最も集客したクラブは? Jリーグ観客数ランキング51~60位。全60クラブの最下位に沈んだのは…【2024年】

 2024シーズンの明治安田Jリーグは全日程を終えた。長い戦いの中でそれぞれのクラブに紆余曲折があったが、シーズンを通して最も多くの観衆を動員したクラブはどこなのか。J1~J3の全60クラブのホームゲーム入場者数を集計してランキング形式で51〜60位を紹介する。

60位:テゲバジャーロ宮崎

【写真:Getty Images】

本拠地:いちご宮崎新富サッカー場 収容可能人数:5,360人※芝生席含む

平均入場者数:1,165人

 2021年からJリーグを戦うテゲバジャーロ宮崎が、今季のスタジアムへの平均入場者数において全60クラブ中ワーストとなっている。2024シーズンは1,165人を記録した。

 今季のリーグ戦の最終順位は15位だが、序盤から中盤にかけて大いに苦戦を強いられた。開幕から7戦未勝利で、第10節・FC岐阜戦勝利後に最下位を脱したものの、その後も低空飛行から抜け出せなかった。

 しかし、第25節以降の14試合で9勝3分2敗と立て直すと、第36節にJ3残留が確定。この間の戦いが評価され、チームを率いる大熊裕司氏はJ3リーグ9月度月間優秀監督に輝いている。

 序盤の低迷が客足に影響したのか、シーズン前半の多くで観客動員が3ケタ台にとどまっている。第20節のホーム・FC岐阜戦以降は安定して1,000人を超えており、チームの成績と集客が連動していることが窺える。

 気がかりなのは、年間順位が今季より下の昨シーズンのほうが平均入場者数が多いことだ。昨季は1,552人を記録しており、ホーム全19試合のうち3ケタ台にとどまったゲームはひとつもない。

 宮崎の不幸はJ参入のときに、新型コロナウイルスが世の中を襲っていたことだ。2020シーズンにJFLで2位を記録して翌年にJ3へ参加したが、入場制限などでファン・サポーターは満足に現地観戦ができなかった。

 Jリーグの感染対策ガイドラインが廃止されたのは2023年5月になってからで、この年にようやく客足が基本水準になったと見られる。すなわち宮崎のファンにとっては昨季が始まりで、“満を持して”という期待感でスタジアムへ足を運んだ可能性がある。

 その観点では、チームとしては是が非でも良い結果を残したかったが、今季の踏ん張りを見てまたスタジアムへ足を運ぶファンもいるかもしれない。来季は終盤で見せたような戦いが期待される。


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【写真:Getty Images】

 2014シーズンからJリーグを舞台に戦っていたいわてグルージャ盛岡は、11月17日にJFL降格が決定した。2022シーズンにはJ2でも奮闘を見せたが、来季からは再びJ昇格を目指す。

 2019シーズンにJ3で最下位を叩いてから、成績に波はあったものの、今季ほど苦戦した年はなかった。J2の壁に躍進を阻まれた翌2023シーズンも、勝ち点「54」を得てJ3・10位に踏みとどまった。

 今季は清水エスパルスとの契約が満了したGK大久保択生、V・ファーレンのDF高橋峻希らベテラン選手を獲得し、J3優勝とJ2返り咲きを狙ったが、結果は振るわなかった。

 開幕5試合で勝ち星をあげられず、第11節には福島ユナイテッドFCを相手に0-9の大敗を喫した。第14節からは1度も最下位を脱することなくシーズンを終えている。

 観客動員でも苦しい状況にあり、第3節ガイナーレ鳥取戦で記録した2,575人が最大値だ。スタジアムの収容可能人数がそもそも5,046人とサイズ感が大きくないことも影響しているが、それでも最大集客でようやく半分というのはやや寂しい。

 なお、動員2,000人を超えたのはガイナーレ戦を除くと第26節のカマタマーレ讃岐戦(2,087人)、最終節の福島戦(2,151人)のみだ。今シーズンからJリーグはJFLからの入会要件のひとつに「ホーム戦の平均観客動員数2,000人以上」を定めたが、それも来季以降の盛岡の悩みの種となるかもしれない。

