NASAの探査機が太陽に最接近…このミッションが非常に重要である理由

「パーカー・ソーラー・プローブ」が太陽に最接近するイメージ画像。

NASA/Johns Hopkins Applied Physics Laboratory

現在、探査機が時速69万kmという猛スピードで太陽に向かって突き進んでいる。これは人類が作った最速の物体だ。そして2024年12月24日、この探査機は歴史的瞬間を迎えた。

アメリカ航空宇宙局(NASA)の「パーカー・ソーラー・プローブ」は2018年に打ち上げられ、これまで21回にわたって太陽への接近飛行を成功させてきた。しかし、今年のクリスマスイブのミッションは、これまでとはまったく異なる。

アメリカ東部標準時午前6時53分、探査機は人類が作った物体として、史上最も太陽に近づく飛行を行った。その接近距離は、これまで予定されていた飛行や今後計画されているどの飛行よりも太陽に近いものだ。

この無人探査機は太陽表面から約610万km以内まで接近した。NASAによると、探査機は摂氏980度に達する高温にさらされるが、これは問題にならないという。探査機の保護用耐熱シールドが、1370度を超える温度にも耐えられるよう設計されているからだ。

地球基準で考えれば610万kmは遠いが、宇宙空間では極めて近い距離とみなされる。

例えば、地球と太陽をアメリカンフットボールのフィールドの両端(約91m)に置いたと想定すると、「パーカー・ソーラー・プローブは太陽から4ヤード(約3.7m)の地点にいるようなものだ」と、NASA科学ミッション本部の太陽物理学部門ディレクターであるジョー・ウェストレイク(Joe Westlake)が6abcフィラデルフィアに語っている。

「探査機は太陽の上層大気内に入り込むほどに近づく。人類初の恒星探査ミッションとして、実際に『太陽に触れている』と言える」

数年にわたって準備をしてきたこのミッションは、クリスマスイブの接近飛行でクライマックスを迎えた。

「このような至近距離の接近は、軌道設計のおかげで実現した」と、NASAの広報担当者がBusiness Insiderに宛てたメールに記している。

「探査機が太陽にこれほど近づくには、膨大な軌道エネルギーを放出する必要があり、それが数年かかった理由だ」

これまでに、小型車ほどのサイズである「パーカー・ソーラー・プローブ」は、段階的に太陽への接近を重ねてきた。2020年9月には太陽表面から1350万kmまで接近し、2023年9月には720万km以内に到達している。

探査機はこれらの接近飛行を行う際、地球との通信を切り、自律的に飛行しながら太陽の過酷な上層大気を通り抜ける。そして、十分に離れた地点まで到達すると通信が再開される。

ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所の天体物理学者で、パーカー・ソーラー・プローブのプロジェクト・サイエンティストを務めるノア・ラワフィ(Nour Rawafi)は、NASAのライブ配信で「NASAは12月22日に探査機と通信する。その後、再び通信できるようになるのは12月26日から27日の深夜頃になると予測している」と述べた。

太陽にこれほど近づいても、そこに宇宙人の生命を発見する可能性があるわけでも、将来的に人類が太陽表面を歩けるように準備を進めるわけでもないが、パーカー・ソーラー・プローブのミッションは、それ以上に重要だと言える。

この歴史的なミッションについて知っておくべきことと、それがどのようにして人類が直面する大きな課題を解決する手助けになるのかについて紹介しよう。

太陽は遠くから見ると穏やかで静かな球体に見えるかもしれないが、実際には荒れ狂うほど活発に活動している。太陽フレアや巨大な噴出が発生し、電荷を帯びた粒子を超高速で太陽系の奥深くに向けて放出している。

「その活動がなければ、我々は存在していない。生命が始まるためにはその活動が必要不可欠だ」とラワフィはNASAのライブ配信で述べた。

そのため、太陽がどのように働いているかを理解することは、地球で生命がどのように発生したのかをより深く理解し、宇宙の他の場所で生命が存在する可能性を探る手助けとなる。

さらに、地球の恒星としての太陽を間近で研究することで、宇宙にある他の恒星が「地球に似ているかもしれない、あるいは似ていないかもしれない無数の惑星」とどのように相互作用しているかを学ぶことができるとNASA太陽物理学部門の科学コミュニケーション副ディレクター、アレックス・ヤング(Alex Young)がライブ配信で語った。

ラワフィによると、パーカー・ソーラー・プローブが太陽に最接近する際に、太陽が科学者たちに贈る最高の贈り物は「これまでで最も強力な爆発」だという。

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