『アマチュア』ラミ・マレックをうならせた、“スパイの先輩”トム・クルーズからの助言【来日インタビュー】|シネマトゥデイ

夫婦役で共演!来日したレイチェル・ブロズナハン&ラミ・マレック

 映画『アマチュア』を引っ提げ来日したラミ・マレックレイチェル・ブロズナハンがインタビューに応じ、夫婦役として共演した心境、スパイ映画の先輩でもあるトム・クルーズからもらったアドバイスを明かした。

【画像】美しすぎる…来日したレイチェル・ブロズナハン

 ラミが主演&製作を務めた『アマチュア』はCIA屈指のIQを持つ分析官が、愛する妻の命を奪ったテロ組織に対して、知能をフル回転して孤独な復讐に挑むアクションサスペンス。ラミは殺しの経験がない“アマチュアスパイ”のチャーリー、レイチェルはチャーリーの妻サラを演じた。

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 原作となったロバート・リテルの小説に惹かれたというラミは、「チャーリーはとても知的で、まるで自分で自分を笑わせるようなところがありました。自分を賢いと感じているけど、それが過剰すぎるわけではない。彼の世界の見方には何か独特なものがあって、それが演じる上で多くのヒントになりました。人間の本質を捉えることで、そこから役を積み上げていくことができるんです」と役へのアプローチ方法を振り返る。

 レイチェルも「脚本を読んだ時点で、サラが聡明で思慮深くてユーモアもある、チャーリーにとって完璧な“相棒”だとわかっていました。私たちはその関係性を一緒に築き上げる機会を得ました。 限られた尺の中で、観客が二人の関係に感情移入してくれることが物語全体のカギになります」と続けた。

『アマチュア』でのラミ&レイチェル - (C)2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 復讐とは無縁だったチャーリーの生活は、サラの死を受けて大きく変化してしまう。映画冒頭では、そんなチャーリーとサラの平和な夫婦生活が切り取られている。共演シーンはわずかだが、二人のやり取りは微笑ましく、阿吽の呼吸で夫婦を演じてみせた。

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 「僕とレイチェルは以前から知り合いでした。 それを『ミストリー』と呼ぶかはわかりませんが、お互い深い親しみを持っていました。 人として、俳優として、人を見る力があると思うんです。レイチェルとはすぐに、仕事でも、友人関係でも、どんな形でもいいから『この人とは関わっていたい』と感じました。だから、映画で共演できたことは本当に嬉しかったし、チャーリーとサラの関係にもそれが反映されています。スクリーン上での共演時間が限られているからこそ、共演者が共感を生み出せる俳優であることが重要なんです。 レイチェルのような俳優は本当に希少で、その力があります」(ラミ)

 「そういう信頼関係が最初からあるのは、ありがたいです。特に、準備期間や映画の中で関係性を築く時間が限られているとなおさら。だから、ロンドンで一緒に過ごした時間が大きかった。それがスクリーン上でも伝わったとしたら、本当に嬉しいです」(レイチェル)

写真撮影中も仲良くおしゃべりしていた二人

 そんなラミは、『ミッション:インポッシブル』シリーズでスパイ組織の敏腕諜報員イーサン・ハントを演じているトム・クルーズと話す機会があったという。トムは、『アマチュア』を控えているラミに対して「武器の訓練は必要だ」とアドバイスしたそうだ。

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 「最初は、チャーリーが武器の扱いに不慣れな素人だと思っていたので、銃の訓練なんていらないと言い張っていたんです。でもトムは『いや、それでも訓練は必要だ』と主張しました」とトムとの会話内容を明かしたラミ。「僕の役は(イーサン・ハントとは)全く違うと説明しても、トムは譲らなかった。 最終的に、僕は武器訓練を受けることになりました。撮影現場では、たとえ(銃器の扱いが)下手な役であっても、実際にはしっかりとした訓練を受ける必要があるんです。トムの言う通りでした。本当に賢い人です。だから本当に、彼に感謝しています」と笑顔で振り返っていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

映画『アマチュア』は全国公開中

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山田孝之

 俳優の山田孝之が13日、国立代々木競技場第一体育館で行われた劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』のファンミーティングイベントに出席。約3,300人のコナンファンを前に、人気の高さに驚きを見せていた。

【画像】ファンミに約3300人!

