ロシア軍がウクライナを396発の長距離ドローン・ミサイル攻撃、Kh

 2026年1月24日のウクライナに対するロシア軍の長距離ドローン・ミサイル攻撃は合計396飛来(ドローン375機+ミサイル21発)でした。異例なことにKh-22超音速巡航ミサイル(超音速空対艦ミサイルを対地転用)の纏まった使用があり、このミサイルで集中攻撃はこの戦争で初めての事例です。

※1月の大規模攻撃。なおドローンは毎日飛来している。

2026年1月24日迎撃戦闘:ウクライナ空軍司令部

  • ツィルコン極超音速巡航ミサイル×2飛来0撃墜
  • Kh-22/32超音速空対艦ミサイル対地転用×12飛来9撃墜
  • イスカンデルM/S-300弾道ミサイル×6飛来5撃墜
  • Kh-59/69空対地ミサイル×1飛来1撃墜
  • 自爆無人機と囮無人機×375飛来357排除(飛来うちシャヘド約250)

※飛来ミサイルのうち4発は報告時点で調査中で、未到達だった可能性がある。

※S-300は地対空ミサイルを対地攻撃転用したもので、準弾道飛行で超音速を発揮する。イスカンデルM弾道ミサイルと種類判別が出来ずに纏めて集計報告。

※Kh-22/32超音速空対艦ミサイル対地転用はTu-22M爆撃機で運用する。Kh-22の弾頭重量を半分にして射程を2倍にした改良型がKh-32。巡航ミサイルの一種で液体燃料ロケットエンジンを持ち、弾道ミサイルに近い高速を発揮するが、本来は対艦用であり対地での命中精度は劣悪。

※飛来ドローンは「シャヘド、ガーベラ、イタルマス型、その他のタイプの無人機」と記載。最近になってイタルマス自爆無人機の報告が増え始めている。

※「排除」とは撃墜/抑制(ЗБИТО/ПОДАВЛЕНО)のことで、抑制とは本来は電子妨害での無力化(迷走/墜落)を意味するが、しかしここではドローンに関しては囮無人機の燃料切れ墜落による「未到達」も含む。

※合計396飛来372排除、24突破 ※阻止率94%

ウクライナ空軍より2026年1月24日迎撃戦闘の集計報告

攻撃はキーウの電力施設に集中

ППО радар と monitorwar による共同作業の可視化地図(2026年1月24日)

攻撃経路の可視化地図の出典 : https://t.me/mon1tor_ua/61397

  • 橙色:弾道ミサイル(イスカンデルM/S-300:地上発射)
  • 白色:極超音速巡航ミサイル(ツィルコン:地上発射)
  • 緑色:超音速巡航ミサイル(Kh-22/32:空中発射)
  • 黄色:各種ドローン(自爆無人機/囮無人機:地上発射)

※Kh-59/69空対地ミサイルの1発は可視化地図に記載無し。※ППО радарmonitorwar による共同作業の可視化地図。両名はこの攻撃経路の可視化地図を世間に広めて欲しいとクリエイティブ・コモンズ・ライセンスをCC 4.0に設定。

高速ミサイル×20飛来14撃墜、6突破 ※阻止率70%

  • ツィルコン極超音速巡航ミサイル×2飛来0撃墜
  • Kh-22/32超音速空対艦ミサイル対地転用×12飛来9撃墜
  • イスカンデルM/S-300弾道ミサイル×6飛来5撃墜

 高速ミサイルは迎撃困難な目標ですが、パトリオット防空システムが配備されている首都キーウに攻撃が集中した為、阻止率70%という大きな戦果を上げました。またミサイル4発については報告時点でまだ調査中で、もしこれが未到達だった場合は阻止率90%に達します。

 弾道ミサイルに混じってS-300地対空ミサイル対地攻撃転用が含まれているとされていますが、しかしキーウに飛来しているので射程の関係上、ほぼ全てイスカンデルMであった可能性が高いでしょう。

 今回の攻撃で特徴的なのはKh-22/32超音速空対艦ミサイルが12発も纏まって使用されキーウに飛来したことです。このミサイルの対地転用での攻撃がこれほど一度に大量使用されたことはこの戦争で初めての出来事です。

Kh-22関連の過去記事

Kh-22撃墜事例

※2022年5月30日:Kh-22撃墜をウクライナ軍参謀本部が報告(何故か空軍は撃墜扱いしていない):出典

※2024年8月26日:Kh-22×3飛来1撃墜の報告(撃墜確実):出典

※2024年11月17日:Kh-22/Kh-31P×4飛来4撃墜の報告(Kh-31P対レーダーミサイルはKh-22とは全く別種で、Kh-22を撃墜したかどうか確定していない):出典

※2025年6月9日:Kh-22×3飛来2未到達の報告(撃墜していない):出典

※2026年1月24日:Kh-22/32×12飛来9撃墜の報告(撃墜確実):出典

 Kh-22の撃墜報告はこれまでこれだけしかありません。少数が散発的にパトリオット未配備地域に飛んで来ていた場合ばかりで、2026年1月24日の大量飛来と大量撃墜は初めての事例です。なおKh-22は非常に巨大なミサイルです。

参考:ロシア空軍Tu-22M3爆撃機(Kh-22超音速巡航ミサイル搭載)

参考写真:2023年6月10日バルト海上空のTu-22M3爆撃機(Kh-22超音速巡航ミサイル搭載)、イギリス空軍の発表

低速ミサイル×1飛来1撃墜 ※阻止率100%

 戦闘機から空中発射されるKh-59/69空対地ミサイルが1発だけ飛来しています。

各種ドローン×375飛来357排除、18突破 ※阻止率95%

  • 2026年01月24日:375飛来357排除、18突破 ※阻止率95%2026年01月20日:339飛来315排除、24突破 ※阻止率93%
  • 2026年01月13日:293飛来240排除、53突破 ※阻止率82%
  • 2026年01月09日:242飛来226排除、16突破 ※阻止率93%

 1月24日は長距離ドローン阻止率95%であり最近では最も高い数字です。一方で1月13日がドローン阻止率82%と他と比べて低い原因は、おそらく前線付近の都市が狙われている割合が多かったからだと推定されます。迎撃での阻止率は攻撃の種類や防空の質だけでなく、攻撃の目標選定次第でも大きく変動します。

突破数の打撃力換算

  • 2026年01月24日:合計7.8点(ドローン1.8点+ミサイル6点)
  • 2026年01月20日:合計7.4点(ドローン2.4点+ミサイル5点)
  • 2026年01月13日:合計23.3点(ドローン5.3点+ミサイル18点)
  • 2026年01月09日:合計19.6点(ドローン1.6点+ミサイル18点)

※打撃力換算はミサイルとドローンの弾頭重量差を10倍として、突破してきたミサイル1点、ドローン0.1点で計算する。

キーウのお菓子工場がロシア軍の攻撃を被弾、女性従業員1人死亡

※和訳「ロシアの攻撃で被害を受けたキーウのホロシェフスキー地区にあるロシェン工場の様子です。国家非常事態庁によると、工場の最上階が破壊され、1人が死亡、さらに2人が負傷しました。検察庁は、ホロシェフスキー地区で死亡したのは48歳の女性であると発表しました。」ウクライナ公共放送局ススピーリネ

※東欧最大級の製菓会社ロシェン(ROSHEN)はウクライナの元大統領ペトロ・ポロシェンコ氏が創業。

キーウの集合住宅に着弾

ウクライナ国家非常事態庁キーウ、消火活動

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