認知症は“早期の診断”が重要 進行すると治療方法も制限 物忘れを歳のせいにして放置すると症状進み治療も困難に
高齢化が進む中、認知症の患者も増加している。最近認可された新薬は、認知症の初期の段階でしか適用できず、症状が進んでからでは進行を抑える治療も難しい。このため早期の診断の必要性を専門医は強調する。
妻が感じた異変で”早期の診断”に
佐賀市に住む吉冨義純さん(74)。3年前にアルツハイマー型の認知症と診断された。きっかけは妻・節子さんの感じた異変だった。
当初はMRIなどによる検査で異常なしという結果だったが、節子さんが感じた異変によって、半年後に追加の検査を受けたことが早期の診断につながったという。異変を感じたときのことを妻の節子さんは次のように話す。
妻・吉冨節子さん:(夫が)ある出来事をぽっと忘れたことがあったんですよ。それがね、私には何も(問題が)ないというのが腑に落ちなくて…違う検査をしてくれて、それで(認知症)が分かったんです
物忘れを歳のせいにすると手遅れに
国の調査では65歳以上の高齢者の約13%、470万人あまりが認知症と推計されている。
佐賀県によると、この数字をもとにした県内の認知症の高齢者の数は、2025年時点で約3万3000人に上り、10年後にほぼピークに達するとみられている。一方、認知症が増えているにもかかわらず、早いうちに診断を受ける人は少ないと専門医は話す。
横須賀病院 横須賀公彦院長:(物忘れが)歳のせいだろうと放っておかれている人が、どこかのタイミングで連れてこられて、結構もう認知症が進んでいる(ことが多い)
この日、ある佐賀市の病院には80代の男性が家族に連れられて検査を受けに来ていた。車のカギや身分証明書などの忘れ物が目立つようになってきたという。
認知症の進行で治療方法も制限
この男性は、認知機能を確認するテストのほか血液検査の結果も踏まえ、アルツハイマー型の認知症と診断された。
医師によると、この男性は認知機能が落ちているため、注射による投薬ができないなど治療方法はかなり制限されるという。
横須賀病院 横須賀公彦院長:(最近認可された新しい薬は)初期の認知機能低下の方にしか適用はありませんし、症状が進んでからではなかなか進行を抑えるのも難しい
認知症に特効薬はなく、最新の薬でも症状の進行を遅らせることしかできないのが現状だ。
専門医「早期の診断が重要」
治療の選択肢を広げるためにも認知症は早い時期での診断が重要だと専門医は強調する。早期診断について、佐賀県は県内5か所の医療機関を「認知症疾患医療センター」に指定し、電話相談や受診を呼びかけている。また、かかりつけ医への相談もすすめている。
(サガテレビ)