ドイツインフレ、2月は予想外に減速せず-フランスは4年ぶり低水準
- 短期金融市場でECBの利下げ見通し後退、ユーロは日中高値
- ECB注目のサービスインフレはドイツも仏伊とともに鈍化
2月のドイツのインフレ率は意外にも前月と同水準だった。利下げのスピードと規模を巡り欧州中央銀行(ECB)が直面する決断の難しさが浮き彫りになった。
連邦統計局が28日に発表した2月の消費者物価指数(CPI、EU基準)は前年同月比2.8%上昇で、前月と同じ伸び率。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想は2.7%への小幅低下だった。
これより先に発表された2月のフランスのインフレ率は4年ぶりの低水準で、イタリアのインフレ率も市場予想を下回った。スペインの総合インフレ率は2.9%だったが、コアインフレ率は急低下した。
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Source: Insee, Destatis, Istat
ドイツのCPI発表後にユーロは上昇し、1.0416ドルで日中高値を付けた。短期金融市場ではECBの利下げ見通しが後退し、年内に見込まれる追加利下げの幅は85ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、発表前の約87bpから縮小した。
ドイツ2年債は上げを解消し、利回りは前日から変わらずの2.04%前後となった。
ドイツの総合インフレ率は高止まりした格好だが、フランス、イタリアとともにECBが注目するサービス価格の伸びは緩和した。ECBは年内に総合インフレ率が目標の2%に低下することに引き続き自信を示している。
また、ECBが同日発表した月次調査によると、消費者が見込む今後12カ月間の物価上昇率は2.6%と、前月の2.8%から後退。3年先の予想インフレ率は2.4%で変わらなかった。
だが、3月6日の政策判断を前にブルームバーグが調査したエコノミストらは、インフレ率がECBの目標をオーバーシュートする可能性が高まっているとの見方を示した。ドイツの輸入物価は1月に2年ぶりの大幅上昇を記録し、こうした懸念を強めた可能性がある。
原題:German Inflation Fails to Slow After France and Italy Undershoot(抜粋)