レアル・マドリー、アトレティコとのダービーを制してCLベスト8進出!開始20秒で失点してヴィニシウスはPK失敗…終始苦戦もPK戦を4-2で制する

【欧州・海外サッカー ニュース】レアル・マドリーがアトレティコとのダービーを下してCL準々決勝に進出した。

11日のチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦2ndレグ、レアル・マドリー対アトレティコ・マドリーのスペイン首都ダービーは1-0でアトレティコが勝利。2戦合計スコアは2-2となり、PK戦4-2でレアル・マドリーがCL準々決勝進出を果たしている。

マドリーの本拠地サンティアゴ・ベルナベウで行われた1stレグは、2-1でマドリーの先勝。あの一戦、アトレティコのシメオネ監督は後半途中から3失点目を何としてでも防ぐ戦術に切り替えて、1点ビハインドを維持したまま試合を終えた。欧州屈指の熱狂を誇る自分たちの本拠地メトロポリターノであれば、同点に追いつき、逆転も果たせると考えたためだ。

そうして迎えた2ndレグ、「私を殺し、私に命を与えてくれる」というアトレティコのハラハラ感を表した大横断幕が掲げられたスタジアムで、ホームチームは指揮官の狙い通りマドリーに追いついた。それも……キックオフからわずか30秒後に!

フリアン・アルバレスのスルーパスからデ・ポールが右サイドを突破すると、ゴール前にグラウンダーのクロス。ニアサイドのジュリアーノ・シメオネがヒールで合わせきれなかったボールが後方に流れると、そこに飛び込んだギャラガーが足から滑り込みながら枠内に押し込んでいる。

いきなり追いつかれてしまったマドリーはその後、39歳モドリッチ(4日前にフル出場したばかり)を中心としたボールを保持から、ロドリゴ、ベリンガム、ヴィニシウス、エンバペの“クアトロ・ファンタスティコ(ファンタスティック・フォー)”のインスピレーションに頼ったプレーを見せる。が、アトレティコの規律立った4-4-2ブロックを破ることができない。アトレティコは守護神オブラクのファインセーブにまったく頼る必要がなかった。

前半、ゴールの予感を感じさせ続けたのはアトレティコ、もっと言えばフリアン・アルバレスだった。速攻を起点に逆転弾を狙うチームで、背番号19は25分、さらに39分と枠を捉えるシュートを放ったものの、そのどちらもGKクルトワのファインセーブに阻まれている。前半は1-0(2戦合計2-2)で終了する。

迎えた後半も、最初にチャンスを迎えたのはアトレティコ。49分、フリアン・アルバレスが三度枠を捉えるシュートを放ったものの、三度クルトワがファインセーブを見せて失点を防いだ。対してマドリーは、アトレティコ陣地でボールを保持しながらも一向に堅守を切り崩すことができない。

アンチェロッティ監督は65分に交代カードを2枚切り、チュアメニ、モドリッチを下げてカマヴィンガ、ルーカス・バスケスを投入。L・バスケスを右サイドバックとして、そこに位置していたバルベルデ、さらにカマヴィンガを2ボランチに据えた。

そして68分、マドリーが千載一遇のチャンスを迎えた。カマヴィンガのボール奪取から速攻を仕掛けると、ベリンガムのスルーパスからエンバペがアタッキングサードでスペースを得る。アトレティコのDF2枚と対峙したエンバペは、まずヒメネスをかわしてペナルティーエリア内に侵入し、ラングレに倒されてPKを誘発した。

エンバペ、ヴィニシウス、ベリンガムが交代でキッカーを務めているマドリー。今回キッカーとなったのは、ヴィニシウスだ。アトレティコのウルトラスが後方に陣取っているゴールに向き合った背番号7は、右を狙ってシュートを放ったが……ボールは枠外へ! 大きな歓声が起こるメトロポリターノ。シメオネ監督は両手を上げてにその盛り上がりをチームへの後押しに変えていく。一方、茫然自失といった様子のヴィニシウスはベリンガムから励まされていた。

アンチェロッティ監督は78分に3枚目の交代カードを切り、ロドリゴを下げてブラヒムを投入。また84分にはメンディが負傷でプレー続行不可能となりフラン・ガルシアを入れた。対して、ここまで1人も代えていなかったシメオネ監督は85分にギャラガーとの交代でリーノを入れ(守りが軽いL・バスケスのサイドを狙う考えだ)、さらに89分にはジュリアーノ&グリーズマンをコレア&スルロットの“スーパーサブコンビ”と代える。またアディショナルタイムにはデ・ポールが負傷してモリーナもピッチに立たせた(右サイドバックだったマルコス・ジョレンテがボランチに)。だが結局、後半はゴールが生まれず、試合は延長線に突入している。

延長戦前半も展開的には変わらず、マドリーがボールを保持してアトレティコが堅守速攻で対応。シメオネ監督は延長戦開始前にラングレをル・ノルマンと交代していたが、97分にはヴィニシウスと競り合ったレイニウドが怪我したために、6枚目の最後の交代カードでアスピリクエタをピッチに立たせた。延長戦もマドリーの攻撃は停滞し続けている。サイドハーフのリーノとコレアが後方まで下がって、6バック気味で守るアトレティコを相手に満足にシュートを打つことができない。

アンチェロッティ監督は115分にヴィニシウスを下げてエンドリッキを投入。メトロポリターノの観客はこの交代の最中、「ヴィニシウスはバロン・デ・プラジャ(ビーチボールの意)!」と、マドリーの11番が黄金のボールを意味するバロンドール獲得を逃したことを皮肉るチャントを歌っていた。延長戦もスコアは動くことなく終了のホイッスル。試合の決着はPK戦に委ねられている。

PK戦、先攻のマドリーは1本目エンバペ、2本目ベリンガムが成功した一方、後攻のアトレティコはスルロットが成功し、2本目のフリアン・アルバレスが失敗。J・アルバレスはシュートを決めたものの、VARで2回ボールに触った(軸足が触れていたとのこと)と判断された。3本目はマドリーがベリンガム、アトレティコがコレアが成功。そして4本目、マドリーはルーカス・バスケスのシュートがオブラクに止められたものの、アトレティコはジョレンテがボールをポストにぶつけてしまいこちらも失敗。運命の5本目、マドリーはリュディガーがシュートを決め切り、PK戦4-2でダービーを制して、ベスト8進出を果たしている。

マドリーの勝利が決まった直後、失意に暮れるメトロポリターノの観客と選手たち。92分に1-1の同点に追いつかれて延長戦で敗れた2013-14シーズン、今回と同じくPK戦で敗れた2015-16シーズン……あの2回のCL決勝のように、アトレティコはまたもあと一歩のところでCLダービーを落としている。だがシメオネ監督はベストを尽くしたと言わんばかりに、両手を何度も上げて観客と選手たちのことを鼓舞。そんな指揮官の姿を見た観客は「アトレーティ! アトレーティ!」と叫び、選手たちは感謝の拍手で応じている。アトレティコは今季残り、ラ・リーガとコパ優勝を目指して戦っていく。

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