トヨタ、特定条件下で運転手不要な自動運転車を27年度に市場導入へ
トヨタ自動車は15日、特定の条件下で運転手が不要な「レベル4」の自動運転システムを搭載した車両を2027年度に市場導入することを目指すと発表した。
トヨタは運転操作の一部を自動で行う「レベル2」相当のシステムに対応可能な車両として電気自動車(EV)「e-Palette(イーパレット)」を同日から販売開始すると発表。レベル4に準拠したシステムを搭載した車両の市場導入に向け、継続して機能実装していくという。
当初は10月に開業する東京・お台場のトヨタグループ建設の次世代アリーナ周辺とトヨタが静岡県裾野市で建設する実験都市「ウーブン・シティ」から導入し、輸送サービスでの活用や物品などを販売する移動型店舗などの取り組みを進めていく。販売価格は2900万円(消費税込み)から。
自動運転技術を使ったロボタクシーなどの展開では、米アルファベット傘下のウェイモや中国の百度(バイドゥ)などが先行する。市場調査会社のグランド・ビュー・リサーチによると、自動運転車の世界市場は30年までに現状の3倍となる約2140億ドル(約31兆円)まで成長する見込みだ。実用化で出遅れ気味の日本勢は潜在的な巨大な市場を失う恐れもある。
ホンダは米ゼネラル・モーターズ(GM)と26年初頭から無人運転タクシーサービスを一部地域で始める計画だったが、中止も選択肢に入れていると昨年12月に示した。日産自動車は、自動運転によるモビリティサービスを27年度に事業化する方針だ。
自動運転技術を載せた車両の事故は注目を集めやすく、開発企業は厳しい批判に晒されるリスクもある。
GMは傘下のクルーズを通じてロボタクシーの開発を進めていたが、23年に人身事故を起こし、撤退を発表した。米テスラも「レベル2」に分類される同社の運転支援システムを巡り訴訟を起こされ、当局の調査を受けた。
トヨタもイーパレットが21年、東京パラリンピックの選手村で接触事故を起こし、当時の豊田章男社長が謝罪する事態となった。
豊田氏は同日のアリーナの開業記念イベントで、イーパレットについて「将来は自動運転になると思うが、それは安全第一で考えている」と述べた。