最も集客したクラブは? Jリーグ観客数ランキング31~40位。J1~J3全60クラブの中位につけるのは?【2024年】
2024シーズンの明治安田Jリーグは全日程を終えた。優勝争いや残留争いなど、長いシーズンの中でそれぞれのクラブに紆余曲折があったが、シーズンを通して最も多くの観衆を動員したクラブはどこなのか。J1~J3の全60クラブのホームゲーム入場者数を集計し、ランキング形式で31〜40位を紹介する。
40位:ギラヴァンツ北九州
【写真:Getty Images】
本拠地:ミクニワールドスタジアム北九州 収容可能人数:15,300人
平均入場者数:4,649人
2024シーズンのJリーグ観客数ランキングで40位に入ったのは、明治安田J3リーグを7位でフィニッシュしたギラヴァンツ北九州だ。
今季の北九州は、シーズンが進むにつれて徐々に順位を押し上げていった。下位に沈んだ序盤戦を何とか持ち堪えると、6月2日に行われた第15節のガイナーレ鳥取戦(〇 1-0)から潮目が変わり始める。
本拠地『ミクニワールドスタジアム北九州』でウノゼロ勝利を収めて順位を15位から13位に上げると、その後は順位を一度も落とすことなく、9月21日の第29節・FC岐阜戦(〇 2-0)終了後には4位まで上り詰めた。
結局、北九州はシーズン終盤の失速によってJ2昇格プレーオフ(PO)圏内入りを逃す格好となったが、昨季J3最下位に低迷したことを踏まえれば、7位フィニッシュは十分評価できる成績だろう。
5月6日の第13節・FC岐阜戦から8月24日の第25節・奈良クラブ戦にかけては13試合負けなし(9勝4分)。クラブの好調さが後押しとなったのか、ミクスタ開催となった8月17日の第24節・カターレ富山戦では、今季最多となる1万2448人の観客が入っている。
シーズン開幕当初の目標だったJ2昇格PO進出には届かなかったものの、来季に向けて確かな成長を示した北九州。クラブ名称に『ギラヴァンツ』(イタリア語で「ひまわり」の意味)を冠するクラブらしく大輪の花を咲かせて、来季はさらに多くのファンをスタジアムに呼び込みたい。
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2024シーズンのJリーグ観客数ランキングで39位に入ったのは、明治安田J3リーグを8位で終えたFC岐阜だ。
今季序盤戦の岐阜は、2020シーズンから続くJ3生活に別れを告げられそうな予感を漂わせていた。3月10日の第3節・カマタマーレ讃岐戦から4月10日の第9節・カターレ富山戦にかけて7試合負けなし(4勝3分)と快進撃を見せ、一時は2位に浮上。本拠地『岐阜メモリアルセンター長良川競技場』を訪れたファンも、クラブの好調ぶりに胸を高鳴らせたことだろう。
だが、4月以降になると、岐阜は急ブレーキがかかったように勝利から遠ざかっていく。J3降格後ワーストとなる9試合連続未勝利(4分5敗)を記録してしまい、6月27日には上野優作監督が辞任。その後も不調は続き、一時は日本フットボールリーグ(JFL )降格が視野に入る15位まで順位を下げた。
ただ、シーズン終盤戦になると岐阜は突如として“復活”。10月11日の第32節・AC長野パルセイロ戦(〇 2-1)から7試合負けなし(5勝2分)とハイペースで勝ち点を取り戻し、8位フィニッシュに繋げた。
ホーム最終戦となった11月16日の第37節・大宮アルディージャ戦(△ 2-2)では、今季最多となる8284人の観客が長良川を訪れた。ジェットコースターのようなシーズンを過ごした岐阜のファンは、来季のJ2昇格達成を願いながら試合を楽しんだのかもしれない。
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2024シーズンのJリーグ観客数ランキングで38位に入ったのは、2021シーズン以来となる明治安田J2リーグの戦いに挑んだ愛媛FCだ。
