子供失った親がメタ本社前で抗議、SNSの安全対策を要求
ソーシャルメディアの利用で子供が命を落としたと主張する遺族が24日、米ニューヨーク市にあるメタ・プラットフォームズの本社前で抗議活動を行った。
ネットいじめや合成麻薬フェンタニル混入の錠剤、性的脅迫(セクストーション)、自殺を美化するコンテンツなどが子供らの死につながったと遺族らは訴えた。中には11歳という若さで亡くなった子供もいたという。
遺族となった30人余りの親たちは、「メタは利益を得ているが、その代償を払っているのは子供たちだ」と書かれた横断幕を掲げ、抗議の声を上げた。
これら遺族の多くは、子供らの死は不当だとしてメタなどソーシャルメディアプラットフォームを相手取り訴訟を起こしている。全米各地や英国からも遺族が集まり、イーストビレッジにあるメタの本社前で追悼集会が開かれた。主催者の1人によると、今回の集会はソーシャルメディアの利用が子供らの死につながったと訴える親たちによる抗議活動としては最大規模のものだという。
抗議デモには、150人余りが参加。参加者らは、メタの本社玄関前に黄色や白、赤のバラの花650本をささげ、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)宛ての書簡で、オンライン上で10代の若者保護を強化するため緊急対策を講じるよう求めた。
フェンタニル中毒で18歳の息子を亡くしたアンバー・ロイヤーさんは、ソーシャルメディアプラットフォームが性加害者や人身売買業者、麻薬密売人らのデジタルの活動の場になっていると指摘。「われわれが求めているのは行動であり、透明性と説明責任だ。そして何よりも変化を求めている」と語った。
米国ではここ数年、子供らに有害な影響を与えたとしてメタやTikTok(ティックトック)、スナップを相手取った訴訟が数千件に上っている。これらSNS各社のCEOは、米議会に召喚され、子供らの安全を確保することができない理由について説明を求められた。英国など各国では新たな規制が導入されているほか、オーストラリアでは16歳未満の子供によるソーシャルメディアの利用を禁止する法律が成立した。
米国では昨年、ソーシャルメディア企業に対し利益よりも安全を優先するよう義務づける法案が上院で圧倒的多数で可決されたが、下院では審議が進んでいない。
メタの広報担当者は、「保護者の方々が、10代の子供らがオンライン上で安全でないあるいは不適切な体験をすることを懸念していることは認識している」と指摘。「だからこそ、われわれは保護者の最大の懸念事項に対応するため設計されたティーンアカウントを導入し、10代向けのインスタグラム体験を大幅に変更した」と説明した。
だが、24日に抗議活動に参加した遺族らは、こうした対応策は不十分だと感じている。
追悼集会に参加したメアリー・ロディーさんは、「私の子供は亡くなった。私にはもう失うものは何もない」と語る。ロディーさんの15歳の息子は2021年にフェイスブック上でセクストーションの被害に遭い、性的な画像を送るよう脅された末に自ら命を絶ったという。
ロディーさんは、「他の多くの家族と同様に、私も何年もこの問題についてマーク・ザッカーバーグ氏との面会を試みてきたが、彼は拒否している。われわれは皆、どんなことでもやる覚悟があるということを示すために、ここに集まった」と述べた。
原題:Grieving Parents March to Meta NY Headquarters, Demanding Change(抜粋)