中小型株の隠れた実力派銘柄、探索の極意 プロが告白
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中小型銘柄は発行株式数の少なさから機関投資家が手を出しづらく、個人投資家にこそチャンスが広がっているとされる。だが、中小型株を主な投資対象とし、実績を積み重ねてきたプロもいる。そんな国内の中小型株ファンドの運用担当者に聞いた。
焦点を当てたのは「勝利の方程式」と「失敗の教訓」だ。これまでの経験や投資の実績を振り返ってもらい、①銘柄選定時の着目点②具体的な注目銘柄や注目する業界③自身の過去の成功事例④自身の失敗談⑤売り時の見極め方⑥その他、を可能な限り具体的に語ってもらった。
フィデリティ投信調査部の陸瑩アナリスト兼ポートフォリオマネージャー
銘柄選定の際、「過去3年間のフリーキャッシュフロー(FCF)の成長率がプラス」「過去3年の平均成長率を今後の利益とFCFの成長率が上回る」「自己資本利益率(ROE)が最低5%以上、PER(株価収益率)が20倍以下」の3つに着目している。
競合の大手と比べて成長率が高いことや、本社が豪華ではないことをみている。最高財務責任者(CFO)が投資銀行出身だと増資による希薄化が生じやすい。大株主に機関投資家が入っていないことも重視している。本社が地方にあると知名度が低いので、伸びる可能性があるのではないか。
建設業界には注目している。人手不足で値上げが進み単価が上がるとみているからだ。ITサービス産業やコンテンツ産業も伸びる余地がある。
過去に成功したのはSWCC(5805)。投資後に株価が3〜4倍になった。ROEが10%以上、PBR(株価純資産倍率)1倍以下と割安で放置されていた。構造改革に取り組んでおり、ROEは水準を維持するか改善すると判断した。 三井海洋開発(6269)も過去の設備投資金額の推移から、設備投資が下がっているタイミングで投資を始めた。大規模な修繕費用が掛かっていたが、修繕が一巡して船の稼働率が上がり収益回収のフェーズに入っていると判断した。
逆に失敗したのは電気自動車(EV)への投資。意外と普及率が上がらず利益の成長度合いも思ったよりも低く、失敗した。人気テーマに飛びついて人気ではなくなった場合が危ない。
中小型株は損切りをしようとしても売れなくなってしまうリスクがある。自分が想定した利益ストーリーに届いていない場合にはさっさと売る必要がある。利益低下が一時的か、挽回できないかを早く見極める必要がある。サービス業などはシェアを失うと取り戻すのに時間がかかるので損切りしたほうがいい。
大型株よりも中小型株の成長には時間がかかるので2〜3年のスパンで見ている。割安な水準が適切な株価になるまで時間がかかる。個人だと5〜10年くらいのスパンで見てもよいのでは。
現在が投資フェーズなら少なくとも1〜2年は利益が出ない。すぐに利益が欲しいのであれば過去に相当な投資をした銘柄を探したほうが良い。
改善の投資をしているのに利益率が上がらない場合には、投下資本利益率(ROIC)とROEの2つの指標が重要。平均8〜10%を出していれば投資に対してそれくらいのリターンを出せる。トラックレコードからみてその程度のリターンは出せると思うので待っていてもいいと思う。ヘルスケア関連など制度が急変する可能性がある産業では制度関連まで自分が目配りできるかを判断する必要がある。
[デジタル版日経ヴェリタスの3月29日公開記事から一部抜粋]
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