 本作は、全世界で累計発行部数2.7億部を突破する青山剛昌の漫画を原作にしたアニメの劇場版第28作。長野県・八ヶ岳連峰にある未宝岳を舞台に、江戸川コナンと長野県警の隻眼の警部・大和敢助、毛利小五郎らが事件に挑む。

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 山田は、長野の山中で炭焼き小屋を営む寡黙な男・大友隆の声を担当。大友は危険が迫るコナンたちに避難場所を提供するなど人当たりが良く、なぜか鉄砲を撃つときにできるアザがある。この日会場に駆けつけたのは約3,300人のファン。山田は「アリーナしか使わないなんて贅沢ですよね」と会場を見渡すと「コナンファンは全世界で50億人はいると聞いているので、今日いらっしゃった方はラッキーですね。それにあやかって長野で炭焼き小屋を始めました」と愛嬌たっぷりにあいさつする。  

 イベントには高山みなみ(江戸川コナン役)、山崎和佳奈(毛利蘭役)、小山力也(毛利小五郎役)、高田裕司(大和敢助役)、速水奨(諸伏高明役)、小清水亜美(上原由衣役)、山下美月(円井まどか役)も参加。山田と山下は、先ごろ物語の舞台となる長野県を訪問し、劇中に登場するスポットを巡った。

 山田は「長野県でも『コナン』の人気は半端ないです。長野県警の方も最近志願者が少ないみたいで『ぜひ来てください』と目をギラギラさせていました」と振り返り、「いまドラマの撮影をしているので、長野の名産をたくさん差し入れしました」と“長野推し”を強調。また、山田は「(劇中で)天文台や大きなアンテナが大変なことになっています」と語ると「今回も被害総額がすごそうです」と発言し、会場を笑わせていた。

 この日は4月18日0時より、全国10都道府県23劇場で世界最速上映が行われることも発表。前回も発売と同時に即完売したことに山田は「夜中の12時からのスタートでそんなに人気なんてすごいですね」と驚きを見せると「映画を観た後、長野を聖地巡礼すると『これがあの……』と思えると思います」と語っていた。(磯部正和)

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小山力也

 声優の小山力也が13日、国立代々木競技場第一体育館で行われた劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』(4月18日公開)ファンミーティングに出席。本作でメインキャラクターとなる毛利小五郎の声を担当する小山が客席から颯爽と登場し、「今回わたくし頑張りました!」とアピールした。

【画像】ファンミに約3300人!

 青山剛昌の漫画を原作にしたアニメの劇場版シリーズ第28弾となる本作。長野県・八ヶ岳連峰にある未宝岳を舞台に、江戸川コナンと長野県警の隻眼の警部・大和敢助、毛利小五郎らが事件に挑む。

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 小山は小五郎の着ぐるみと共に客席後方のレッドカーペットから登場すると「今回わたくし頑張りました! ちゃんとやりました」とアピール。続けて小山は「いや、いつも頑張っているのですよ。今回は“さらに”です」と強調する。

 本作は、小五郎の刑事時代の同僚で通称“ワニ”との再会から物語が展開する。小山は「ついに小五郎の活躍する回がやってきました」と胸を張ると「20年ぶりの小五郎の活躍。いま20歳のあなたは、次は40歳になってしまいます。40歳のあなたは、赤いちゃんちゃんこを着るまで観られないんですよ」と会場を煽ると「いつもは若い方々が活躍してラブコメ的な感じですが、今回の登場人物は平均年齢が高い大人の物語です」と見どころを語る。

 イベントには約3300人のファンが足を運び、高山みなみ(江戸川コナン役)、山崎和佳奈(毛利蘭役)、高田裕司(大和敢助役)、速水奨(諸伏高明役)、小清水亜美(上原由衣役)、山田孝之(大友隆役)、山下美月(円井まどか役)も参加。