 また、11月25日に盛岡は、秋田豊代表取締役社長兼オーナーとNOVAホールディングス株式会社との株式譲渡契約を締結し、同社が保有するいわてアスリートクラブの株式は全体の51.4%となったことを発表した。それに伴い、秋田氏の退任を含む人事の変更も行われた。

 ゼネラルマネージャー兼強化部長には元サッカー日本代表の水野晃樹氏が就任し、捲土重来を目指す。


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【写真:Getty Images】

 12月1日と7日に史上初のJ3・JFL入れ替え戦が行われ、Y.S.C.C.横浜と高知ユナイテッドSCが対戦した。今季のJFLで2位に入った高知が2戦合計3-1で勝利をおさめ、J3・19位のYS横浜を相手に下剋上を果たした。

 この結果、YS横浜は来季からJFLで戦うことになり、2013年以来12年ぶりにプロカテゴリーから外れることが決まった。リーグ前半戦は16位につけていたが、第22節から9試合勝ち星をあげられず、第28節のカターレ富山戦で2-3で敗れると19位に転落。一時は18位に再浮上したが、最終的にはプレーオフに進まざるを得なかった。

 しかし観客動員数は右肩上がりを示している。新型コロナウイルスの影響を受けた2020年~21年を除き、2022年以降は、2019シーズン以前のスタジアムへの平均入場者数を更新し続けている。今季の1,557人という数字は、クラブがJ3に昇格して以来最多だ。

 それゆえにJリーグ残留は至上命題だったが、チームの平均年齢が「25.2」と若い高知の勢いを止められなかった。

 今シーズンよりJリーグはJFLからの入会要件のひとつに「ホーム戦の平均観客動員数2,000人以上」を定めたが、現状のYS横浜にとっては厳しい水準だ。

 しかし、先述の通り、観客数が右肩上がりだったのも事実。JFLでも集客に尽力し、その努力が実を結べば、決して達成不可能な目標値ではないだろう。


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 2019年にJリーグへ参戦したヴァンラーレ八戸は、直近3年間は中位に安定している。今季は11位でシーズンを終え、昨季はクラブ史上初の一桁順位である7位でJ3をフィニッシュした。2022シーズンは10位を最終順位としており、チームとして安定感を見せている。

 このクラブの不幸は、Jに加入した直後に新型コロナウイルスのパンデミックが世の中を襲ったことだ。2019年にスタジアムの平均入場者数1,760人を記録したあと、翌シーズンは規制の影響で666人まで落ち込んでいる。

 しかし近年の安定した成績に伴い客足も徐々に戻ってきている。特に快挙を成し遂げた昨季はJ3昇格以来最多の1,890人を記録しており、総入場者数も35,916人と過去最高の値を叩いた。

 今季の平均入場者数は1,728人と、昨季に比べれば若干数字が落ちているが、動員はパンデミック以前の水準まで完全に戻ったと考えて良いだろう。それに、先述の通り2019シーズンはJ初参戦の年だ。記念すべきシーズンと同水準ならば、前向きに捉えるには十分のはずである。

 J3で中位をキープできることを証明できたチームの今後は、上位進出ひいてはJ2昇格が現実的な目標になってくるだろう。


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 福島ユナイテッドFCは今季のJ3リーグで5位にすべり込み、最終的にはJ2昇格プレーオフまで辿り着いた。しかし序盤は大苦戦。開幕10戦で2勝2分け6敗と振るわず、第10節のSC相模原戦に0-1で敗れたあとに18位まで落ち込んだ。

 福島の快進撃はこの直後、第11節いわてグルージャ盛岡戦から始まる。この試合に9-0というスコアで大勝をおさめ、J3の1チーム最多得点記録を更新してから、第18節まで勝ち点「21」を稼ぎ出した。6月23日のFC大阪戦に2-0で勝利したあと、自動昇格まであと一歩の3位まで順位を伸ばしている。

