【ブラックホール爆弾を実験室で再現に成功?】エネルギーを爆発的に増幅させる宇宙最強兵器(スペースチャンネル)
物理学の世界で、長年「理論上の話」とされてきた“ブラックホール爆弾”を、地球上で生成する試みが行われました。国際研究チームが行ったこの画期的な実験では、「超放射」と呼ばれる現象が実験室レベルで確認され、ブラックホールが持つ未知のエネルギーの性質を解き明かす手がかりになると期待されています。
そもそも「ブラックホール爆弾」とは?
ブラックホールのイメージ 出典:ESA/Hubble1970年代初頭、理論物理学者ウィリアム・プレスとソウル・トゥコルスキーは、「ブラックホール爆弾(Black Hole Bomb)」という現象を提唱しました。これは、回転するブラックホールから放出された波が周囲の“鏡”に反射されて再びブラックホールに戻り、何度も繰り返すことでエネルギーが爆発的に増幅されるというものです。
そのアイデアの源流には、1969年にロジャー・ペンローズ(2020年ノーベル物理学賞受賞)が発表した「ブラックホールからエネルギーを取り出す方法」があります。そして1971年、ベラルーシの物理学者ヤコフ・ゼルドビッチは、回転する金属物体でも同様のエネルギー増幅が起こることを示しました。これが「ゼルドビッチ効果」です。
今回の実験、何をしたのか?
ブラックホール爆弾のイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)研究チームは、直径わずか4センチのアルミニウム製円筒を電動モーターで回転させ、その周囲に電磁コイルを配置しました。このコイルは磁場を発生させると同時に“鏡”の役割を果たし、電磁波を反射する構造になっています。
まず、弱い磁場を加えると、返ってきた信号が強くなり、エネルギーの増幅=超放射が確認されました。次に、外部からの入力を止めると、円筒が自発的に磁場を生成し、波が次第に暴走。ついには一部の回路が破損したというのです。あまりにエネルギーが増幅されすぎて、回路部品が爆発したと推測されています。
当然ながら、今回の装置は本物のブラックホールではありません。しかし、ゼルドビッチ効果を用いた「実験モデル」として、ブラックホールの回転や超放射、そして爆発的エネルギーの発生メカニズムを実証できたのではないかと考えられています。
ブラックホールじゃないけど、ブラックホールに似ている
将来のブラックホール再現のイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)この成果により、実際のブラックホールの観測が難しい今、実験室で同様の物理現象を再現することで、量子力学、熱力学、そして天体物理学の交差点にある新たな理論研究の扉が開かれると期待されています。
この研究はまだ査読前の段階ですが、専門家の間では「ブラックホール物理学の研究における大きな前進」として注目を集めています。実験室での再現に成功したことで、理論が現実の工学技術やエネルギー研究に応用される可能性もゼロではないのです。
とはいえ、実際に宇宙のブラックホールを使って“爆弾”を作ることはできませんが、地球上の小さな装置で宇宙のエネルギー現象を再現できたという事実は、人類の知識と技術の大きな一歩と言えるでしょう。皆さんは、ブラックホール爆弾が実現したとき、私達の未来はどうなっていると思いますか?ぜひコメントお待ちしています。
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