バイデン氏による恩赦「無効」、トランプ氏が手書き署名限定の持論展開

Gregory Korte、Jennifer A Dlouhy

  • トランプ氏の政敵に「予防的恩赦」、バイデン氏が退任直前に付与
  • 選挙運動中からトランプ氏は政敵訴追を予告、可能性に道開く恐れも
Photographer: Mandel Ngan/AFP

バイデン前大統領は今年1月の退任直前、複数の議員や要人、家族に予防的な恩赦を与え、彼らが次期政権に訴追される可能性に備えた。2020年1月6日に起きた議事堂襲撃の調査委員会メンバーがこれに含まれる。トランプ米大統領は17日未明、この恩赦が「無効かつ無意味であり、なんら効力を持たない」と主張。1世紀余りにわたって定着した大統領恩赦の法律と慣行を、トランプ氏は覆そうとしている可能性がある。

  トランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した声明で、バイデン氏がオートペン(署名装置)を使ったと主張し、それを根拠に恩赦は無効だとの持論を展開した。保守派シンクタンクのヘリテージ基金もこれまで、バイデン氏の署名はオートペンを使用したように見えると問題視していた。トランプ氏は今回の投稿で何ら証拠を提示していない。

  恩赦は大統領に与えられた最も絶対的な権限と長年見られており、その付与方法に何らかの制限を設けることに司法は消極的だ。しかしトランプ氏は恩赦の有効性については最終的に裁判所が判断するべきだと主張。今回のコメントは、司法省がトランプ氏の政敵を訴追する可能性に道を開くかもしれない。

  バイデン氏に恩赦を付与された中にはリズ・チェイニー元下院議員やミリー元統合参謀本部議長、国立アレルギー・感染症研究所の所長を務めたアンソニー・ファウチ氏が含まれる。トランプ氏は選挙運動中、この人物らを訴追すると宣言していた。

  「私が決めることではない。裁判所が判断する。しかしこれらは無効で無意味だ。なぜならバイデン氏は何が起きているかまったく分かってなかった。誰かがオートペンを使って恩赦を与えたことは間違いないからだ」とトランプ氏は大統領専用機内で記者団に述べた。

  米連邦高裁は2024年、恩赦は手書きに限定されないとの判断を下している。そのような制限がないことは憲法に明記されていると説明した。

原題:Trump Calls Biden Pardons ‘Void’ Because of Autopen Usage(抜粋)

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