 小五郎と共にメインキャラクターとなる大和敢助を担当する高田は、劇場版のイベントは初だといい、「今朝2時間ぐらい早く起きてしまいました。たくさんの方にお会いできて感動しています。自分は出演者ですが、途中からお客さんの気持ちになって見ていました。ハラハラドキドキしました」と興奮したことを明かすと、長野県警の刑事で敢助の幼なじみ・由衣役の小清水は「由衣ちゃんと敢ちゃんのシーンが結構あるのですが“おとなー”って感じのシーンになっています」とアピールしていた。

 最後に小山は「わたくしが小五郎を仰せつかって16年、初めて劇場版でこんなに力を尽くさせていただきました。ワールドカップは4年に1回ですが、小五郎の活躍は20年に1回なので、ぜひお見逃しなく!」と力強く語った。(磯部正和)

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池松壮亮

 俳優の池松壮亮が13日、シネマート新宿で行われたエドワード・ヤン監督の『クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(1991※クーは「牛」へんに古)トークイベントに出席。池松は、ヤン監督の影響について「言葉にするのは難しい」と言いつつ「映画を一番知りたい時期に、映画をいろいろ教えてもらったつもりでいる感じの存在」と語っていた。

【画像】池松壮亮、笑顔でエドワード・ヤン監督愛語る

 本イベントは、エドワード・ヤン監督の『カップルズ』(1996)4Kレストア版の公開を記念して行われたもの。『クー嶺街少年殺人事件』は、1961年に台北で起きた、14歳の少年によるガールフレンド殺人事件をモチーフにした青春ストーリー。1960年代初頭、エルヴィス・プレスリーに憧れるごく普通の少年たちの心情や、事件に至るまでの機微を描いている。

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 池松は1990年生まれ。日本で1992年に公開された『クー嶺街少年殺人事件』は当然のことながらリアルタイムではない。初めて触れたのは、池松が日本大学芸術学部に入学し、上京したときのこと。当時幻と呼ばれていたVHSで観たという。池松は「どういう経緯でたどり着いたのか覚えていませんが、当時伝説になっていたこの作品が、なぜそう言われているのか知りたかったんだと思います」と振り返る。

 借りてきたVHSテープは「画質が悪すぎて、ほぼ何も見えなかった」というが、池松は「4時間の作品ですが2回観たんです。でも何が映っているのかも把握できず、字幕を読むことも厳しい状況で、正直印象は、ほぼなかった」という。その後、2017年にデジタルリマスター版として再上映された際、再度鑑賞し「ここまですごい映画だったんだとやっとわかった気がします。青春、民族対立、社会など、あの時代の台湾がすべて映っている。塗り替え続けられている歴史を切り取っているのに、果てしなく続く人生が描かれている」と思い至った。

 池松は「いまだに『クー嶺街少年殺人事件』という映画をどう言葉にしていいのか分からない」と語りつつも「エドワード・ヤンやホウ・シャオシェンは映画を志したときから特別だった。自身をたどっていくと、この二人にたどり着くような気がします」とリスペクトを示していた。

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 「エドワード・ヤンから受けた影響は?」との問いに池松は「うーん……」と熟考し「勝手に遺伝子を受け継いでいるような感覚。映画を一番知りたい時期に、映画のことをいろいろと教えてもらったつもりでいる感じになっています。もし出会っていなかったら違っていただろうなと思うことがいろいろあります。観るたびに視点の高さが浮かび上がってくる」と回答し、思い入れの深さを伺わせた。

 トークイベントには映画評論家の森直人も出席した。(磯部正和)

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これからも、一緒に真実を見つけよう! - (C) 青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996

 テレビアニメ「名探偵コナン」シリーズ放送30周年を記念して、「30 YEAR PROJECT」が始動した。

【動画】「名探偵コナン」30周年記念ムービー

 1996年1月8日にテレビアニメの放送が開始され、2026年1月に記念すべき放送30周年を迎える。13日に行われたコナンコンサート千秋楽にて、30周年記念ロゴ&ムービーが解禁された。記念ロゴには、「30」の形をした虫眼鏡を持つコナンが描かれている。さらに、周囲の足跡は、これまでの軌跡とこれからの歩みが表現され、「これからもファンの皆様と一緒に真実を見つけていく」というメッセージが込められている。

