アメリカとイラン戦闘終結協議が決裂危機 レバノンめぐり“食い違い”浮き彫りに

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 アメリカとイランの戦闘終結に向けた協議が決裂の危機だ。双方が「停戦合意の違反」を主張し、イランの大統領は「交渉は無意味になる」と反発している。

モジタバ師 停戦後初声明

 アメリカとイランの戦闘終結に向けた協議は、仲介国のパキスタンで11日に開催される予定だ。アメリカの代表団はバンス副大統領が率い、イラン側はガリバフ国会議長とアラグチ外相が交渉に当たる見通しとなっている。

 そうした中、「タスニム通信」は日本時間10日未明、イランの最高指導者モジタバ師の停戦合意後初となる声明を伝えた。

 声明では、アメリカとの戦闘について「大勝利へと導いた」としたうえで、「イランは戦争を求めてはいないが、自らの権利を放棄することはない」と主張したということだ。

 アメリカとイランの停戦合意。そこには、“影の主役”の存在があったという。

 アメリカとイランの戦闘終結に向けた協議で、仲介国となったのがパキスタン。

 そのパキスタンが接触していたのが中国だ。先月31日、パキスタンのダール副首相兼外相は中国を訪問し、王毅外相と会談し握手を交わしている。

 パキスタンと中国の関係を両国の政府は、「全天候型戦略的協力パートナーシップ」と称している。

 これはつまり、外的な環境変化に左右されない関係だということだ。

 その親密さを示すポイントが2つある。

 1つ目は、中国とパキスタンの港湾を結ぶ物流ルート“中パ経済回廊”。この計画に、中国が巨大なインフラ投資をしている点。

 2つ目は、中国の武器の輸出先。過去5年の約8割が、パキスタンとなっている。

 そして、仲介を進めるパキスタンに寄り添う形で、中国はイランを説得したという。

 7日、トランプ大統領はAFP通信の電話インタビューで、「中国がイランに停戦交渉を促したのか?」と聞かれ、「そうだと聞いている」と回答。中国がイランを交渉の席に着かせ、停戦合意に導いたとの認識を示した。

 その中国は、イランとも非常に密接な関係にある。

 経済分野では、イラン産原油の輸出先の9割超が中国で、年々増加傾向にある。外交分野では、イランの国際枠組みへの加盟を中国が支援し、国際社会からの孤立緩和に貢献してきた。

 このような関係を背景に、ニューヨーク・タイムズ(8日)がイラン政府関係者の話として、「中国がイランに対し、柔軟性を発揮して緊張緩和を図るよう要求した」と伝えていて、イランも停戦案を受け入れたとみられている。

 停戦合意後も、イランは攻撃を続けているという。標的となったのは、原油関連施設だった。

 フィナンシャル・タイムズ(8日)によると、イランは非軍事施設であるサウジアラビアの東西パイプラインをドローンで攻撃したとみられる。攻撃があったのは8日で、2週間の停戦開始後だったと伝えている。

 このパイプラインは、ホルムズ海峡が事実上封鎖される中、原油を紅海側に運ぶもので、全長1200キロある。サウジアラビアにとって、原油輸送の生命線になっている施設だ。

 攻撃を受けたパイプラインについては、運用にどれだけ影響があるか最終確認中だということだ。

 またサウジアラビア以外の湾岸諸国、クウェート、UAE、カタール、バーレーンなどに対しても、イランの攻撃があったという。

食い違う主張…レバノンは?

 イスラエルのレバノンへの攻撃をめぐって、アメリカとイランの協議は決裂が危惧されている。

 イランが公表した10項目の停戦条件についてである。

 10項目に「レバノンを含む全戦線の戦闘停止」についてとあるが、アメリカとイランの“食い違い”が浮き彫りになっている。

 この「レバノンでの戦闘停止」について、アメリカとイスラエルは停戦条件に“含まれない”とし、イランと仲介国のパキスタンは“含まれる”としている。

 そうした“食い違い”もあり、8日にイスラエルは、レバノン全土で親イラン武装組織「ヒズボラ」の拠点などを対象に最大規模の攻撃を実施した。

 ただ9日、トランプ大統領はアメリカNBCテレビのインタビューで、イスラエルのネタニヤフ首相に対しレバノンへの攻撃の自制を求めたことを認め、「攻撃は縮小している」と述べた。

 ネタニヤフ首相は、レバノン側から要請が繰り返しあるとし、レバノン政府との交渉を早期に始めるよう内閣に指示したと9日に表明した。

(2026年4月10日放送分より)

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