雇用統計後の局長解任は「有害」、トランプ氏に選ばれた前任者が非難

トランプ米大統領が労働統計局(BLS)局長を解任したことについて、前任者は3日、根拠のない措置だと非難した。米経済の重要データに対する信頼を損なう行為だと警鐘を鳴らした。

  トランプ氏が政権1期目にBLS局長に起用したウィリアム・ビーチ氏は、CNNの番組で「非常に有害だ」と述べた。

  7月の雇用統計が市場予想を下回り、5、6月分が大幅に下方修正されたことを受け、トランプ氏はマッケンターファーBLS局長を解任した。

関連記事:トランプ氏、労働統計局長を解任-雇用統計を「政治操作」と非難

  今回の統計を「でっちあげ」と呼んだトランプ氏による局長解任について、エコノミストや議員らから非難の声が上がっている。

  ビーチ氏は「今回の解任に正当な理由があるとは到底思えない」とし、「統計制度を大きく傷つけ、BLSへの信頼性を損なう」と述べた。同氏は2024年1月にマッケンターファー氏と交代した。

  ビーチ氏は、BLSのデータが20-30年前に比べて精度を増していることが複数の研究で示されていると発言。速報値の修正を含めて正確性は高まっていると述べた。

  また、BLSの職員は「想像でき得る限り最も忠実な米国民の部類にある」とし、それがBLSを「世界最高の統計機関」にしていると語った。

データ収集の改善を

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は3日にCBSの番組で、不信感を招くような修正を避けるため、米政府はデータ収集を改善する必要があると発言。

  「われわれは消費者や企業の実際の動きを注意して見ている」とし、「このデータは他の方法で得られると思う。重点を置くべきはそこだ」と述べた。解任に関する政治的な動きには言及しなかった。

  マッケンターファー局長は上院で賛成86票、反対8票で承認されていた。当時上院議員だったバンス副大統領も賛成票を投じていた。

  ハセット米国家経済会議(NEC)委員長はNBCの番組で、雇用データの大幅下方修正について説明が不十分だったと主張。BLSには「新たな視点が必要だ」と述べた。

  政治的に中立な機関だというビーチ氏の意見に異を唱えようとする姿勢を見せ、「重要なのは、これらの数字を作るのに人間が関与したということだ」とも話した。

  トランプ氏は自分が気に入らないデータを提供した人物を誰でも解任するのかと問われると、「そんなことは決してない」と否定。「大統領は信頼の置ける人物を配置したいと考えている。それによって、われわれが目にする数字がより透明で信頼できるものになる」と述べた。

原題:Trump’s Former Jobs Data Chief Decries Firing of Successor (1)(抜粋)

関連記事: