ネタニヤフ氏、「大イスラエル」構想を支持 アラブ諸国猛反発

 発信地:カイロ/エジプト [ エジプト 中東・北アフリカ ]

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【8月15日 AFP】アラブ諸国は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が「大イスラエル」構想への支持を表明したとみられる発言を激しく非難し、中東情勢が緊迫する中でのこの発言を自国の主権に対する脅威と呼んだ。

大イスラエルとは、ソロモン王時代のイスラエル王国の領土に関する旧約聖書の解釈を指し、現在のパレスチナ自治区ガザ地区とヨルダン川西岸だけでなく、現在のヨルダン、レバノン、シリアの一部も含まれる。

イスラエルの超国家主義者(ウルトラナショナリスト)たちは、これらの地域の占領を求めている。

12日にイスラエルのテレビ局「i24ニュース」のインタビュアー、シャロン・ガル氏から大イスラエル構想に賛同するかと問われると、ネタニヤフ氏は、「もちろん」「私の考えを問われれば、賛同する」と回答。

それからイスラエル建国に言及した後、イスラエルの存続を確保するという「偉大な使命」について語った。

イスラエルの隣国ヨルダンは13日、ネタニヤフ氏の大イスラエル発言を「危険で挑発的なエスカレーション」であり「国家主権への脅威だ」と非難した。

ヨルダン外務省の報道官は、ネタニヤフ氏の「扇動的」な発言と「妄想的な主張」を拒絶した。

エジプトも13日、「この件について説明を求めた」として、大イスラエル発言は「中東における和平の選択肢を拒否する」に等しいと批判した。

ネタニヤフ氏の発言は、イスラエルとイスラム組織ハマスの間で1年10か月続くパレスチナ自治区ガザ地区での紛争のさなかに出たもの。この紛争は繰り返し中東全域に波及し、アラブ世界全体からイスラエルへの非難が相次いでいる。

イラク外務省は14日、ネタニヤフ氏の発言について、イスラエルの「領土拡張主義的野心」を露呈するもので、「諸国の主権に対する明白な挑発」だと非難した。

ガザ紛争の仲介役を務めるカタールも、ネタニヤフ氏の発言を「不合理」かつ「扇動的」だと非難した。

イスラエルの領土拡大を示唆する発言は、ネタニヤフ政権の極右閣僚がガザの制圧とヨルダン川西岸の併合を要求している中で出た。イスラエル政府は最近、ヨルダン川西岸において、国際法上違反とされる一連の新入植地建設を承認した。

サウジアラビアは13日、「イスラエル占領当局が採用した入植と領土拡張のための構想・計画を決して認めない」と表明し、「パレスチナ人が独立国家を樹立する歴史的かつ法的権利」を改めて強調した。

ネタニヤフ氏は2月にも、サウジアラビア領内にパレスチナ国家を樹立する可能性を示唆し、アラブ諸国の激しい反発を招いた。(c)AFP

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