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 記念ムービーには、小さくなった工藤新一(江戸川コナン)、そしてストーリーが進むにつれて仲間たちが増えていく様子が映し出される。歴代の名シーンや名セリフもちりばめられ、30周年にふさわしいメモリアルな映像に仕上がっている。

 今後も新しいプロジェクトが発表予定となり、あわせて開設された「30 YEAR PROJECT」の特設サイトにて、最新情報が発信される予定だ。(今井優)

» 動画の詳細

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「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第16回より - (C) NHK

 横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)は、20日に第16回「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」が放送。あらすじを紹介する。

【画像】楽しそうな蔦重(横浜流星)&りつ(安達祐実)…第16回

 家基(奥智哉)の急逝した事件は確固たる証拠を得ぬまま幕引きとなる。意次(渡辺謙)は源内(安田顕)に、これ以上詮索を控えることを告げると、源内は激怒する。

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 一方、蔦重(横浜)は源内の住む“不吉の家”と呼ばれる屋敷を訪ね、正月に出す戯作の新作を依頼するも、時折、奇妙な言動を繰り返す様子が気になっていた。そんな矢先、蔦重や意次のもとに、「源内が人を斬った」という知らせが入る。

 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は、“江戸のメディア王”として時代の寵児になった、蔦屋重三郎の生涯を描く大河ドラマ第64作。連続テレビ小説「ごちそうさん」(2013)や大河ドラマ「おんな城主 直虎」(2017)などの森下佳子が脚本を手掛け、NHKドラマ初出演の横浜が主人公・蔦屋重三郎を演じる。語りは、蔦重らを見守る吉原の九郎助稲荷(くろすけいなり)として、綾瀬はるかが担当する。(清水一)

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石坂浩二演じる“白眉毛”こと老中首座・松平武元 - (C)NHK

 横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほか)で徳川幕府の老中首座・松平武元を演じた石坂浩二。大河ドラマへの出演は、「江~姫たちの戦国」(2011)以来、14年ぶり10度目。「天と地と」(1969※上杉謙信役)、「元禄太平記」(1975※柳沢吉保役)、「草燃える」(1979※源頼朝役)の3作で主演を務めた大ベテランだが、本作で演じた松平武元と言えば特徴的な眉毛が話題に。その裏側や、自身にとっての大河ドラマへの思いを語った。

【画像】吉良パロディーか?白眉毛&意次、嫌味の応酬

 大河ドラマ第64作となる本作は貸本屋から身を興し、喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴、東洲斎写楽らを世に送り出し、江戸のメディア王として時代の寵児となった蔦屋重三郎(横浜)を主人公にしたストーリー。脚本を大河ドラマ「おんな城主 直虎」、ドラマ10「大奥」(NHK)シリーズなどの森下佳子が務める。松平武元は、徳川吉宗、家重、家治(眞島秀和)の将軍三代に仕え、家治からは「西の丸の爺」と呼ばれ信頼された老中首座。劇中では渡辺謙演じる老中の田沼意次と対立するさまが描かれたが、13日放送・第15回では跡継ぎの徳川家基(奥智哉)の変死事件を巡って共闘関係へと転じた。

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 本作へのオファー時の心境を「去年の頭ぐらいでしたかね。蔦重が主役という話を聞いて、面白いなと思っていたら幕府の方だったと。わたし、ちょっと絵が描けるのでがっかりしたところもあるんですね(笑)」と率直な思いを明かす石坂。しかし「ありがたかったのは、武元がこれまであまり作品で取り上げられていないのでやりがいがあるなと」と思い直し、「わたしもよく存じ上げなかったので早速調べたんですけど、なかなかわかりにくくて。いろんな方からお話を伺ったり資料を読んだりしたところ、戦がなくなって町人の力が出てきて時代が移り変わろうとしていたときにこの先も徳川を続けていこうとした最後の人。いわば保守派の親分ということなのかなと思いました」とアプローチを進めていったという。

