シリア弱体化狙うイスラエル、米にロシア基地存続働きかけ
[ベイルート/ワシントン 28日 ロイター] - イスラエルが2月にトランプ米政権へ、シリア暫定政権の弱体化と中央集権化の阻止を働きかけていたことが、ロイターの複数の関係者への取材で分かった。
シリア暫定政権の後ろ盾がイスラム主義色の強いトルコ与党を率いるエルドアン大統領のためで、イスラエルはトルコの影響力拡大を防いで国境の脅威を排除したい考えだ。
関係者らによるとイスラエルはこの一環として、トルコに対抗するためロシア軍がシリア領内に持つ2カ所の基地の存続を米国側に求めた。一連の要望のうち主要な論点は「ホワイトペーパー」(政策提言書)として複数の高官に配布された。
イスラエルは、アサド政権打倒をけん引した過激派「シリア解放機構(HTS)」への不信感を公然と表明しており、ネタニヤフ首相は2月23日、シリア南部におけるHTSや暫定政権に関係したいかなる勢力の存在も容認しないと言明し、同地域の非武装化を訴えた。
この発言に先立つ2月上旬にはサール外相が、イランによる親イラン民兵組織ヒズボラの再建活動をトルコが支援していると懸念を表明。さらに、シリア領内のイスラム主義グループがイスラエルに対する新たな戦線を構築していると指摘していた。
一方、エルドアン大統領は昨年、イスラム諸国はイスラエルについて「拡張主義の脅威が高まっている」と指摘し、連携するべきだと表明していた。
今回のイスラエルの米国への働きかけを巡り、ロイターの取材に匿名を条件に応じた関係者は第2次トランプ政権がどの程度イスラエル提案を受け入れるか不明だと語った。
同政権はこれまでシリアに関してほとんど言及しておらず、制裁措置の行方や北東部に展開する米軍についても先行きが不透明となっている。
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