昨季にJ3優勝を達成した愛媛だったが、今季は3シーズンぶりのJ2リーグで予想以上の苦戦を強いられた。序盤戦は順位が乱高下する波乱万丈の展開で、J1昇格プレーオフ(PO)圏内の6位と、J3自動降格圏内がちらつく15位を短期間のうちに経験することとなった。スタジアムへ応援に駆けつけたファンは、心臓が締めつけられるような緊張の日々を過ごしていたのかもしれない。
一時は9位で落ち着いていた順位は、8月25日の第28節・ブラウブリッツ秋田戦(△ 0-0)を境に降下。11月10日に行われた第38節(最終節)のV・ファーレン長崎戦(● 2-5)まで11試合連続未勝利(3分8敗)が続き、J3自動降格ギリギリの17位でシーズンを終えた。
本拠地『ニンジニアスタジアム』に最も多くの観客が入ったのは、8月3日の第25節・徳島ヴォルティス戦。夏の中断期間明けというタイミングで開催された大一番の“四国ダービー”では、9,039人がニンスタを訪れた。愛媛はこの重要な一戦を0-1で落としたものの、ファンはスタジアムの一角をクラブカラーのオレンジに染めて力の限り声援を送った。
何とかJ2リーグを戦う権利を死守したクラブは、上位進出という目標を掲げて来季に再スタートをはかる。
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2024シーズンのJリーグ観客数ランキングで37位に入ったのは、特別なシーズンを全力で駆け抜けたツエーゲン金沢だ。
新たな年が幕を開けた2024年1月1日に発生した能登半島地震により、石川県は大きな被害を受けた。被災クラブとなった金沢の選手たちは、シーズンを通して被災地訪問活動を実施。被害が甚大だった奥能登エリアなどで交流イベントを行い、地域の人々を勇気づけた。
昨季にJ2最下位となった金沢にとって、今季は明治安田J3リーグから這い上がることが最優先目標となるはずだった。だが、想像だにしていなかった天災を経験し、クラブには「被災地復興の光になる」というもう1つの特別な使命ができた。
開幕3連敗で最下位に沈んだものの、3月24日の第6節・SC相模原戦を1-0で制してホーム初勝利。『金沢ゴーゴーカレースタジアム』には3,584人の観客が詰めかけた。
相模原戦以降、ゴースタを訪れる観客の数は増加。金沢も観衆の増加に呼応するかのように順位を上げていき、7月6日の第20節・AC長野パルセイロ戦(〇 3-0)の結果によって今季最高順位の3位を記録した。
なお、今季最多の入場者数を叩き出したのは9月22日の第29節・カターレ富山戦。金沢は0-1で敗れたものの、ゴースタには9,229人の観客が入った。最終的に、金沢は今季のJ3リーグを12位でフィニッシュ。来季はJ2復帰を実現して、ファンのみならず被災地の人々に明るい話題を届けたい。
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2024シーズンのJリーグ観客数ランキングで36位に入ったのは、大苦戦を強いられた序盤戦から見事な復活を果たして、明治安田J2リーグを8位でフィニッシュした徳島ヴォルティスだ。
今季序盤戦の徳島は危機的な状況に陥っていた。リーグ戦はシーズン開幕からの10試合でわずか1勝(2分7敗)。3月31日には吉田達磨監督の解任が発表され、同時に岡田明彦強化本部長も辞任する混迷ぶりだった。
そんなクラブの迷走ぶりを象徴するかのように、本拠地『鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム』を訪れるファンの数も低迷。3月20日の第5節・レノファ山口FC戦(● 1-2)では4,000人台を下回った(3,934人)。
だが、吉田前監督の跡を引き継いだ増田功作監督の下、徳島は次第に上昇気流に乗っていく。4月20日の第11節・藤枝MYFC戦(〇 1-0)の結果によって最下位を脱出し18位に浮上。5月3日の第13節・愛媛FC戦を0-0で引き分けたことで17位となり、J3自動降格圏を脱出した。シーズンが進むにつれて順位はさらに上がり、徳島は序盤戦には想像もできなかった8位の座を確保して2024年を終えた。