 武元が登場するなり、SNSを沸かせたのが長い眉毛。劇中、意次と武元がことあるごとに衝突するなかで意次が苦々しそうな表情で「白眉毛め!」と吐くのが印象的だ。

 「台本を読んだら武元が“白眉毛め”とかって言われている(笑)。だったら、言われるぐらいのものをつけないといけないんじゃないですかねという話になって。チーフ演出の大原(拓)さんと相談して“大胆にやった方がいいです”ということだったので、かつら担当の方にお願いして作っていただいたんです。それで扮装合わせの段階で眉毛をつけたら前が見えないんですよ(笑)。視界も狭くなってしまったので少しずつ眉毛を切って、片方は長く、片方は短めにとかバランスをとりながら完成したのが現在の形です」

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 そして試行錯誤の上、完成した長い眉毛。しかし、いざ撮影現場でモニターを見てみると「これはちょっと大げさなんじゃないか……」と自身も首をひねったと振り返る。

 「最初は眉毛のあたりが痒くてかこうとしたときに“そうだ、長いんだった……”と思ったりしましたけど、周りは“良い”というのでまあいいかと(笑)。視聴者の方々からの手紙には“やり過ぎなんじゃないか”というご意見もありましたけど、模型仲間にはウケました。ただ、不思議なのが、かつらとかそういうものってだんだん自分の一部のようになっていくんですよね。いつも最初にかつらを被ったときには絶対に合わないと感じるんですよ。鏡を見て違和感を覚えていたりしても、2か月ぐらいすると気にならなくなる。かつらが変わるわけないので、顔が変わっているんだなって思います。今思うと懐かしくて記念に持って帰ろうと思っています(笑)」

第6回より武元が意次の嫌味返しに「ほう、これは…一本とられたのう」

 眉毛といえば、こんな裏話も。第6回では日光社参が決まった際、「田沼のご家中は馬には乗れるのか? 武具、馬具、兜はどこであつらえるのか知っておるか」と意次に嫌みを言う武元に、意次が「仰せの通り、右近将監様には高家吉良様よろしく、ご指南願えればと存じます」と嫌みで返す一幕があった。

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 「意次に“ほう、これは…一本とられたのう”と返すんですが、その際にそれまで全然触らなかった眉毛の中から毛を1本抜いたんですよ。“一本取られた”にかけた駄洒落です(笑)。監督も“面白いからアップで撮ります”と撮ったのに、オンエアを観たらアップはなくて。眉毛1本損したなって(笑)。邪魔な長い毛だったのでいいんですけど(笑)」

 ビジュアル面のほか、意識したのが意次演じる渡辺謙と対になるような芝居だった。

 「3代に仕えたっていう、こてこての徳川っていうのを出したかったんですね。戦なき世を作ったという意味でも家康の作り上げた方程式は正しいと。それを継承していくのが自分の仕事だと思っていたんだと思うんです。そこにいわば新興勢力として現れたのが意次。米から金、あるいは銀本位にすべきであると。貨幣本位の経済を声高に叫ぶ新鋭・意次と相対する役ということで、古い芝居っていうと語弊があるかもしれませんが、例えば手をあまり使わない。それからあまり動かない。なおかつセリフも理屈で切れるのではなく、何となく昔風に流れで切れていく。つまり、何回も同じようなことを言っているということです。それを表現できればいいかなと思いました」

ADVERTISEMENT 第15回より意次との対峙シーン

 しかし、“動かない芝居”を唯一変えたのが第15回。徳川家基の死を巡り、武元が意次を屋敷に招くシーンだ。意次は、家基の死因が自身が渡した手袋に毒が仕込まれていたことによるものと推測し、そのことで武元に追い詰められるのではないかと内心、戦々恐々としていたが、武元が口にしたのは思わぬ言葉だった。

