黒より黒い「超黒」の種も、“最も美しくて奇妙”な極楽鳥たち
パプアニューギニアのポートモレスビー自然公園で撮影したヒガシコフウチョウ(Ptiloris intercedens)。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE/NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
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ゴクラクチョウ(フウチョウ科)はその精巧な羽毛と独特な求愛ダンスで世界中の人々を魅了している。羽毛を長く伸ばしたり、扇のように翼を広げたり、コウモリのように逆さまにぶら下がったりと、一部の種は変幻自在にすら見える。
ゴクラクチョウは約40種おり、そのすべてがパプアニューギニアや周辺の諸島、またはオーストラリアに生息している。
「彼らは地球上の他のどの鳥にも似ていません」と語るのはナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)で写真家、そして絶滅から動物たちを守る撮影プロジェクト「Photo Ark(フォト・アーク)」の創始者ジョエル・サートレイ氏だ。
サートレイ氏は可能な限り多くの種を記録するため、2006年から世界中を旅している。そして今、かつて想像すらできなかった数字に到達した。1万7000種もの生きものにレンズを向け、ポーズをとらせることに成功したのだ。
通常、節目には1つの種を特集する。だが、ゴクラクチョウについては「1つの種を選べませんでした」とサートレイ氏。
パプアニューギニアの首都ポートモレスビーから戻ってきたばかりの氏が、この華麗な羽を持つ鳥に囲まれた感想を共有してくれた。
「すべてが興味深かった」とサートレイ氏は言う。「彼らは皆、とても穏やかでした。私の撮影用テントで穏やかな鳥は、たいてい頭がいい鳥です」
サートレイ氏は特に印象深い鳥を1羽挙げてくれた。光によってターコイズやパープルに色が変わる羽毛を持つナキカラスフウチョウ(Phonygammus keraudrenii mayrii)で、サクランボ色の大きな目で見つめ返してきた。
ポートモレスビー自然公園で撮影したナキカラスフウチョウ(Phonygammus keraudrenii mayrii)。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE/NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
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「彼はカメラのレンズフィルターに映る自分の姿を見ているのです」とサートレイ氏は説明する。
これは、サートレイ氏がシンプルな背景とクローズアップの撮影手法で目指した成果の一つだ。「黒と白の背景を採用することで、注意をそらす要素をすべて排除し、動物の目を直視できます。また、大きさを比べるものがないため、すべての動物を平等に扱うことができます」
例えば、「小さなヒヨクドリ(Cicinnurus regius)」は大きさがお札ほどしかない真っ赤な鳥だが、写真では「ゾウと同じ大きさですよ」とサートレイ氏は語る。
どうしてこんなにも違ってしまったのか?
サートレイ氏が取り上げた極楽鳥たちを見ると、色、形、羽の配置など、どの種も大きく異なることがわかる。そして、これらのオスがメスの気を引くための求愛行動には、種によって独自の方法がある。
では、近縁関係にあるこれらの鳥は、どうしてこんなにも違ってしまったのか?