AIブームを相殺した二つの失政 実感乏しい「トランプ景気」

経済プラス

毎日新聞 2026/10/24 07:00(最終更新 10/24 07:00) 有料記事 2256文字
米ホワイトハウスで関税を発表するイベントで演説するトランプ大統領=2025年4月2日、AP)

 「今や米国は黄金時代を迎えている」「米国史上かつてないほど良い状況だ」――。トランプ大統領は20日の中西部カンザス州での演説で、米経済の「活況」を何度も強調した。

 目前に迫る中間選挙で苦戦が伝えられる中、全米各地での遊説で聴衆に印象づけようと躍起になっている。

 11月3日の米中間選挙は、第2次トランプ政権への審判の機会となる。米国の有権者の評価対象となる約2年間を検証した。

AIブームで好調な経済

 米経済は全体で見れば堅調に推移している。

 日本や欧州各国が低成長を続ける中、世界経済をけん引。国際通貨基金(IMF)は米国が2027年にかけて2%台の成長率を維持すると見込む。失業率も低水準が続き、株価は上昇基調と言える。

 大きな推進力は、急成長する人工知能(AI)だ。

 普及と開発に欠かせない半導体を含め、オープンAIやグーグル、エヌビディアなど米企業の好業績が目立つ。

 テクノロジー企業による大型投資が経済を下支えしている面もある。トランプ氏も中国との覇権争いを念頭に「AIで勝った者が全てを制する」と鼻息が荒い。

悪化したインフレ

 ただ、国民目線で見える景色は全く異なる。

 物価上昇(インフレ)が収束する気配が見られない。5年半以上も年率2%を超える高インフレが続いたことで生活負担は増すばかりで、経済成長の実感は乏しい。

 そもそもトランプ氏は生活費引き下げを公約に掲げ、その期待を一身に背負って大統領に返り咲いた経緯がある。

 ところが、9月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3・7%増だった。物価を引き下げるどころか、トランプ氏の2期目就任当初(25年1月、3・0%増)より状況は深刻化した。

「トランプ関税」がなければ……

 一連のインフレはトランプ政権の政策が招いた面が強い。

 トランプ氏は就任直後、貿易赤字解消などを目的に、複数の法律を駆使して高関税措置を一方的に乱発した。関税で輸入価格が上昇したことで、食品や日用品の店頭価格を押し上げた。

 ニューヨーク連銀が10月に公表した調査によると、一連の関税は発動後6カ月から1年かけて物価に波及した。連銀は26年2月の石油製品を除く消費財のインフレ率を2・9ポイント押し上げていたと推計し、「関税がなければ物価は…

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