最新の民間宇宙ビジネス = ドデカい大砲で宇宙船をぶっ放す「宇宙大砲」
民間企業が加速させる宇宙への探究心。宇宙ビジネスのベースとなる打ち上げが、より効率的により低コストで実現できれば、宇宙探査もさらに広がりをみせるはず。
アメリカの民間宇宙企業「Longshot Space」が提案するのは、ドデカい大砲(または長いながーい銃)でドカーンと宇宙船を宇宙空間へぶっ放す方法です。
ながーい大砲
「もし、壮大で美しいことができるチャンスがあるなら、するべきです。そのマインドこそ、毎朝起きるモチベーションの1つです。あとは、毎日手をつける仕事がめっちゃ爆音で楽しいことならなおさらですよね」そう語るのは、Longshot SpaceのCEO、Mike Grace氏。
壮大で美しく、かつ爆音で楽しいプロジェクトこそが「宇宙大砲」というアイデア。莫大なコストがかかる従来のロケットによる打ち上げを、巨大大砲に置き換えようというのです。
巨大大砲の構想では、圧縮ガスを使い、長いながーい砲身の中にある物体を押し出すというもの。この押し出しスピードの目標はマッハ25。物体が砲身を進むにつれ、砲身にデザインされた穴からさらにガスを注入、速度をあげていきます。宇宙へと送り出すには、この砲身が何キロと続く長さになる必要あり。
すでに、試作用のミニバージョンではテスト成功。りんご程度の物体をマッハ4.6のスピードで打ち上げることができたと報じられています。
現在、最新試作機は、長さ1800フィート(約550m)、口径30インチ(約76cm)。次のテストをネバダ州の砂漠地帯で準備です。目標は重さ220ポンド(約100kg)の物体を、最高マッハ5で飛ばすこと。
CTOのNathan Saichek氏いわく「豪華なロケットよりもドデカい大砲を作るほうが何百万倍も簡単です。会社理念のようなものとして、本当に大きな設備投資を1回すれば、あとは安価で打ち上げられる。その(設備投資)後はすべてとても簡単だと考えています」
Video: LongShot / YouTubeイーロン VS. アルトマン
このLongshot Spaceに投資をしているのが、AI企業OpenAIで知られるサム・アルトマン氏。すっかり「AIの人」なイメージですが、彼は投資家としても有名。
もし、Longshot Spaceのアイデアが実現すれば、宇宙ビジネスのあり方が変わります。そうなると、AIだけでなく、宇宙ビジネスでもイーロン・マスク氏とアルトマン氏のさらなるバトルが生まれる可能性も...。