ロシア入国禁止リストに私の名前も… 30人の顔ぶれが意味すること
みなさん、こんにちは。先週、私にとって大変つらいニュースが飛び込んできました。ロシア外務省が11日夜(日本時間12日未明)、新たに日本人30人を無期限で入国禁止にすると発表。その中に、私の名前が含まれていたのです。
ロシア情勢が専門の駒木明義記者が書き下ろす「駒木明義と読むロシアから見える世界」は、有料会員限定で隔週水曜にメールで先行配信します。
このニュースが流れてから、いろいろな人から聞かれることがあります。
「事前に警告はなかったの?」
「ロシア側から正式に通知があったの?」
事前のシグナルもなければ、本人への通知もありません。本当のことなのかどうか、まだ確信を持てないほどです。
12日のことでした。この日の早朝当番だった私は、まだ暗い朝6時前に出社。パソコンを開いたところ、欧州で勤務している同僚から届いたばかりのメールが目に飛び込んできました。
「ロシアがさきほど発表した入国禁止対象者の中に、駒木さんが含まれているとのことでした」
寝耳に水とは、このことです。あわててロシア外務省の公式ページを開きました。
入国禁止対象となった30人の名簿の13番目に「Акиёси КОМАКИ(アキヨシ コマキ)」「газеты《Асахи》(朝日新聞の)」とあります。確かに、私のことのようです。
ロシア外務省が2025年11月11日に発表した、入国禁止処分対象者のリスト。13番目に「Акиёси КОМАКИ(アキヨシ コマキ)」の名前がある発表文には「ロシアへの入国を無期限に禁止する」と書かれています。「бессрочном(無期限に)」の文字が、鉛のように重く感じられます。
私は23年2月に配信したこのニュースレターの第1回で、ソ連、ロシアとの長年にわたる付き合いについて書きました。1990年、初めての海外旅行で当時のソ連を訪れたこと。90年代、2000年代、10年代に留学生や特派員として、通算9年間にわたってモスクワで暮らしたこと。
22年にロシアがウクライナへの全面侵攻を始めてからも、私はほぼ毎年ロシアを訪れ、現地の空気を感じ、知人らと会ってきました。
ロシアについて考え、記事を書く記者として、現場を知ることが何よりも大事なことはもちろんです。でも、それだけではありません。どんな立場になっても、ロシアとのつながりを持ち続けていたいという気持ちがありました。
それが断ち切られてしまって、これからいったい自分はどうすればよいのか。そんな戸惑いが、今もくすぶり続けています。
自分語りは、これくらいにしましょう。
最も多かったのは報道関係者
今回入国禁止となった30人の内訳を見てみると、私のような報道関係者が最も多く、18人でした。東京大学准教授の小泉悠さんら大学関係者が8人。民間の社会活動家が2人。外務省幹部が1人、民間企業経営者が1人です。
2024年12月14日、朝日新聞東京本社で開かれた記者サロンで語り合う東京大学准教授の小泉悠さん(右)と駒木明義記者=岩本哲生撮影。2人とも今回、ロシア入国禁止となったこの顔ぶれには、どんな意味が込められているのでしょうか。
私は、誰が載っているかより…
この記事を書いた人
- 駒木明義
- 国際報道部記者|ロシア・欧州担当
- 専門・関心分野
- ロシア、国際関係、外交
2022年2月24日、ロシアがウクライナへの侵攻を開始しました。国際社会の動きや、現地の様子などのニュースをお伝えします。[もっと見る]