「私のことを忘れても…」認知症の祖母が90歳の誕生日 ネイルのプレゼントに込めた思いにネットも感動

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著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

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「見るたびに思い出せますように」【写真提供:フジタ(@FluoriteCa)さん】

 認知症を患い施設に入居している祖母。90歳の誕生日を迎え、孫娘から贈られた心温まるプレゼントがネット上で大きな話題になっています。投稿したフジタ(@FluoriteCa)さんに詳しい話を聞きました。

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「昔からおしゃれが大好きだった祖母にきっと喜んでもらえるはずだと」

「認知症で施設に入ってる祖母に施したネイル。私のことを忘れても、自分にこうしてくれた誰かがいることを爪先を見るたびに思い出せますように。少しでも心が華やぎますように。

おばあちゃん、90歳の誕生日おめでとう」

 18日、フジタさんが写真を添えてX(ツイッター)に投稿すると、エピソードは瞬く間に話題に。「素敵ですね!」「お祖母様の手とっても綺麗」「きっとご本人も周囲の人間も心温かくなってると思います」「幼き頃におられた曾祖母の手を思い出し、胸がいっぱいになりました」「思わず涙が零れてきた止まらない」「色白のおばあちゃまに似合う様に色合い考えての施術だ」「目に映る際にときめいていると思います」など多くの声が寄せられました。

 写真では、祖母の両手に、薄ピンク色のネイルが施されています。

 もともと趣味でネイルをしていたフジタさんは、「手持ちにあった色の中で、色白の祖母に似合いそうで、かつ気持ちが華やぎそうなものを選びました」と説明。

「祖母にネイルを施したのはこれが初めてです」と続けました。

 高齢化社会となり、認知症を患う人が増えています。

「祖母は、誰かに会ったり、物をもらったりしても、すぐに忘れてしまいます。私が会いに行くと、毎回涙を浮かべて『こんなところまで来てくれてありがとう』と大げさなほど喜んでくれるのです。そして、必ずと言っていいほど『お小遣いをあげたいけど、自由なお金がないからごめんね』と申し訳なさそうに言います。短い面会時間の中で、同じ質問を何度もされたり、『そうだったね』と少し恥ずかしそうにする祖母の姿を見ると、頭では『仕方ない』と分かっていても、胸が締め付けられるような悲しさがこみ上げます」

 そんな祖母が、90歳という節目の誕生日を迎えようとしていました。

 心から喜んでもらえるプレゼントは何だろうと思案し、頭に浮かんだのがネイルでした。

「特別なプレゼントを贈りたいと考えていたとき、ふと『ネイルはどうだろう』と思いつきました。ネイルなら、毎日目に入るし、昔からおしゃれが大好きだった祖母にきっと喜んでもらえるはずだと。たとえ私がネイルをしてあげたことを忘れてしまっても、爪を見るたびに『このきれいな爪は誰がしてくれたんだろう』と周りに尋ね、『お孫さんがしてくれたんだよ』と聞くたびに、『私のためにこんなことをしてくれる人がいるんだ』と感じてくれるのではないかと。すぐに忘れてしまう祖母だからこそ、何度も新鮮な喜びを味わってもらえるかもしれない、と思ったのです」

 フジタさんは施設を訪れ、祖母の爪にネイルを施しました。

「ネイルを施している間、祖母は『こんなしわくちゃな手にもったいないよ』と言いながらも、本当にうれしそうな笑顔を見せてくれました。普段はネガティブな言葉が多い祖母ですが、そのときはそんな発言も少なく、幸せそうな様子が印象的でした」

 かけがえのないプレゼントになったに違いありません。

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