2050年には1000万人死亡? サイレントパンデミックとは?【#きっかけ解説】
ニュースのその先を考える記者解説。今回のテーマは、「2050年には1000万人死亡?サイレントパンデミックとは?」です。日本テレビ社会部・厚労省担当の雨宮千華記者が解説します。
――「サイレントパンデミック」…聞き慣れないですがどういうことでしょうか?直訳だと「静かな大流行」となりますが、実はいま、感染症にかかったときなどに処方される「抗菌薬」が効かない細菌、つまり薬の力に耐える性質をもった、「耐性菌」というのが世界中でじりじりと増えているんです。身近な例をあげると、こどもを中心に激しいせきが続く「百日せき」。去年、日本では感染者数が過去最多となりましたが、専門学会の調査で、採取した百日せき菌のうち、およそ8割がこの「耐性菌」だと判明しました。「耐性菌」に感染した赤ちゃんが薬が効かず、死亡するケースも起きています。いま、「百日せき」に限らず、様々な細菌の「耐性菌」が世界中で増えていて、仮にこのまま対策をとらなかった場合、2050年の「耐性菌」による死者数は全世界で年間1000万人にのぼるといわれています。
これはがんの死者数より多く“ひそかな感染の拡大”という意味で「サイレントパンデミック」と呼ばれているんです。
――なぜ「耐性菌」が増えているのでしょうか。大きな理由は、「不適切な抗菌薬の使用」です。病気にかかった私たちの体内には無害な細菌もたくさん存在していますが、病原体となる細菌が入り込んでいます。病原菌退治のため抗菌薬を飲みますが、このとき実は、無害な細菌も一緒に退治してしまうんです。そして、抗菌薬を使っているうちに一部の病原菌が、薬に打ち勝つために変化することがあります。これが「耐性菌」です。周りの菌が減った環境では、体内の「耐性菌」は増えやすくなります。
そして増えた「耐性菌」が人から人へ広がっていくというわけなんです。