フランスが「国連オープンソース原則」を支持する最初の中央政府となり19の組織も加わる

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国際連合(国連)が採択したオープンソースに関するガイドライン「国連オープンソース原則」に、フランス政府が中央政府として初めて支持を表明しました。フランス政府が支持を表明するのと同時に、クリエイティブ・コモンズメルセデス・ベンツ・グループなど19の組織も国連オープンソース原則に賛同しています。

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France Becomes First Government to Endorse UN Open Source Principles, Joined by 19 Organizations | Le Bureau de L'informatique et des Communications https://unite.un.org/fr/news/france-becomes-first-government-endorse-un-open-source-principles-joined-19-organizations

フランス政府の省庁において、情報通信システム分野の連携・調整を勧めるデジタル省庁間総局(DINUM)のFOSSプロジェクト・code.gouv.frが、2025年5月19日のMastodonへの投稿で、「フランスが国連オープンソース原則を支持する初の政府となり、19の組織が参加しました」と報告しました。

国連オープンソース原則とは、デジタルおよびテクノロジー分野での協力を促進する国連機関・Digital Technology Network(DTN)により採択された、国連内および世界規模でのオープンソース技術の協力と採用を促進するためのガイドラインです。DTNによって設立された実践コミュニティであるOpen Source Unitedは、国連の機関・基金・プログラム全体でオープンソース技術を進歩させるために活動しているとのこと。

国連オープンソース原則は以下の8項目で構成されています。

1:デフォルトでオープン……オープンソースをプロジェクトの標準的なアプローチにする。

2:貢献して返す……オープンソースへの積極的な参加を奨励する。 3:セキュア・バイ・デザイン……すべてのソフトウェアおよびプロジェクトでセキュリティを優先する。 4:包括的な参加とコミュニティ構築の促進……オープンソースへの多様で包括的な貢献を可能にし、促進する。 5:再利用性を考慮した設計……さまざまなプラットフォームやエコシステム間で相互運用可能なプロジェクトを設計する。 6:ドキュメントの提供……エンドユーザーや組織の責任者、開発者向けに徹底したドキュメントを提供する。 7:RISE(認識・インセンティブ・サポート・エンパワーメント)……個人やコミュニティが積極的に参加できるようにする。 8:持続可能性と規模拡大……国連システム内外における、進化するニーズを満たすソリューションの開発を支援する。

フランス政府と同時に、クリエイティブ・コモンズやメルセデス・ベンツ・グループ、WordPress財団ゼンケンベルク自然史協会など19の組織も国連オープンソース原則に賛同しています。

フランスによる国連オープンソース原則の支持は、ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでも大きな話題となっています。

France Endorses UN Open Source Principles | Hacker News

https://news.ycombinator.com/item?id=44024759

あるユーザーは2年間にわたり、フランス国内すべての建物にIDキーを作成・配布して管理する政府のプロジェクトに取り組んできたと述べています。このプロジェクトではデータをオープンにして政府機関や都市、企業、市民が直接レジストリに書き込めるようにして、データベースの相互運用性を向上させることが目標となっているそうです。

別のユーザーは、「これは見せかけのものであり、実体がついてきません」と述べ、フランス政府がオープンソースを誓ったのは今回が初めてではないものの、依然として公的資金の大部分は独占的なソフトウェアに費やされていると指摘。このコメントに対しては同意する意見もあれば、ゆっくりだが着実にオープンソースのツールが採用されつつあると擁護する意見もありました。

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