トランプ経済に有権者は冷めた見方、「嵐の雲見える」と共和党関係者

トランプ米大統領は2期目の政権運営を開始して半年余りで、米経済を完全に掌握した。良くも悪くも今や共和党は、このことを有権者に売り込む必要がある。

  トランプ氏は米経済は世界で最も熱いと自賛する一方、うまくいっていない点については他者に責任を転嫁する。1日に発表された雇用統計で雇用者数の伸びが大幅に減速していることが示された後、発表元である労働統計局の局長を解任した。

  不満のいくつかはバイデン前大統領に責任を押しつけ、金利が高過ぎると言って連邦準備制度理事会(FRB)批判を続けている。

  しかし政治的にはトランプ氏の立場は強固になった。大型減税・歳出法を成立させ、貿易相手国・地域への関税措置も新たな段階に入った。ラトニック商務長官はX(旧ツイッター)への投稿で「トランプ経済が本格的にやってきた」と誇らしげに語った。

  問題は米国民がこの状況を支持しているかどうかだ。来年の中間選挙ではトランプ大統領の経済政策面の実績に有権者が審判を下す。各種世論調査では関税や税制に有権者が不満を抱いていることが示されており、民主党にとっては攻勢をかける好機となる可能性がある。共和党が議会で過半数を失う事態となれば、トランプ氏の政策は頓挫し得る。

  米国内総生産(GDP)は純輸出のぶれで1-3月(第1四半期)に減少した後、4-6月(第2四半期)に回復。しかし、1-6月(上期)で見ると、前年同期の半分程度の伸びにとどまった。貿易戦争に伴う不透明感が広がる中、個人消費が鈍った。

  共和党ストラテジストのマーク・ショート氏は「経済は驚くほどよく持ちこたえている。インフレはなお比較的落ち着いている。しかし、地平線には嵐の雲が間違いなく見える」と述べた。

  トランプ氏は先週、最新の関税方針を発表。米国の貿易相手国・地域のほぼ全てが、以前より高い関税を課されることになる。関税は米政府に多額の歳入をもたらしているが、経済への長期的な影響はなお不明瞭だ。関税コストを負担するのは米国の消費者や企業だという懸念もある。

経済運営への不満

  FOXニュースが最近発表した世論調査によると、有権者の62%がトランプ氏の関税政策に不支持を表明。58%が減税・歳出法に反対し、55%が経済運営全般に不満を抱いている。

  6月のインフレ指標では、関税の影響により家具や家電などの価格が上昇し始めている兆候が示された。

  しかし、共和党ストラテジストのアレックス・コナント氏は「2、3年前と比べれば、今の経済を自分は間違いなく評価するだろう」とし、「大統領にとって打撃となるのはインフレと失業だ。現時点ではいずれも低水準にとどまっている」と述べた。

  民主党はトランプ大統領の減税・歳出法と関税措置を攻撃材料にする構えだ。同法にはチップ収入や残業代への新たな税優遇措置が盛り込まれている一方で、多くの低所得者層に打撃となる医療プログラムの大幅削減も含まれている。

関連記事:米大型減税・歳出法案、トランプ大統領の署名で成立-政治的勝利に

  民主党ストラテジストのジム・マンリー氏は「世論調査が示しているように、民主党はトランプ氏の経済運営に照準を合わせる必要がある。国民は満足していない」と述べた。

  関税措置がほぼ出そろった今、ホワイトハウスは8月から減税法に関する広報活動を本格化する計画。政府関係者によれば、州と地方の当局者は先週、ホワイトハウスで同法に関する説明を受けた。別の政権関係者によれば、トランプ氏自身も各地を回って同法をアピールする見通しだ。

原題:Trump’s Next Job: Selling Skeptical Americans on His Economy(抜粋) 

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