天の川銀河中心部の謎の天体「X7」、2035年頃に「いて座A*」へ最接近する見込み

【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)

(引用元:sorae 宇宙へのポータルサイト)

この画像は、天の川銀河中心部をとらえたものです。今回紹介するのは、天の川銀河の中心に位置する超大質量ブラックホール 「いて座A(いてざエースター:Sgr A)」に接近しつつある謎の天体「X7」です。

太陽の約430万倍の質量をもつ「いて座A*」の周囲では、恒星やガス雲が高速で公転しています。この領域では「G天体(G objects)」と呼ばれるガスと塵の塊がいくつも発見されています。G天体は恒星同士の衝突・合体で膨張した大気が起源とみられますが、その全貌はいまだ謎に包まれています。

2002年に初めて赤外線観測で確認されたX7は、地球の約50倍の質量を持つガスと塵の雲で、中心に恒星を持たないことが、G天体との決定的な違いです。細長い軌道を描いており、2035年ごろに「いて座A*」から約6000億kmまで最接近し、完全に崩壊するとみられています。

2025年4月に発表された研究によると、X7は恒星「S33(別名 S0-30)」が1950年ごろに起こした「かすり衝突(grazing collision)」で放出されたガスの残骸である可能性が指摘されています。シミュレーションでは、秒速約600 km で吹き飛ばされたガスが現在の形状と軌道を説明できることが示され、「衝突由来のガス雲」説が有力になっています。

編集/sorae編集部 原文・元記事/彩恵りり

※本記事は、2023年2月の情報をもとに2025年4月の情報を追加して再編集したものです。

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