巨大テックが子どもを守らないなら国家が守る。デンマークがSNSを本格規制

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巨大テック企業に立ち向かうことはできるか。

ソーシャルメディア、いや、インターネット全般が、子どもたちにとってあまり良くないという証拠は山ほどあります。スマホを持ったティーンエイジャーは、大人と同じようにネット上のあらゆる有害なコンテンツにアクセスできてしまうのに、それを適切に処理できるだけの精神的な成熟さはまだありません。

今では多くのティーンが毎日何時間もスマホに張り付き、ソーシャルメディアが自分にとって良くないと思いながらも、やめられない状態です。不安やうつ病の増加など、ソーシャルメディアに関連する社会的・心理的な弊害を挙げればきりがありません。

そんな中、子どもたちを守るための動きが世界で広がっています。

アメリカでは連邦レベルでの対策は進んでいませんが、各州が独自にティーンのデジタル利用を制限する規制を設けています。

一方でもう少し積極的に動く国も。デンマークは若者を守るために最もシンプルな方法、つまり「ソーシャルメディアそのものを禁止する」ことを選びました。

AP通信によると、デンマークのデジタル化担当大臣であるCaroline Stage氏は、15歳未満の子どもがソーシャルメディアを使うことを禁止する方針を発表したとのこと。ちなみにオーストラリアも似たような取り組みを進めています。

子どもたちを守ろうとしない巨大テック企業

Stage氏はAP通信にこう語りました。

「子どもたちがオンラインで過ごす時間の長さ、そして目にしている暴力的なコンテンツや自傷行為の多さは、子どもたちにとってあまりにもリスクが高すぎます。

巨大テック企業は莫大な資金を持っているのに、子どもたちや私たち全員の安全のために投資しようとしません」

この禁止措置はすぐに発効するわけではなく、今後数カ月以内に詳細を詰めていく予定だとStage氏は述べました。今後の流れについて、同氏は次のように説明しています。

「デンマークは急いで対応しますが、急ぎすぎることはしません。きちんとした規制を作り、巨大テック企業が抜け穴を使えないようにする必要があります」

こうした禁止措置を実際にどうやって施行するのかは、まだはっきりしない点が多いものの、Stage氏によると、公式の年齢確認アプリの開発を計画しており、それが今回の禁止措置に関わってくるようです。

テクノロジーとのいたちごっこ

テクノロジーの規制は昔から難しく、技術の進化が速いのに対して、規制当局の対応はどうしても遅くなりがちです。各国がようやくソーシャルメディアによる悪影響に対応しようとしている今、AIが新たな社会問題の火種になっているというのも、なんとも皮肉な話です。

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