「もう限界」 京都の叡山電鉄、訪日客殺到で「積み残し」発生! 2両編成が突きつけた紅葉観光の現実、観光客分散策も裏目に

市原駅付近を通過する叡山電鉄の列車(画像:高田泰)

 紅葉シーズンの京都市で洛北(らくほく)を走る叡山(えいざん)電鉄が積み残しを出すなど大混雑した。増え続ける訪日外国人観光客が殺到したためで、市が進める観光地分散も裏目に出たようだ。

 ドアが開くと待ちかねた訪日客が次々に乗り込み、発車前から座席が埋まる。買い物袋をぶら下げた沿線住民や大学生の姿も見えるが、訪日客に数で圧倒されている。12月上旬の午後、全線が京都市左京区を走る叡山電鉄の出町柳駅。平日にもかかわらず、紅葉見物の訪日客で大にぎわいだ。

 鞍馬駅へ向かう2両編成の列車は、宝ケ池駅で比叡山方面から来た訪日客が乗り込み、混雑がますますひどくなる。京都精華大前駅で学生、それぞれの最寄り駅で沿線住民が下車するが、車内に大きな変化はない。市原駅で下車した自営業の男性(65歳)は

「1日中この混雑なら、外出するのも大変や」

と眉をひそめた。

 約250mにわたって紅葉のなかを進むもみじのトンネルに差し掛かると、前面展望を撮影しようと訪日客が運転席後方に集まり、一斉にスマートフォンを掲げる。途中の貴船口駅、終点の鞍馬駅では帰りの列車を待つ訪日客がホームを埋め尽くしていた。台湾人カップルは

「中心部が混雑すると聞いて貴船へきたが、ここも混雑がひどい」

とがっかりした様子。

訪日客対応の苦闘

鞍馬駅の位置(画像:OpenStreetMap)

 叡山電鉄は、

・叡山本線(出町柳~八瀬比叡山口間5.6km) ・鞍馬線(宝ケ池~鞍馬間8.8km)

を持ち、列車が出町柳駅と八瀬比叡山口駅、鞍馬駅間を運行する。

 沿線に鞍馬寺や貴船神社という有名寺社がある参詣路線だが、沿線住民の通勤、通学の足にもなっている。

 特に、秋の紅葉シーズンはもみじのトンネルや寺社、旅館街がライトアップされ、観光客に人気だ。

 貴船神社周辺の観光案内をする貴船観光会は

「今季の人出は例年より多かった。その分、交通渋滞もひどかった」

と振り返る。

 叡山電鉄は無人駅にも職員を配置して対応に当たったが、訪日客がピークを迎えた11月下旬、一部の駅で積み残しが出るなど混乱に陥った。切符を買うのに大行列、ホーム上も車内も大混雑だったという。

関連記事: