「世界一幸福な国」フィンランドに行って分かった「なぜフィンランド人は将来に不安を感じないのか」(風間 詩織,FRaU編集部)

2025年もまたフィンランドが、世界幸福度ランキング1位に選ばれた。2017年以来、8年連続のトップとなる。

その理由としてよく知られているのが、社会保障や公共サービスの充実度の高さだ。高品質な医療・教育・年金制度があり、おかげで失業・病気・老後への不安が少ない。また、今年発表された幸福度ランキングは、「思いやりと分かち合いが人々の幸福に与える影響に焦点をあてている」という。人とのつながり、思いやり、信頼や優しさは「幸福度」と強い相関関係にあるからだ。

2023年、世界の若年層の19%が「社会的支援を頼れる人がいない」と感じている。セイフティネットから外れ、孤立感が高まっているのだ。2006年と比較してもその数は約4割も増加している。一方で、スタンフォード大学の学生たちへの調査では、仲間から優しくされると幸福感が高まるという結果が得られている。

フィンランドの高い幸福度は「質の高い制度」と「不安の少なさ」、そして「人との信頼やつながり」が背景にある。

World Happiness Report 2025より

日本のGDPは転落したとはいえ、まだ世界4位にとどまっている。だが、幸福度ランキングでは世界147カ国中55位。国民の誰もが加入できる国民健康保険や年金制度があり、公立高校の無償化も15年前にスタートし、世界の中では「質の高い」と言える制度を持つ。なのに、令和6年の調査では、高校生の約8割(78.6%)が将来に不安を感じると答えている。(コロナ禍を経験した高校生の生活と意識に関する 調査報告書 -日本・米国・中国・韓国の比較-)なぜ日本はこんなにも「幸福度」が低いのか。

一説によれば、フィンランド人は感情をあまり出さず、無口であることをよしとし、自然との共存、調和を大切に考えるなど、価値観や気質は、日本人と似ているらしい。なのに、幸せの感じ方はなぜ、こんなにも違うのだろう。

幸福度8年連続1位の国フィンランドに、幸せの形を見つけに行く。

サーミ人の文化を繋ぐ施設にて。

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