 なお、プレーオフではリーグの最終順位で上回られた松本山雅FCに引き分けたため、惜しくもJ2昇格を逃してしまった。

 今季のスタジアム平均入場者数は1,800人と、J3の中でも下位クラスだが、今年はポジティブな要素も見出せる。最終順位「5」は2021シーズンに並んでJ3加入以来最高の成績だが、当時は新型コロナウイルスの影響により平均入場者数877人にとどまった。対して今季の1,800人はクラブがプロカテゴリーに移行して以来最多である。

 とりわけ8月31日のギラヴァンツ北九州戦で行われた「5000人プロジェクト」の影響は大きく、縁日などが開催されたこの日は5,471人が来場した。収容可能人数の5,710人に迫る動員を達成したプロジェクトが、平均入場者数を大きく引き上げた。

 昨季はJ3で15位と、成績にやや波があるのが福島の特徴だが、今シーズンの戦いを今後も見せられれば集客面にもポジティブな効果があるはずだ。来季こそ、J2昇格に向けて捲土重来を図る。


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 FC大阪と並び、現在のJリーグで最も参加歴が浅い奈良クラブ。2023年からJ3を戦う同クラブは、参戦初年度にいきなりリーグ5位の好成績を残したが、今季は終始苦労が続くシーズンだった。

 一桁順位に浮上することは一度もなく、第26節のFC今治戦で0-6の大敗を喫すると、JFL時代からチームを牽引してきたフリアン・マリン・バサロ監督を解任。さらに第32節のFC大阪戦に敗れると、一時はJ3・JFL入れ替え戦を戦う19位まで沈んだ。最終的に奈良は最終順位を17位で終え、J3残留を決めたが、昨季の躍進を考えると悔いが残る結果である。

 しかし観客動員には勢いがあり、今季は昨季よりもスタジアムへの平均入場者数が多い。1,879人という数字はメガクラブに比べると少なく見えるが、昨シーズン(1,781人)から平均値を100近く伸ばしたことは前向きに捉えて良いはずだ。

 それだけに成績面での挽回が期待される。シーズン途中から指揮を執った中田一三監督の采配もあり、第29節以降の奈良は12試合で2勝8分け2敗と、それまでの5勝10分け11敗から改善が見られた。来季も同氏の続投は決まっており、今後はいかにして勝ち星をあげてゆくかに焦点があてられる。

 良い成績を維持できれば、さらに客足も伸びるはずだ。


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 2014~2018シーズンまではJ2を舞台に戦っていたカマタマーレ讃岐。J3では6シーズン目となる今季は、序盤に大苦戦を強いられた。開幕から12試合で白星なしの状況が続き、第10節にギラヴァンツ北九州と引き分けた時点でリーグ戦最下位に沈んでいた。

 しかし第13節ホーム・アスルクラロ沼津戦で勝ち点「3」を獲得すると、そこから大きく巻き返す。一時は13位まで浮上し、最終的に16位に着地した。

 第36節まではJ3残留が確定していなかった影響か、スタジアムへの入場者数はシーズン後半にかけて増えている。

 第27節のFC岐阜戦からのホーム6試合で入場者2,000人を割ったのは、第33節のテゲバジャーロ宮崎戦のみである。最多入場はホーム最終節のFC今治戦で、平均の1,949人を大きく上回る4,579人が来場した。

 しかしやはりJ2時代と比べると寂しく、7勝しかあげられず単独最下位でJ3降格を決めた2018シーズンでさえ平均入場者数は3,073人を記録している。J2で戦った4シーズンのうち3,000人を割ったことは一度もない。

 3部と2部で注目度が異なることは言うまでもないが、クラブの動員ひいては収入を考えると、少しでも上のカテゴリーで戦うことは重要だ。讃岐はJ3に降格してから順位を一桁で終えられたシーズンがなく、浮上のきっかけを掴みたいところだ。

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