ドイツ、軍用機が「中国軍艦からレーザー照射受けた」 中国は否定
画像提供, Reuters/Taiwan Coast Guard
ドイツ外務省は8日、紅海で欧州連合(EU)の主導で行われていた作戦に参加していた独軍機が、中国軍艦からレーザー照射を受けたとし、中国の駐独大使を呼び出したと発表した。これに対し、中国側は9日、ドイツ側の主張を否定した。
紅海では、イエメンの反政府武装組織フーシ派による船舶への攻撃が相次いでいる。フーシ派は、イスラエルとパレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスの間で続く戦争において、パレスチナ人を支援する目的で行動していると主張している。
こうした事態を受け、同海域では今月上旬からEU主導で、紅海を航行する船舶をフーシ派のミサイル攻撃から保護することを目的とした作戦が展開されてきた。
ドイツは8日、この作戦に参加していた独軍機を中国が妨害しようとしたと非難。「到底容認できない」と、独外務省はソーシャルメディアに投稿した。中国の駐EU大使も呼び出したという。
これに対し中国政府は9日、ドイツ側の主張は「中国が把握している事実と全く異なる」と主張した。
8日のドイツの発表によると、紅海上空を飛行していた独軍の偵察機1機が標的にされた。この海域では、2024年初頭から複数の欧州諸国が、イエメンから定期的に発射されるミサイル攻撃から船舶を保護するため、監視・防衛活動を行っている。
レーザーを照射した中国軍艦は、複数回確認されていたが、当該機と一度も通信しなかったと、ドイツは説明した。
独外務省によると、レーザー照射を受けた後、当該機は予防措置として、東アフリカのジブチにある軍事基地へ戻り、任務を中止せざるを得なくなったという。
ドイツ政府は「ドイツの乗員を危険にさらし、作戦を妨害した」と中国を強く非難した。
EUのアヌアル・エル・アノウニ外交政策担当報道官は、「危険で容認できない」事案だと指摘。
「乗員を危険にさらし、航空機の任務を妨害した」と付け加えた。
中国外交部(外務省)の毛寧報道官は9日の記者会見で、中国海軍はイエメン沖のアデン湾とソマリア沖で「護衛作戦」を行っていると述べた。
そして、ドイツと中国は「事実に基づいた姿勢で、誤解や間違った判断を避けるために適時の意思疎通を強化すべきだ」とした。
中国は過去にも、主にアメリカから、軍用機にレーザー照射を行ったと非難されてきた。しかし中国はこれを否定している。
レーザーは操縦士の視界を妨げる目的で使用される可能性がある。また、空中の標的を無力化できる新たな高性能レーザーの開発が、世界各国の軍で進められている。
中国は2017年に、紅海の出入り口に位置するジブチに初の海外基地を開設し、同地域における恒久的な軍事プレゼンスを確立した。この基地は、海賊対策と自由な海上航行作戦のために使用されると、中国政府は説明している。
西側諸国は、ジブチに基地を開設した中国の、同地域をめぐる野心に懸念を示している。ジブチにはアメリカや日本、フランスなどの基地がある。
ジブチは、世界有数の重要な海上輸送路である紅海とスエズ運河につながる、戦略的に重要な場所に位置している。