Switch 2アプデ後に一部の非正規ドック動作不能 任天堂がブロック疑惑を全面否定

多根清史アニメライター/ゲームライター
Image:任天堂/YouTube

今月11日にSwitch 2のアップデート21.0.0が配信された直後、一部のサードパーティ製(任天堂が公認していない非正規品)ドックが使用不能になったという報告が多く寄せられました

ここで注目を集めたのは、この事態が任天堂による意図的なものなのか、それとも単なる偶然なのかという点です。

こうした懸念に対し、任天堂の広報担当はテック系メディアTom’s GuideやKotakuに対し、「合法的なサードパーティドックの互換性を阻害する意図は一切ない」という声明を出しました。

その全文は次のとおりです。

「Nintendo Switch 2は、正規ドックに接続されたことを認識すると映像・音声を出力します。Switchも同じく、正規ドックに接続されたことを検出すると映像・音声を出力します。任天堂は、合法的なサードパーティ製ドックの互換性を妨害したり無効にしたりする意図を一切持っていません」

Switch 2は標準のUSB-C端子を備えているように見えますが、内部では独自の暗号化プロトコルと認証システムを採用していると分析されています。つまり「任天堂が設定した合い言葉」を知らない周辺機器は、接続が拒否される仕組みになっていると考えられます。

さらにTom’s Hardwareの情報筋は、「任天堂がVID(ベンダーID)とPID(製品ID)を用途ごとに分け、充電とUSBデータ転送用、HDMI(映像出力)用に別々に使っている」という仮説を提示しています。VIDとPIDはUSB機材につけられる識別番号で、接続先の機器がそのデバイスを認識するために使われます。

つまりSwitch 2は、同じ機器であっても「このVID/PIDの組み合わせなら充電は許可するが、映像出力は許可しない」といった細かな制御が可能ということです。

この見方は、アップデート後の一部サードパーティドックで「充電はできるのにテレビ出力はできない」という状況を説明できます。ただし、あくまで仮説であり確定情報ではありません。

現在、Switch 2向けのサードパーティ製ドックやアダプターは多数販売されていますが、今回のアップデートで影響を受けたのは特定モデルのみです。ここから「任天堂が意図的にサードパーティ製ドックを無効化したわけではない」との声明は理に叶っているとも思えます。

実際、「4K TV Dock Kit」という非正規ドックを販売するNextは、アップデートにより一時的に互換性に問題が出たことを認めていますが、すでに社内のエンジニアが解決しており、週末にドック復旧用のファームウェア更新を配信する予定だと説明しています。

正常に動かなくなった非正規ドックをお持ちの方は、メーカーの公式発表を待つと良さそうです

なお任天堂は、アップデート21.0.0の説明ページ「本体を改造したり、任天堂がサポートしていない周辺機器やソフトウェアを使用したりすると、本体更新後に動作しなくなるおそれがあります」と警告しています。サードパーティ製品を直接禁止してはいないものの、故障の原因になり得ることを示唆していると言えます。

任天堂がUSB接続できる周辺機器を結果的に制限している理由としては、設計が不安定な非正規品によってハードウェア損傷や動作不良が起こり得ること、純正品以外の使用で問題が発生するとサポートが複雑化すること、周辺機器の統一によりユーザー体験と品質管理を安定させられることなどが考えられます。

いずれにせよ、サードパーティ製ドックを使う場合は「故障時に保証が受けられない可能性がある」など、自分がリスクを背負っていることを意識しておく必要がありそうです

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、マグミクスで記事を執筆中。

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