韓国与党、2-3月の大統領退陣案を検討 選挙は4-5月
[ソウル 10日 ロイター] - 韓国の与党「国民の力」は10日、2月か3月に尹錫悦大統領が辞任し、4月か5月に大統領選を実施する案を協議していることを明らかにした。
尹氏は非常戒厳を布告したことを受けて、内乱罪の疑いで刑事捜査の対象となっており、14日に2回目の弾劾訴追案の採決が行われる見通し。
与党「国民の力」は9日、尹氏の「秩序ある」退任に向けた具体策を検討するタスクフォースを発足させた。トップを務める李良洙氏は尹氏が2月か3月に退陣し、2カ月後に大統領選を行う案をタスクフォースとして提案したと明らかにした。
韓国では憲法の規定により、尹氏が2027年5月の任期満了前に退任した場合、60日以内に大統領選を行うことが義務付けられている。
李氏は記者団に「党全体ではまだ結論に達していないが、午後に全議員と再度会合を開き、この計画について議論する予定だ」と語った。
与党の計画について質問された最大野党・共に民主党の李在明代表は記者団に「このような重大な犯罪者をそれまで大統領の座にとどめておく」という考えを国民が受け入れるかどうか分からないと述べた。
高麗大学のキム・ソンテク教授(法学)は、大統領は首相に権限を委譲できると指摘した。同大学のチャン・ヨンス教授(法学)も同様の見解を示す一方で、外交問題に関して首相が国家元首として行動する権限があるかどうかについては議論の余地があると述べた。
<弾劾訴追案への支持広がる>
弾劾訴追案が可決されるには300議席のうち3分の2が賛成する必要があり、与党から8人の造反が出れば成立する。しかし、7日の採決では大半の与党議員が議場から退場し、不成立に終わった。
キム・サンウク議員は10日、弾劾に賛成する意向を示した。与党議員で公に弾劾への支持を表明したのは3人目。記者会見で他の与党議員も加わる可能性が高いとし、「弾劾訴追案を可決するのに十分な人数がいると思う」と述べた。
<非常戒厳巡る捜査>
郭種根陸軍特殊戦司令官は10日、国会の委員会に出席し、尹氏が非常戒厳を宣言した際に、戒厳の解除が可決されないよう国会議員を外に出すよう命じたと明らかにした。
尹氏から複数回電話を受け、「直ちに(国会議事堂の)扉を破って中に入り、議員を外に出せ」と命令されたと述べた。しかし命令を実行しないことに決めたという。
郭氏の証言は、国会議事堂から議員らを退去させる命令を出したのは金竜顕前国防相だったとする他の軍幹部の発言と食い違っている。
金氏は辞任し逮捕された。
国会は10日、非常戒厳の宣布について捜査を統括する特別検察官を任命するための法案を超党派の賛成により可決した。
尹、金両氏に加えて李祥敏行政安全相や軍・警察の幹部数人が、内乱と職権乱用の罪に問われている。
ソウルの裁判所は10日、金氏に対して検察が請求した正式な勾留状について審理を開始した。金氏は出廷しなかったが、弁護士を通じて声明を発表し、今回の危機に対する全責任は「自分だけにある」と述べた。
聯合ニュースによると、警察は尹氏が非常戒厳を宣言する直前に開催した深夜の会議に出席した閣僚11人にも出頭するよう求めた。
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