 「最後の回だけは手を使ったり、体も動かすというような芝居をしました。公の場ではなく、自宅であるということで。15回はとにかく撮影時間が長かったんですよ。家がまるまる1軒建ってましたから。僕のアングル、謙さんのアングルとセットの組み換えも大変でしたし、その間謙さんと足を伸ばして“痛いな~”って(笑)。あの場面で武元が意次にあそこまでのことを言うってことは、おそらく自分自身が去るつもりだと思うんです。世継ぎが亡くなったことで西の丸に自分の居場所、仕事がなくなるわけですよね。なおかつ、次の世代に譲るべきだという考えもあって、そうしたときに一番力がある者と言えば意次しかいないと。これまで武元は貨幣制度にこだわる意次に反対してきたけど、“しかし……”っていう思いはあった気がします」

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 意次と共闘関係となり、家基の死の真相を追究しようとしていた矢先、武元は急死。石坂はクランクアップを迎えることとなったが、「自身にとって大河ドラマとは?」との問いにはこんな答えが返ってきた。

 「わたしが『天と地と』の主演オファーをいただいた際、当時かわいがっていただいた(劇作家の)菊田一夫先生から“大河ドラマって大変なんだよ。やれるかね1年”とさんざん脅かされましたが(笑)、確かに大変は大変です。1年をかけて作っていくもので、徐々に年をとっていかなければならないので、民放ドラマでの芝居の作り方とは異なる。目線の高さが少しずつ変わった方がいいとか、相手役との間の取り方とか、芝居の仕方を随分教わりました。そういう意味では長いことやるので留学したみたいな気持ちですよね」

 60年以上のキャリアを誇る石坂だが、今後も「まだスポットライトの当たっていない歴史上の人物をやってみたい」と話していた。(編集部・石井百合子)

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第6回より松平武元(石坂浩二)の「忠臣蔵パロディー」と話題を呼んだシーン - (C)NHK

 横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほか)で徳川幕府の老中首座・松平武元を演じた石坂浩二。劇中では、渡辺謙演じる側用人・田沼意次と対立するさまが描かれたが、2人の対峙シーンで特に注目を浴びたのが第6回(2月9日放送)で「忠臣蔵」を思わせる場面。「忠臣蔵」とゆかりが深い石坂が本シーンの裏側を語った。

【画像】「忠臣蔵パロディー」と話題を呼んだ第6回

 大河ドラマ第64作となる本作は貸本屋から身を興し、喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴、東洲斎写楽らを世に送り出し、江戸のメディア王として時代の寵児となった蔦屋重三郎(横浜)を主人公にしたストーリー。石坂にとって大河ドラマへの出演は、「江~姫たちの戦国」(2011)以来、14年ぶり10度目。「天と地と」(1969※上杉謙信役)、「元禄太平記」(1975※柳沢吉保役)、「草燃える」(1979※源頼朝役)の3作で主演を務めている。

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 ストーリーは主に吉原と江戸城をメインの舞台に展開していったが、石坂演じる松平武元は、徳川吉宗、家重、家治(眞島秀和)の将軍三代に仕え、家治からは「西の丸の爺」と呼ばれ信頼された老中首座。上野国館林藩主でもあり、その官位から「右近将監(うこんのしょうげん)」様とも呼ばれるエリートだ。対して、意次は足軽出身の出自から遠江相良藩(現在の静岡県牧之原市)の五万七千石の大名に上りつめた叩き上げ。意次は米による幕府の財政運営に限界を感じ、金を動かす政策に転換しようとするも、保守派の武元はそうした考えを嫌う。

 第6回では、武元が意次の反対を押し切って「上様のご威光を世に知らせる」ためと莫大な費用の掛かる日光社参を執り行うことを決めてしまう。その際、武元は「しかし、田沼のご家中は馬には乗れるのか? 武具、馬具、兜はどこであつらえるのか知っておるか」と意次に嫌味を言い、意次は苦々しい表情で「仰せの通り、右近将監様には高家吉良様よろしく、ご指南願えればと存じます」と嫌味で返す。それに対して、武元は「ほう、これは……一本とられたのう」と笑い飛ばす。石坂が1999年放送の大河ドラマ「元禄繚乱」で吉良上野介を演じたこともあり、SNSは「忠臣蔵」オマージュかと大いに沸いていたが、石坂は本シーンの撮影を「一番思い返したのは、『元禄繚乱』でわたしが演じた吉良が討ち取られるシーン、そしてそこに至るまでの経緯です」と振り返る。

