大和証G社長、反DEI追随せず取り組み強化必要-東京プライド参加

氏兼敬子、堀内亮

大和証券グループ本社の荻野明彦社長は8日、米トランプ政権の誕生によって多様性・公平性・包摂性(DEI)を推進する流れの後退懸念が強まる中、「社員の力をより発揮できる環境を整えることにつながる」などとして、取り組みを強化することの重要性を訴えた。

  同日都内で開かれたLGBTQ(性的少数者)などへの理解を広めるイベント「東京プライド2025」の会場で、記者団の取材に応じた。同社は昨年に続いてのイベント参加で、今回はトップ自らが会場に足を運んだ。

  グローバル企業では一般的となっていたDEI政策を巡ってはトランプ米政権が「違法」と位置付けたことで、米企業などを中心に取り組みを後退させる動きが相次いでる。

  米金融業界ではシティグループが今年2月、DEIの目標廃止を発表。バンク・オブ・アメリカ(BofA)はこれまで規制当局への届け出で多様性と包摂性に関する「意欲的な」目標に言及していたが、今後はそうした目標を掲げない。ウェルズ・ファーゴのウェブサイトからはDEIに関するページが削除された。

  こうした動きに関連して荻野社長は「実態の中身として社員のサポート体制などをすごく後退させてる企業はそれほどない」と指摘。一方、日本国内でのDEIに関する取り組みについては、米国と比べてかなり遅れているとして「米国が反DEIを掲げたからといって日本がそれに追随するというよりは、この遅れを取り戻すぐらいの感じで進めていかなければいけない」と語った。

  企業によるDEIへの取り組みに関しては、多様性を推し進め過ぎた米国企業がトランプ大統領の標的となる一方、多くの日本企業にとってはまだ不十分だと指摘する見方は識者からも出ている。

  大和証Gが女性活躍を推進する取り組みを始めたのは2006年から。荻野社長自身も08年4月から半年間、初代の「女性活躍推進室長」を務め、同社グループの働き方改革に早くから取り組んできた。

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