ニュージャージー州で猫が鳥インフル感染、ウイルス変異を専門家警戒
- 猫と接触があった人間には症状見られず、感染猫は重篤で安楽死
- 鳥インフル、ヒトへのリスク低いとCDC-今の流行で死亡は1人
米ニュージャージー州で高病原性鳥インフルエンザに感染した野良猫が死んだ。全米でも特に人口密度が高いニュージャージー州で、猫の感染が確認されたのはこれが初めて。
28日の州保健当局発表によれば、ハンタードン郡の敷地内で発見された野良猫からH5型が検出された。重篤な症状を見せていたこの猫は安楽死処分された。同じ敷地で他にも複数の猫が発見されており、いずれも症状を見せているという。屋内外で飼われている別の猫からも、H5型の陽性反応が確認された。
これらの猫と接触のあった人間から、鳥インフルエンザ感染の症状は見られない。
人間との関係が密接な飼い猫に、ウイルスが広がっている事実に専門家は懸念を抱いている。2018年のリポートによれば、ニュージャージー州には150万匹近い猫が生息している。
「この事実が新たに裏付けているのは、ウイルスは変異という『実験』を続けるものであり、それゆえにヒトに感染可能な変異体が出現する可能性は高まっているという事実だ」とワシントン大学セントルイス校の創業者マイケル・キンチ氏は説明する。
現在はストーニーブルック大学の最高イノベーション責任者であるキンチ氏は「ウイルスは毎日毎分、その実験を繰り返している。この事実は非常に真剣に受け止められるべきだ」と述べた。
鳥インフルエンザはヒトへの感染はまれだが、飼育されている牛や鶏などの感染例はすでに10数州で報告されている。
昨年5月にはミシガン州で、別々の世帯で飼われていた2匹の猫がH5N1に感染したと、米疾病対策センター(CDC)が報告。2匹とも今回発見されたニュージャージー州の猫と同様、呼吸器系と神経系に問題が見られたという。
CDCによれば、鳥インフルエンザの流行が始まって以来、ヒトの感染例はわずか70件で、死亡は1人だけ。ヒトへのリスクは依然低いとの認識に変わりはない。
原題:New Jersey Cat Dies of Bird Flu, Showing Deadly Disease’s Creep(抜粋)