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 「忠臣蔵」は、47人の赤穂浪士たちが藩主・浅野内匠頭の仇を取るために吉良邸に討ち入りをした「赤穂事件」を描くストーリー。この事件はたびたび映画やドラマ、歌舞伎の演目で取り上げられ、事件が発生したのが(旧暦)12月14日とあって毎年、年末になると恒例行事のようにドラマや映画が再放送されている。「元禄繚乱」は、舟橋聖一の「新・忠臣蔵」が原作。浅野内匠頭が殿中で吉良に切りかかり赤穂藩が取り潰しになった事件には、5代将軍・徳川綱吉の側用人だった柳沢吉保の思惑が絡んでいた……という展開だった。吉良は多くの作品で浅野内匠頭を追い詰めた憎々しい悪として描かれてきたが、石坂が演じた吉良はそれとは異なる趣向だった。

 「私としては、吉良は腹の中でずっと本当のことを知っていていいんじゃないかと。この前に同じ元禄ものとして『元禄太平記』の主演(柳沢吉保役)をやらせていただいているのですが、綱吉の時代になると幕府としては高家(※江戸幕府の儀式や典礼を司る役職)がいらなくなるんですよね。高家というのは天皇に拝謁しては位をもらっていたわけですが、一番偉いのは徳川という風にならなければいけない流れの中で、幕府からすると『赤穂事件』は高家を排除するチャンスと見たのではないかと。47人もが夜中に江戸をどかどか歩けば気づかないはずがないと思うんですよね。そうした時に、シナリオをお書きになった中島丈博先生が提案されたのは、吉良が死ぬ時に大石内蔵助に“本当に仇と思ったのか”と聞くのがいいと思うとおっしゃったので、僕も“それはいいと思います”と。そうしてあのようなシーンになったんです」

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 討ち入りの日、四十七士に取り囲まれた吉良は自ら「大石内蔵助に会わせてほしい、聞きたいことがある」と言い、内蔵助に「みどもをまことの敵と思うてか。まことのかたきと……」と問うて毅然と死を受け入れた。そして話は「べらぼう」に戻る。

 「“吉良”と言うけど、大変だったんだよと思いました(笑)。ただ一つ残念だったのは、あそこで駄洒落として『一本取られたなって』ってそれまで全然触らなかった眉毛の中から毛を1本抜いたんですけど、オンエアではアップで使われなくて。監督が『面白いからアップで撮ります』とおっしゃっていたのに! 眉毛1本損したなって(笑)」と愛嬌たっぷりに恨み節も口にした石坂。これまで犬猿の仲として描かれてきた武元と意次だが、第15回では世継ぎである徳川家基(奥智哉)の死の真相を巡って共闘関係に転じた。意次に「足軽上がり」と辛らつな態度をとってきた武元だが、石坂自身、二人の関係をどう見ていたのか。

 「意次が検校を取り締まり幕府の凋落を防ごうとしたことから変わった、という見方もできるかもしれませんが、私はそれだけではないと思っています。武元は再三、“足軽上がり”と言っていますけど、それはそういう仕組みの中なんだと。意次に反発しているのではなく、言いつのって彼に教えているというか。第15回で武元が意次に最終的に言いたかったのは志は一緒なんだと。今回の事件でよくわかったということが言いたかった。ただ、そこに至るまでにこれまでの(確執の)経緯を語るので、一貫して流れないんですよね。凝った脚本だと思います。森下さんには“第15回楽しみにしていますから”とプレッシャーをかけられましたので一生懸命やりました(笑)。これまでは大体、意次と同等にしゃべっていたのですがこのシーンでは意次はあまりしゃべらないので謙さんは“私は楽ですよ”とおっしゃっていました(笑)。あまり怯えてはいかないつもりだともおっしゃっていて、事前にそうした打ち合わせをしました」