ファンはクラブの「支え所」を熟知していたようだ。鳴門大塚が今季最多の入場者数を記録したのは、J3自動降格圏を抜け出した愛媛戦。同試合が4年ぶりの開催となる徳島と愛媛の“四国ダービー”だったことも影響したが、長年愛するクラブを支えるファンは復活の機運が高まり始めていたチームを激励する絶好のタイミングだと捉えたのかもしれない。
12,227人の観客が詰めかけたスタジアムには、数多くの徳島ファンが声援を送る姿が見られた。
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2024シーズンのJリーグ観客数ランキングで35位に入ったのは、志垣良新監督の下でこれまでになかったチームスタイルを構築し、J1昇格プレーオフ(PO)圏内でのフィニッシュをファンに予感させたレノファ山口FCだ。
山口といえば、丁寧にボールを繋いで攻撃を構築していくスタイルがJリーグファンの間でもお馴染みだった。だが、志垣監督は縦に早く攻める新スタイルを持ち込み、選手たちにハードワークと規律の徹底を求めた。
シーズン開幕前には18位以下(J3降格)を予想する識者も決して少なくなかったが、蓋を開けてみれば山口は着実に勝ち点を積み重ね、中盤戦あたりまではJ1昇格PO圏内に食い込むことも珍しくなかった。
クラブの好調さが好影響をもたらしたのか、本拠地『維新みらいふスタジアム』には安定的な数のファンが訪れ続けた。8月3日に行われた第25節・大分トリニータ戦(〇 2-0)で今季初の1万人超えを記録(10,893人)。8月31日の第29節・ファジアーノ岡山戦(● 0-2)では、今季最多となる11,575人の観客を動員した。
みらスタを熱気で包んだファンに吉報を届けたかった“志垣レノファ”だったが、終盤戦になると急に失速。最多入場者数を記録した岡山戦から10月6日の第34節・モンテディオ山形戦(● 0-2)にかけて6連敗を喫すると、明治安田J2リーグを11位でフィニッシュした。
1年間を通してアグレッシブな戦い方を貫くのは並大抵のことではなかったようで、来季は悪い流れにはまりかけた時のリカバリー力が上位躍進の焦点となるだろう。中位で2024年を終えたが、山口のファンにとっては充実感をもってクラブを応援できた1年だったのではないだろうか。
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2024シーズンのJリーグ観客数ランキングで34位に入ったのは、明治安田J3リーグ降格の危機を乗り越えたロアッソ熊本だ。J2リーグの最終順位は12位と決して高くなかったが、本拠地『えがお健康スタジアム』で数多くのファンが愛するクラブを応援し続けた1年となった。
今季の熊本は、1年間を通して苦しい時を過ごす方が多かった。シーズン開幕当初からなかなか成績が向上せずに下位へ低迷。それでも何とか低空状態での飛行を続けていたが、5月6日に行われた第14節・水戸ホーリーホック戦を0-2で落としたことにより、ついにJ3自動降格圏内の18位に転落してしまう。
それでも、ファンは苦境に陥るクラブを辛抱強く支え続けた。スタジアムの一角をクラブカラーのRosso Redに染め、力の限り声を張り上げて選手たちを鼓舞した。10月6日の第34節・徳島ヴォルティス戦(● 1-2)では、今季最多となる15,502人の観客が来場。直近の試合まで、J2では2012シーズン以来となる4連勝を飾っていたこともあり、スタジアムには数多くの熊本ファンが押し寄せた。
また、徳島戦はJ1昇格プレーオフ(PO)進出の可能性を残せるかどうかが懸かった試合でもあった。J3降格の悪夢がちらつくシーズンを送った熊本は、J1昇格を懸けたサバイバル決戦を見据えるまでに状況を好転させていたのだ。
12位・熊本と13位・徳島が激突した一戦は徳島に軍配が上がったものの、スタジアムに駆けつけた熊本ファンはJ1昇格PO進出を夢見ることができるシチュエーションを存分に楽しんだに違いない。
現在、シーズンを終えてオフに入った熊本の選手たちは、来季のJ1昇格に向けて英気を養いつつも虎視眈々と爪を研いでいる。