米ドル/円は円高傾向に復帰したとは言えず、想定より時間がかかっても150円をめざす見通しを維持。米ドルの切り返しはまだ序盤、この程度では終わらない!

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参議院選挙での与党大敗は、市場に「日本売り」どころか「日本買い」をもたらした

 今回の参議院選挙では与党が大敗した。しかし、市場関係者の大半が想定した円の急落、といった市況は見られなかった上に、いわゆる「日本売り」ではなく「日本買い」をもたらした。

 なにしろ、昨日(7月24日)TOPIXは史上最高値を更新した。

TOPIX 日足

(出所:TradingView

 前回(7月18日)本コラムの最後に「参議院選の結果がどうであれ、また一時的な波乱がどうであれ、結果的には日本株は買われていく」と書かせていただいたが、そのとおりの展開になったと言える。要するに、「日本売り」どころか「日本買い」になっているというわけだ。

【※関連記事はこちら!】米ドル/円は単なる通過点として、早々に150円の大台に復帰する可能性が高い! 市場参加者は「TACO」を歓迎!?メインレジスタンス突破の米ドルには大幅な上昇余地も!(2025年7月18日、陳満咲杜)

 もちろん、日米貿易協定の合意が大きな買い材料であったが、参議院選挙の結果を受けて、株式市場の強気構造が再度確認されたところが、大きな前提条件であった。

 そして、参議院選挙の結果を受けて円が一時買われてきたのを「日本買い」と解釈できないというなら、「日本売り」云々がインチキだということも露呈される。

 言いたいのは、「日本売り」云々のあおりが悪質だと言われても仕方がないほど、ロジック的に間違っているということだ。

 円高にしても円安にしても、短絡的に「日本買い」や「日本売り」と結びつけるセンセイがいるならば、単に我田引水な勘違いだと割り切ればよい。肩書や経歴と関係なく、しょせん勘違いは勘違いなので、惑わされるべきではない。

ドルインデックスの切り返しはまだ終わっていない! ブレイクした レジスタンスラインが、一転してサポートラインに

 さて、足元の状況から考えて、米ドル全体(ドルインデックス)はなお弱含みであるものの、安値からの切り返しはまだ終わっていないと思う。

 なにしろ、今年(2025年)上半期における米ドル安の進行がかなり激しかったので、それに対する修正はまだ始まったばかりで、この程度に留まらないはずである。

 ドルインデックスは、元レジスタンスラインをいったんブレイクしたが、目先まで反落してきて同ラインを試しているようにみえる。しかし、目先は一転サポートラインとして意識されそうであり、米ドルの切り返しが続くと考えるわけだ。

ドルインデックス 日足

(出所:TradingView

 そんな単純な見方でいいの?と初心者さんから疑問を呈されても仕方がないが、ずばり「ハイ」と答えたい。

 金融市場には森羅万象が作用するが、複雑に考え、また難しいアプローチをもって検証しても正解になるとは限らないことは言っておきたい。むしろ逆だ。すなわち、複雑すぎる金融相場だからこそシンプルな見方をしたほうが、本質を見抜ける確率が高い

 このあたりの話はなかり奥深いので、ここでは展開しないが、市場はあらゆるファンダメンタルズや参加者の思惑を織り込んでいることを理解できれば、筆者の主張がわかるはずだ。

米ドル/円はレンジを上方修正し、早晩150円を再打診するだろう

 米ドル/円も同じだ。149円の節目の上に定着できず、いったん146円の節目割れまで反落してきたが、このことから円高傾向に復帰したとは言えない

 大きなレンジとして、142円台前半~148円台後半の範囲を再度確認した上で、146円前後のサポートを再度確認したように見えるが、これはレンジの上方修正につながるはずだ。換言すれば、前回(7月18日)のコラムで話したように、米ドル/円は早晩150円を再打診する、ということになる。

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米ドル/円 日足

(出所:TradingView

 米ドル/円の頭がいったん重たくなっているのは、ドルインデックスとの連動があった上で、日銀早期利上げ観測の再燃があったことが主な原因だと思う。日銀が早ければ来週(7月28日~)にでも利上げするのでは、と一部の市場関係者が言っているが、可能性は低いと思う。

 なにしろ、日米関税協定が合意したとはいえ、不確実性はなお大きく、与党大敗の状況を配慮しない形の利上げは日銀自体も回避したいのでは、と推測できる。

 もちろん、来週(7月28日~)の利上げが示唆されるくらい、十分可能性はあるから、円売りの再開があっても、しばらくモメンタムが限定される可能性がある。150円の節目打診も、想定より後ずれになるかもしれない。

 そもそも米ドル/円における米ドルの反発が、ドルインデックスをリードしている、またはドルインデックスと連動しているように見えても、そのまま円売りとは解釈されにくいかもしれない。あくまでも米ドルの切り返しであって、積極的な円売りではないので、このあたりもしっかり認識しておきたい。

ユーロ/円や英ポンド/円は買われすぎのようにみえるが、トレンド自体はしばらく維持できるだろう

 ところで、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)における外貨高・円安のトレンドは、円売りの性格が強いのでは、とも思う。金利差からみれば、ユーロ/円や英ポンド/円など主要クロス円の買われすぎ(要するに円の売られすぎ)があったようにみえるが、トレンド自体はしばらく維持できるとみる。

ユーロ/円 日足

(出所:TradingView

英ポンド/円 日足

(出所:TradingView

 このあたりはまた次回にて詳しく解説したい。市況はいかに。

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