結果です」とのことだ。この一打に賭けた打球が、試合の流れを大きく変えたのだから凄まじいの一言である。  一方、山川のホームランには、また違った意味でプロフェッショナルの姿勢を感じた。  昨年の日本シリーズでMVPに輝いた山川だが、今シーズンは思うような結果が出ていなかった。第1戦ではベンチスタート。代打で出場したが、空振り三振に倒れている。  それでも、前日の打席について尋ねると、意外な言葉が返ってきた。 「僕的には良かったです。そんなに悪くはなかったです。結果は三振でしたけど、惜しいスイングはできていた」

 三振という結果だけで、自分の打撃をすべて悪かったことにはしない。スイングの中で出来ていたことを見つめ、そこに手応えを感じていた。

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