 印象に残っているシーンは、やはり意次と対峙する場面で、武元が長い火鉢に字を書くシーンを挙げた。「意次が“世の中は金だ”というようなことを言った時に、武元が嫌みとして火鉢の中に大きく“金”と書いているんです(笑)。別のシーンでは“馬”と書く場面もあってそこはカットされましたが、私と謙さんだけ勝手にウケていました」と笑い、渡辺との絆をうかがわせた。(編集部・石井百合子)

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第15回より手袋を持ち去ったのは……? - (C)NHK

 横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほか)の13日放送・第15回では次期将軍として将来を期待されていた徳川家基(奥智哉)に大事件が発生し、そのカギを握る“手袋”を巡る展開に戦慄の声が上がった(※ネタバレあり。第15回の詳細に触れています)。

【画像】死の手袋…「べらぼう」戦慄の展開!

 「死を呼ぶ手袋」というまるでミステリー小説のような物騒なサブタイトルがつけられた第15回。冒頭は、独立して自分の店「耕書堂」を構えた蔦重(横浜)が瀬川(小芝風花)との別れに抜け殻となる一方、江戸城では家基が鷹狩りの最中に倒れ、急逝。家基が敵視していた田沼意次(渡辺謙)による暗殺説がささやかれるなか、家治(眞島秀和)は老中首座の松平武元(石坂浩二)らに家基の死の真相を突き止めるべく調査を依頼。意次より密命を受けた平賀源内(安田顕)の調査により、家基が鷹狩りの際にはめていた手袋に毒がしこまれていた可能性が浮上する。その手袋は、大奥総取締・高岳(冨永愛)の依頼により意次がつくらせたもので、意次は窮地に陥る。

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 調査の指揮を執っていた武元に呼び出された意次は、自身が犯人に仕立て上げられるのではないかとビクビク。SNSでも「謀られた」「万事休す」「呼び出しくらった!」「地獄のお茶会」「どう切り抜ける?」「どう出る?白眉毛」とハラハラする視聴者の声で沸くなか、武元は意次に手袋を差し出し「この贈り物を渡りに船と考えた外道がおるということじゃ」と指摘。そして意次に「そなた…」と言いかけると、緊張感はピークに。しかし、続く言葉は「以外の誰かであろう」という意外なもので、笑い出す武元に意次はあっけにとられた様子だった。

 武元は意次とのこれまでの確執を振り返りながらも、意次を忠義者と考えておりはなから疑っていなかったと吐露。武元の「見くびるな!」の名言もあり、これまで対立していた二人が“まことの外道”を捕らえるために手を結ぶ胸アツの展開となったが、その直後にまたしても大事件が勃発。ある晩、就寝中の武元がせき込み出すとそのまま帰らぬ人となった。

 武元の屋敷から手袋を奪い去っていく正体不明の女の影。さらに、武元と交互に映し出されたのが、不敵な笑みを浮かべて人形を操るある大物。まるで裏で糸を引いている黒幕と示唆するかのような演出で、一連のシーンに震えあがる視聴者が続出。SNSは「こいつか…」「ホラーすぎる!」「サスペンス劇場になっちゃったよ」「あぁ白眉毛…」「容赦ない森下脚本」とざわついていた。

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 武元については途中、家基の死を巡り源内と同時に謎解きを繰り広げるシーンもあり、石坂浩二の当たり役である金田一耕助を思い浮かべる視聴者も多数。鮮やかな名推理に「さすが金田一耕助」「金田一のクライマックスじゃん」「意外と話が分かる人だった」「白眉毛さすが」「裏をかかれた」「かっこよすぎる」「長く勤めているだけあるよね」「株が爆上がりしていく白眉毛」と絶賛の声が上がった直後の悲劇となった。

 ちなみに、視聴者の間でもすっかり「白眉毛」のあだ名が定着した武元だが、劇中でも名付けた意次のみならず周囲が口々に「白眉毛が果たしてそう考えるか」(田沼意知/宮沢氷魚)、「げにありがたきは白眉毛でございますな」(三浦庄司/原田泰造)と当たり前のように口にしていた。(石川友里恵)

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