トルコリラ最安値、株・債券も急落 野党有力政治家拘束で
[イスタンブール 19日 ロイター] - 19日の外国為替市場でトルコリラが対ドルで一時12.7%下落し、過去最安値となる1ドル=42リラを付けた。トルコ当局が野党の有力政治家を拘束したことが嫌気された。債券や株式も大幅安となった。
1016GMT(日本時間午後7時16分)現在、リラは1ドル=38.90リラ。(18日終値=36.67リラ)最安値からいくぶん持ち直したが、なお2023年7月以来の大幅な下落となっている。
外貨建てトルコ国債も売られ、満期までの期間が長い債券の下げがきつくなった。2045年満期債は1.6セント安の85.117セント。
INGの欧州・中東・アフリカ担当為替・債券ストラテジスト、フランティセク・タボルスキー氏は「今朝は大統領候補と目されるイスタンブール市長が逮捕されたことを受け、債券と為替が圧力を受けている」と述べた。
「(トルコリラは)現時点では、新興市場通貨の中でキャリー取引が最も集中しているとみられ、急激な変動はさらなる資本流出につながる可能性がある。ただ、国内銀行が為替に関して何らかの支援を行うだろう」と語った。
<金融政策への影響>
シムシェキ財務相は、市場の健全な機能を確保するため必要な措置を取っていると述べたが、具体的なことは明らかにしなかった。
アナリストや投資家は金融政策への影響を懸念する。リラ急落は利下げサイクルの延期ないし停止につながる可能性がある。
トルコ中銀は、エルドアン大統領の圧力を受けた異例の金融緩和を転換し、1年半にわたり引き締め政策を取ったが昨年12月に利下げを開始した。ある銀行関係者は「リラショックで中銀は当面、政策金利の維持を迫られる」と述べた。
ALBヤティリムのアルゴリズム運用マネージャー、セルハト・バスクルト氏は「イマモール氏の学位が取り消され、拘束されたことで、売り注文が殺到した」と指摘した。「ここ数日、外国人投資家の資金流入はあったが、政治的不透明感が強まり、外国人投資家がトルコから撤退するのではないかという懸念が高まっている」と述べた。
同氏は株式市場の下落が数日続くとの見方を示した。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab